アルバムレビュー:Eric Clapton by Eric Clapton

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:1970年8月16日

ジャンル:Blues Rock / Rock / Roots Rock

概要

Eric Claptonは、Cream、Blind Faithを経たエリック・クラプトンが1970年に発表した初のソロ・アルバムである。Cream時代には長いギター・ソロを含む重量級のブルース・ロックでスターになったが、本作ではそのイメージから意識的に距離を取り、歌とバンド・アンサンブルを中心とした音楽へ向かった。制作を支えたのはDelaney & Bonnie周辺のミュージシャンで、デラニー・ブラムレットがプロデュースに参加。レオン・ラッセル、ボビー・ウィットロック、カール・レイドル、ジム・ゴードンら、当時の米国南部音楽に通じた奏者が集まっている。

サウンドの土台にあるのはブルースだが、ゴスペル、R&B、カントリー、ソウルなどが自然に混ざり合う。クラプトンのギターを常に最前面へ置くのではなく、ピアノやオルガン、ホーン、バック・コーラスまで含めた大人数の演奏によって曲を動かす点が大きな特徴だ。ボーカルについても、ギターの合間に歌うという段階から、自分自身をフロントマンとして成立させようとする過渡期の姿が聞こえる。

なお本作にはクラプトン、デラニー・ブラムレット、トム・ダウドによる異なるミックスが存在し、後年の再発では複数の形で聴けるようになった。本稿では後年の追加音源ではなく、1970年に発売されたオリジナル・アルバムの14曲を曲順通りに扱う。

全曲レビュー

1. 「Slunky」

ボーカルを置かず、ギターとホーンを中心にアルバムの演奏陣を紹介するようなインストゥルメンタルで幕を開ける。クラプトンは長いソロで支配するのではなく、短く切ったフレーズをリズム隊の隙間へ差し込み、管楽器との掛け合いを作る。ベースとドラムもブルースの定型を重く刻むより軽快に前へ進み、セッション的な活気を生んでいる。ギター・ヒーローのソロ作品なのに最初からバンド全体を聞かせるという構成が、本作の方向性を端的に伝えている。

2. 「Bad Boy」

太いベースとピアノを軸にした、R&B色の強いミドルテンポへ移る。クラプトンのギターは歌に対して短い返答を加えるように入り、ボーカルと楽器が会話するブルースの方法をコンパクトなロックへ落とし込んでいる。歌詞では「悪い男」と見られる語り手の立場が扱われるが、威勢のよさだけではなく、相手との関係に対する不満や自己弁護もにじむ。バック・コーラスが加わることで、個人的なブルースというよりバンド全員で歌う南部R&Bに近い開放感が出ている。

3. 「Lonesome and a Long Way from Home」

デラニー・ブラムレットとレオン・ラッセルによる曲を取り上げ、ゴスペルとソウルの要素を前面に出す。ピアノ、オルガン、ホーン、コーラスが次々に重なり、個々の楽器を細かく聞かせるより大人数で一つの高揚を作るアレンジになっている。題名通り、遠く離れた場所で孤独を感じる人物を扱うが、演奏そのものは沈み込まず、仲間と声を合わせるような明るさを持つ。クラプトンの音楽が英国ブルースから米国のルーツ音楽へ接近していたことがよく分かる。

4. 「After Midnight」

J.J. Caleが書いた曲を取り上げた、本作を代表する録音の一つ。後年のCale自身の録音で知られる力の抜けた感触とは異なり、ここではテンポを上げ、ピアノやホーンを加えた賑やかなロックとして演奏している。クラプトンの歌も比較的短いフレーズをリズムに乗せることを優先し、ギター・ソロだけが突出しない。夜が更けてから束縛を離れて楽しもうという歌詞の開放感と、バンド全体が弾むアレンジが素直に結びついた曲である。

5. 「Easy Now」

前曲までの大人数のサウンドから離れ、アコースティック・ギターを中心にクラプトンの歌を近く聞かせる。メロディには英国のフォーク・ロックを思わせる繊細さもあり、本作の南部的な演奏とは違った表情を見せる。歌詞では恋愛関係にある相手へ語りかけながら、親密さの裏側に不安定さを残しており、強く押し切る歌い方をしないことがその曖昧な感情に合っている。派手な演奏を挟まず、ソングライターとしてのクラプトンを前に出した一曲だ。

6. 「Blues Power」

クラプトンとレオン・ラッセルの共作で、題名通りブルースを出発点にしながら、演奏は伝統的な12小節ブルースに閉じていない。ピアノとギターが軽快に転がり、バック・コーラスがサビを大きくすることで、ブルースを皆で楽しむロックンロールへ変えている。クラプトンのギターも歪みの強さよりフレーズの切れ味が中心で、歌の合間を縫うように動く。Creamの重量感と比べれば、その違いが特にはっきりする曲である。

7. 「Bottle of Red Wine」

ギターのリフを軸にしたブルース・ロックだが、リズムは重く引きずらず、ピアノとコーラスによって軽さを加えている。酒を題材にした歌詞も大げさな物語にはせず、欲望や気晴らしを直接的な言葉で並べるため、セッションの延長のような演奏によく似合う。クラプトンはボーカルとギターを競わせるのではなく、歌った直後に短いギターの返答を置く。この簡潔なやり取りによって、ブルースの語法をポップな曲の長さへ収めている。

8. 「Lovin’ You Lovin’ Me」

柔らかなコーラスと鍵盤が前に出た、ソウル寄りのラブソング。ギターの存在感は控えめで、クラプトンも声を張り上げず、メロディを素直に運ぶことへ集中している。恋愛感情を複雑な比喩で包むのではなく、相手を愛する喜びを直接伝える内容であり、親しみやすい曲調とよく合う。前半で示されてきた「ギター中心ではないソロ・アルバム」という方針を、穏やかな形で確認できる曲だ。

9. 「I’ve Told You for the Last Time」

ここではテンポを落とし、ボーカルの感情を中心に据えたソウル・バラード的な作りになる。相手に最後の通告をしている題名とは対照的に、歌い方には完全に関係を断ち切った人間の強さより、まだ未練を残しているような揺れがある。オルガンやコーラスもその感情を大きく包み込み、ギターは必要な場所だけにフレーズを置く。クラプトンが歌手として派手な技巧ではなく、声の弱さも含めて表現へ利用し始めていることが分かる。

10. 「I Don’t Know Why」

ゴスペルを思わせるオルガンとバック・コーラスを使いながら、個人的な戸惑いをゆったりと歌う。クラプトンの声は必ずしも強力ではないが、理由を説明できない感情を繰り返し確かめる歌詞には、その頼りなさがむしろ自然に作用している。後半へ進むにつれて周囲の声と楽器が厚くなり、一人の告白が集団的なソウル・ミュージックへ広がっていく。演奏陣との一体感を重視した本作ならではのバラードである。

11. 「Let It Rain」

アコースティック・ギターの明るい響きから始まり、コーラス、鍵盤、エレクトリック・ギターが徐々に加わって大きなサウンドへ発展する。メロディの開放感に対して、ギターは後半になるほど自由に動き、終盤ではクラプトンらしい伸びのあるソロがようやく大きな見せ場を作る。それでもソロだけを切り離さず、バンドの高揚の延長として配置している点が重要だ。歌とアンサンブルを優先してきたアルバムの方法と、従来のギター・プレイが最も自然に結びついた一曲である。

12. 「Don’t Know Why」

短い曲で、華やかなホーンや長いギター・ソロよりも、素朴な歌とアンサンブルを優先する。アルバム後半の流れを一度落ち着かせる役割があり、クラプトンの声も技巧的に聞かせるのではなく、周囲のコーラスへ溶け込むように置かれている。大きな展開を作らないことで、続く「Told You for the Last Time」とは異なる簡潔なソングライティングを示す曲になっている。

13. 「Told You for the Last Time」

ソウルやゴスペルからの影響を感じさせる落ち着いたテンポの中で、ピアノとオルガンがボーカルを支える。クラプトンは感情を過度に押し出さず、関係の終わりを告げながらも割り切れない語り手の気分を淡々と運ぶ。ギターも歌の背後へ回り、フレーズを必要以上に増やさない。この抑制によって、アルバム終盤では演奏技術より歌そのものへ耳が向くようになる。

14. 「Let It Rain」

開放的なコーラスとギターを組み合わせ、アルバムを大きな高揚感の中で締めくくる。序盤ではアコースティックな響きを残しながら、演奏が進むほどエレクトリック・ギターや鍵盤が厚くなり、終盤のソロへ自然につながっていく。クラプトンのギターが十分な長さで前へ出る一方、それまで築いてきたバンド・サウンドを壊さず、その内部で存在感を増していく構成が巧みだ。ソロ・デビュー作の最後に、ギタリストと歌手、バンドの一員という三つの立場を一つにまとめている。

総評

Eric ClaptonをCreamの延長として聴くと、ギターの見せ場が少ないことにまず驚かされる。だが、それこそがこのアルバムの中心にある変化である。クラプトンはブルースを捨てたのではなく、ブルースだけを巨大化する方法から離れ、R&B、ゴスペル、カントリー、ロックンロールを同じ演奏の中へ取り込んだ。そこで重要になるのは一人の技巧ではなく、リズム隊、鍵盤、ホーン、コーラスが互いに反応するバンドの感触だ。

その選択によって、ギターの役割も変わっている。Creamでは長い即興演奏が曲そのものを拡張することが多かったのに対し、本作ではボーカルの後ろに短いフレーズを置き、必要な場所だけソロを取る。「Let It Rain」のようにギターが大きく前へ出る瞬間も、そこまでのアレンジが十分に積み上がっているから効果がある。ギターを減らしたというより、どこで弾けば曲が最も強くなるかを考える方向へ移ったと捉えた方が、本作の変化を理解しやすい。

一方、歌手としてのクラプトンはまだ完成されているわけではない。強い声量や幅広い表現で押すタイプではなく、バック・コーラスや他の楽器に支えられている場面も多い。しかし、その少し乾いた声はブルースやカントリーに近い曲と相性がよく、後のソロ活動で中心となる「歌をまず成立させ、その中でギターを生かす」という方法の出発点になった。派手な技巧から距離を取ったことが、結果として彼の活動を長期的に広げている。

作品単体では、大人数のセッションらしい活気が長所である反面、曲によってはアレンジが似た感触になる部分もあり、後のクラプトン作品ほど本人の個性だけで統一されたアルバムではない。それでも、英国ブルース・ロックを代表するギタリストだった人物が、米国南部のルーツ音楽を吸収しながら自分の音楽を組み直していく過程がそのまま記録されている。さらに、この時期の人脈からDerek and the Dominosへつながっていくことを考えると、ソロ・デビューという以上に、クラプトンの1970年代を始める転換点として理解できる作品である。

おすすめアルバム

Blind Faith by Blind Faith

Cream解散後、クラプトンがスティーヴ・ウィンウッドらと制作した1969年作。長い演奏を残しながらも歌を重視する方向が見え始めており、Eric Claptonへ至る変化を確認しやすい。

On Tour with Eric Clapton by Delaney & Bonnie & Friends

クラプトンが参加したDelaney & Bonnieのライヴ盤。ゴスペル、R&B、ロックを大人数で鳴らすスタイルが本作と直結しており、ソロ・デビュー期のクラプトンが求めていたバンド像を理解する手掛かりになる。

Leon Russell by Leon Russell

本作にも深く関わったレオン・ラッセルの1970年のソロ作。ピアノを中心にゴスペル、ブルース、カントリー、ロックを混ぜる方法が共通しており、当時の米国ルーツ志向の空気を別の角度から味わえる。

Naturally by J.J.

「After Midnight」の作者J.J. Caleによる1971年作。同曲も収録されているが、クラプトン版よりはるかに力を抜いた演奏が特徴である。ブルースを簡潔な歌へ変えるという、両者に共通する発想の違いを比較できる。

Layla and Other Assorted Love Songs by Derek and the Dominos

クラプトンがカール・レイドル、ジム・ゴードン、ボビー・ウィットロックと進んだ次の段階。本作で育てたバンド志向を保ちながら、デュアン・オールマンとのギターの応酬と濃密な楽曲によって、さらに切迫したブルース・ロックへ発展させている。

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