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ニュー・レイヴ・ロックを知るなら、まず定番アーティストから
ニュー・レイヴ・ロックは、2000年代後半のUKインディー・ロック周辺で注目された、ロック・バンドの演奏とダンス・ミュージックの高揚感を結びつけたスタイルである。ギター、ベース、ドラムを中心にしながら、シンセサイザー、打ち込み、派手なビート、クラブ的な反復を取り入れ、ライブハウスとダンスフロアの距離を近づけた音楽として語られることが多い。
名前の通り、1980年代末から1990年代初頭のレイヴ・カルチャーを直接受け継いだような響きもあるが、実際にはポストパンク・リバイバル、ダンス・パンク、エレクトロクラッシュ、インディー・ロックの流れが混ざっている。蛍光色のファッションやパーティ的なイメージも含めて、音楽だけでなく時代の空気と結びついたムーブメントだった。
この記事では、ニュー・レイヴ・ロックを知るうえで入口になりやすい10組を紹介する。ジャンル名そのものを象徴したバンドから、周辺のダンス・ロック、インディー・エレクトロ、ポストパンク寄りのアーティストまで、最初に押さえておきたい代表的な存在を並べていく。
ニュー・レイヴ・ロックとはどんなジャンルか
ニュー・レイヴ・ロックは、2000年代半ば以降のUKインディー・シーンで広まった言葉で、ロック・バンドのライブ感と、レイヴやクラブ・ミュージックの即効性を組み合わせた音楽を指すことが多い。鋭いギター、跳ねるドラム、シンセのリフ、四つ打ちに近いビート、掛け声のようなボーカルが重なり、踊れるロックとして機能する。
親ジャンルとしてはロックに含まれるが、オルタナティブ・ロックやインディー・ロックとの関係が深い。特に2000年代のインディー・ロックは、ポストパンクのリズム感やクラブ・ミュージックのビートを積極的に取り入れた時期であり、その中からKlaxons、The Rapture、CSS、Shitdiscoのようなバンドが注目された。
ニュー・レイヴ・ロックの魅力は、ロックの演奏が持つ荒さと、ダンス・ミュージックの反復が同時に鳴るところにある。曲は必ずしも複雑ではないが、ビートの勢い、シンセの派手さ、ギターの鋭さが合わさることで、ライブで身体が動く感覚を生む。クラシック・ロック的な重厚さよりも、軽さ、速さ、色彩感、パーティ的な瞬発力が重要になるジャンルである。
ニュー・レイヴ・ロックの定番アーティスト10選
1. Klaxons
Klaxonsは、イギリス・ロンドン出身のバンドで、ニュー・レイヴという言葉を象徴する存在として知られる。2000年代半ばに登場し、インディー・ロック、ポストパンク、エレクトロ、レイヴ的な高揚感を混ぜたサウンドで注目を集めた。
代表作『Myths of the Near Future』は、2007年に発表されたアルバムである。「Golden Skans」「Atlantis to Interzone」などでは、鋭いギター、シンセ、跳ねるリズム、複数のボーカルが一体となり、ロックとクラブ・ミュージックの中間のような勢いを作っている。サイケデリックな歌詞やSF的なイメージも、彼らの独特な雰囲気を強めている。
初心者はまず『Myths of the Near Future』から聴くとよい。ニュー・レイヴ・ロックの派手さ、軽さ、混沌とした楽しさが一枚にまとまっている。特に「Golden Skans」は、メロディのわかりやすさとダンス・ロック的なビートが両立しており、入口として聴きやすい。
2. The Rapture
The Raptureは、アメリカ・ニューヨーク出身のバンドで、ダンス・パンクとインディー・ロックを結びつけた重要な存在である。ニュー・レイヴという言葉が広まる少し前から、ポストパンク的なギター、ファンクのリズム、クラブ・ミュージックの反復をロック・バンドの形で鳴らしていた。
代表作『Echoes』は、2003年に発表されたアルバムである。「House of Jealous Lovers」は、鋭いギター・カッティング、ディスコ・パンク的なビート、叫ぶようなボーカルが組み合わさった代表曲で、2000年代の踊れるロックを語るうえで欠かせない。ニュー・レイヴ周辺のバンドにも通じる、クラブとライブハウスの境界を壊す感覚がある。
初心者は「House of Jealous Lovers」から入るとよい。Klaxonsよりもポストパンクやファンクの要素が強く、シンセの派手さよりもギターとリズムの切れ味で踊らせるタイプである。ニュー・レイヴ・ロックの背景にあるダンス・パンクの流れを知るために重要なバンドである。
3. CSS
CSSは、ブラジル・サンパウロ出身のバンドで、インディー・ロック、エレクトロ、ダンス・パンクをカラフルに混ぜた存在である。バンド名はCansei de Ser Sexyの略で、2000年代後半のインディー・クラブ・シーンで強い存在感を持った。
代表作『Cansei de Ser Sexy』には、「Let’s Make Love and Listen to Death from Above」「Alala」「Music Is My Hot Hot Sex」などが収録されている。ギターとシンセの軽い反復、ラフなボーカル、遊び心のある歌詞が特徴で、ニュー・レイヴ的な派手さと、インディー・ポップ的な親しみやすさが同居している。
初心者には、Klaxonsと並べて聴くとわかりやすい。CSSはロックの重さよりも、パーティ感、ファッション性、エレクトロ寄りの軽さが前に出る。ニュー・レイヴ・ロックが、男性中心のギター・ロックだけでなく、よりポップで自由なクラブ感覚にも広がっていたことを知る入口になる。
4. Shitdisco
Shitdiscoは、スコットランド・グラスゴー出身のバンドで、2000年代後半のニュー・レイヴ/ダンス・ロック周辺で注目された存在である。ポストパンク的なベース、鋭いギター、クラブ向きのビート、騒がしいボーカルを組み合わせ、ライブでの熱量を前面に出した。
代表作『Kingdom of Fear』は、2007年に発表されたアルバムである。「OK」や「Reactor Party」では、反復するリズムと掛け声のようなボーカルが中心になり、洗練されたポップスというより、汗のあるダンス・ロックとして鳴っている。バンド名も含めて、当時の少し過剰で冗談めいたニュー・レイヴの空気をよく伝えている。
初心者は「OK」から聴くとよい。曲の構造はシンプルだが、ビートの押し出しとギターの荒さがあり、クラブ的な反復をロック・バンドで鳴らす感覚がつかみやすい。Klaxonsよりも粗いダンス・ロックを聴きたい人に向いている。
5. New Young Pony Club
New Young Pony Clubは、イギリス・ロンドン出身のバンドで、ニュー・レイヴ、エレクトロポップ、ダンス・パンクの文脈で語られることが多い。2000年代後半のインディー・クラブ・シーンで注目され、クールなボーカルとシンセ主体のダンス・ロックで知られた。
代表作『Fantastic Playroom』には、「Ice Cream」「The Bomb」などが収録されている。ギターよりもシンセやベースラインが前に出る場面が多く、ポストパンク的な冷たさとエレクトロポップの軽さが合わさっている。派手に叫ぶというより、少し距離を置いたボーカルが曲の都会的な雰囲気を作っている。
初心者には「Ice Cream」から入ると聴きやすい。ニュー・レイヴの中でも、ロックの荒さよりクラブ寄りの洗練された感覚が強い。インディー・ロックとエレクトロポップの接点を知るための重要なバンドである。
6. Hadouken!
Hadouken!は、イギリス出身のバンドで、ニュー・レイヴ、グライム、エレクトロ、ロックを混ぜた攻撃的なサウンドで知られる。2000年代後半のUKシーンらしく、ギター・ロックのフォーマットに、クラブ・ミュージックやラップ的な言葉の乗せ方を取り込んだ。
代表作『Music for an Accelerated Culture』は、2008年に発表されたアルバムである。「That Boy That Girl」では、速いビート、シンセの鋭い音、ラップに近いボーカル、ギターの勢いが組み合わされている。Klaxonsよりもストリート感やデジタルな攻撃性が強い。
初心者は「That Boy That Girl」から聴くとよい。ニュー・レイヴ・ロックの中でも、より若者文化、クラブ、ネット時代のスピード感を反映したタイプである。ロックの演奏感よりも、電子ビートと声の勢いを重視する人に向いている。
7. Does It Offend You, Yeah?
Does It Offend You, Yeah?は、イギリス出身のバンドで、ニュー・レイヴ、エレクトロロック、ダンス・パンクの流れで注目された存在である。シンセサイザー、歪んだベース、ロック的なドラム、攻撃的な電子音を組み合わせ、クラブ向きの高揚感を作った。
代表作『You Have No Idea What You’re Getting Yourself Into』は、2008年に発表されたアルバムである。「We Are Rockstars」では、電子音のリフ、重いビート、ロック的な掛け声が合わさり、バンドというよりエレクトロ・アクトにも近い迫力がある。ライブではロック・バンドとしての荒さもあり、ニュー・レイヴ周辺の混ざった感覚をよく示している。
初心者は「We Are Rockstars」から聴くとよい。ギター・ロックよりも電子音の圧力が強く、ロックとクラブ・ミュージックの境界がかなり曖昧になっている。ニュー・レイヴのエレクトロ寄りの側面を知るための入口になる。
8. Late of the Pier
Late of the Pierは、イギリス出身のバンドで、ニュー・レイヴ、シンセロック、プログレッシブ・ポップ、ポストパンクを奇妙に混ぜた存在である。活動期間は長くなかったが、2008年のアルバム『Fantasy Black Channel』によって、2000年代後半のUKインディーの中でも独特の位置を占めた。
彼らの音楽は、Klaxonsのようなダンス・ロックの明快さもありつつ、曲構成が急に変わったり、シンセが過剰に鳴ったり、プログレッシブな展開を見せたりする。「Heartbeat」や「Bathroom Gurgle」では、踊れるビートと奇妙なメロディが同居している。
初心者には「Heartbeat」から入るとよい。ニュー・レイヴの派手さを持ちながら、より変則的で、ポップでありながら少しひねくれた感覚がある。2000年代後半のインディー・ロックが、どれだけ自由に電子音や奇妙な構成を取り込んでいたかがわかる。
9. Friendly Fires
Friendly Firesは、イギリス出身のバンドで、インディー・ロック、ダンス・ポップ、ハウス、バレアリックな感覚を結びつけた存在である。ニュー・レイヴそのものより少し洗練されたダンス・ロックとして語られることが多いが、2000年代後半の踊れるインディーの流れを知るうえで重要である。
2008年のデビュー作『Friendly Fires』には、「Paris」「Jump in the Pool」などが収録されている。ギター・ロックの荒さよりも、パーカッション、シンセ、滑らかなボーカル、ハウス的なリズムが前に出る。ニュー・レイヴの蛍光色の勢いを、より洗練されたダンス・ポップへつなぐ存在として聴ける。
初心者は「Paris」から聴くと入りやすい。曲はメロディアスで、ビートも心地よく、ロックがクラブ・ミュージックの快楽を取り込んだ形としてわかりやすい。より軽やかで洗練された方向へ進みたい人に向いている。
10. Foals
Foalsは、イギリス・オックスフォード出身のバンドで、マスロック、ポストパンク、ダンス・ロック、インディー・ロックを横断する存在である。ニュー・レイヴの中心バンドというより、同時代の踊れるインディー・ロックの流れと強く関係している。
2008年のデビュー作『Antidotes』では、細かいギター・カッティング、タイトなドラム、跳ねるリズムが前面に出ている。「Cassius」や「Balloons」では、ポストパンク的な鋭さと、ダンス・ロック的な身体性が組み合わされている。Klaxonsのようなレイヴ感よりも、演奏の精密さとリズムの切れ味が特徴である。
初心者は「Cassius」から聴くとよい。ニュー・レイヴ的な派手さとは少し違うが、2000年代後半のUKインディーが、ギター・ロックをいかに踊れるものとして更新していたかがよくわかる。よりバンド演奏の緻密さを重視したい人に向いている。
まず聴くならこの3組
初心者が最初に聴くなら、Klaxons、The Rapture、CSSの3組が特に入りやすい。いずれもニュー・レイヴ・ロックやその周辺のダンス・ロックを理解するうえで、音の特徴がわかりやすいからである。
Klaxonsは、ジャンル名そのものと強く結びついた象徴的なバンドである。『Myths of the Near Future』を聴けば、シンセ、ギター、跳ねるビート、サイケデリックなイメージが混ざったニュー・レイヴの基本がつかめる。The Raptureは、その背景にあるダンス・パンクの流れを知る入口になる。ギターとリズムの鋭さで踊らせるタイプのバンドである。
CSSは、ニュー・レイヴ周辺のポップで遊び心のある側面を伝えてくれる。ロックの重さよりも、軽さ、ファッション性、クラブ感覚が前に出るため、入りやすい。この3組を聴いたあとに、より電子音寄りならDoes It Offend You, Yeah?、よりバンド演奏寄りならFoals、より洗練されたダンス・ポップ寄りならFriendly Firesへ進むと理解しやすい。
関連ジャンルへの広がり
ニュー・レイヴ・ロックを聴いていくと、まずオルタナティブ・ロックとのつながりが見えてくる。KlaxonsやFoalsのようなバンドは、メインストリームのロックとは違うリズムや電子音を取り入れながら、2000年代のオルタナティブなギター・ロックを更新していった。
また、ニュー・レイヴ・ロックはインディー・ロックとも深く関係している。CSS、New Young Pony Club、Late of the Pier、Friendly Firesのようなバンドは、インディー・クラブの空気の中で、ロック、エレクトロ、ダンス・ポップを自由に行き来した。
一方で、クラシック・ロックとの関係は直接的ではない。ニュー・レイヴ・ロックは、ブルースやハードロックの伝統よりも、ポストパンク、ディスコ、ハウス、レイヴ、エレクトロの要素を強く受けている。つまり、ロックの歴史を重厚に継承するというより、2000年代のクラブ文化とギター・バンドの接点から生まれた音楽として理解するとわかりやすい。
まとめ
ニュー・レイヴ・ロックは、2000年代後半のインディー・ロック周辺で、ロック・バンドの演奏とクラブ・ミュージックの高揚感を結びつけたジャンルである。今回紹介した10組は、それぞれ異なる角度から、この音楽の勢いと広がりを示している。
Klaxonsは、ニュー・レイヴという言葉を象徴する存在として、ギター、シンセ、跳ねるビートを混ぜたサウンドを作った。The Raptureは、ダンス・パンクの流れから、ロックをクラブへ接続した重要なバンドである。CSSは、エレクトロとインディー・ロックを遊び心のあるポップな形で鳴らした。
Shitdiscoは、荒いライブ感とクラブ的な反復を持ち込み、New Young Pony Clubはクールなエレクトロポップ寄りのダンス・ロックを示した。Hadouken!は、グライムやデジタルな攻撃性を取り込み、Does It Offend You, Yeah?は電子音の圧力を強めたニュー・レイヴ周辺のサウンドを作った。
Late of the Pierは、シンセロックやプログレッシブな展開を混ぜた奇妙なポップ感覚を持ち、Friendly Firesは、より洗練されたダンス・ポップ寄りの方向を示した。Foalsは、精密なギター・カッティングと跳ねるリズムによって、同時代の踊れるインディー・ロックを代表する存在になった。
まずはKlaxons、The Rapture、CSSのような定番から入り、そこから電子音寄り、ポストパンク寄り、インディー・ポップ寄りへ広げていくとよい。ニュー・レイヴ・ロックは、ロックを重く鳴らすよりも、身体を動かすためのビートと色彩感で更新した、2000年代らしいダンス・ロックである。

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