アルバムレビュー:Stormbringer by Deep Purple

※本記事は生成AIを活用して作成されています。


発売日: 1974年11月1日

ジャンル: ハードロックファンク・ロック、ブルース・ロック、ソウル・ロック

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概要

Stormbringerは、Deep Purpleが1974年に発表した9作目のスタジオ・アルバムであり、第3期Deep Purple、いわゆる“Mk III”ラインナップの真価と限界が同時に刻み込まれた重要作である。メンバーはリッチー・ブラックモア、デイヴィッド・カヴァデール、グレン・ヒューズ、ジョン・ロード、イアン・ペイス。前作Burnで加入したカヴァデールとヒューズは、従来のDeep Purpleにあったクラシカルで攻撃的なハードロックの枠組みに、よりブルージーでソウルフルなボーカル感覚、ファンキーなリズム処理、黒人音楽への接近を持ち込んだ。本作はその流れをさらに推し進めた作品であり、結果としてバンドの内部に大きな美学的亀裂を生んだアルバムでもある。

Deep Purpleといえば、一般にはMachine HeadやIn Rockに代表される、重厚なギター・リフ、クラシック由来のオルガン、疾走感のあるリズム隊、そしてドラマティックなボーカルによる“様式美的ハードロック”の印象が強い。しかしStormbringerでは、そのイメージが意図的にずらされている。ここでのPurpleは、重量級のリフで押し切るだけではなく、16ビートの跳ね、ゴスペルやソウルを思わせるコーラス、流動的なベースライン、よりしなやかなボーカル・アプローチを積極的に導入している。つまり本作は、ハードロック・バンドが1970年代半ばのファンク/ソウル的感覚にどう向き合ったかを示す作品であり、その意味で同時代のロックの変化を非常によく映している。

このアルバムの歴史的な重要性は、単に“少しファンキーなDeep Purple”にとどまらない。1970年代半ば、ロックはすでに初期のブルース・ロック的な直線性だけでは立ちゆかず、より多様なリズム感や歌唱法、プロダクションへと拡張されつつあった。Led Zeppelinもソウルやレゲエに接近し、The Rolling Stonesも黒人音楽との距離を取り直し、David Bowieはフィラデルフィア・ソウルへ傾斜しつつあった。そうした流れの中で、Deep Purpleもまた自らの様式を更新しようとしていたのである。問題は、その更新がバンド全員にとって同じ意味を持っていなかった点にある。グレン・ヒューズとデイヴィッド・カヴァデールは、よりソウルフルでしなやかな音楽性を志向していたのに対し、リッチー・ブラックモアはよりストレートで劇的なハードロックを求めていた。この対立は本作で決定的となり、ブラックモアは次作を待たずに脱退、Rainbow結成へと向かう。

したがってStormbringerは、Deep Purpleのディスコグラフィーにおいて“異色作”と呼ばれがちである。だがその“異色”を単なる逸脱として片づけるのは惜しい。確かに、Highway StarやSpace Truckin’のような爆発力を期待すると、本作のグルーヴ志向やミッドテンポの多さは肩透かしに映るかもしれない。だが、ここにはMk II期にはなかった色気、柔軟さ、ボーカルの多層性がある。とりわけグレン・ヒューズのベースと歌唱は、Deep Purpleというバンドにファンクの血流を明確に流し込み、カヴァデールのブルージーな低音は、従来のイアン・ギランとは異なる湿度をもたらしている。ジョン・ロードも、クラシカルなオルガン奏法一辺倒ではなく、R&B的な隙間の作り方やエレピ的な感覚を柔らかく織り交ぜており、イアン・ペイスのドラミングもまた、硬い8ビートだけでなく弾むようなノリへ的確に対応している。

本作が後のロック/ハードロック・シーンに与えた影響は、直接的な意味ではMachine Headほど大きくはない。しかし、ハードロックとファンク/ソウルの融合という観点では、Whitesnake初期のブルージーな感触、Trapeze以降のグレン・ヒューズ周辺作品、さらには1970年代後半から1980年代にかけてのAOR的洗練やメロウなハードロックへの橋渡しとして重要である。また、のちにCoverdaleとHughesが別々のキャリアで見せる音楽性の萌芽も、本作にははっきり刻まれている。つまりStormbringerは、Deep Purpleの“本流”から外れた作品というより、メンバー個々の将来を予告する分岐点として聴くべきアルバムなのである。

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全曲レビュー

1. Stormbringer

タイトル曲にしてアルバムの顔。ここではまだ、従来のDeep Purpleらしいドラマ性と新たなグルーヴ感が比較的均衡している。印象的なのは、ブラックモアのリフが持つ重量感と、全体のリズム処理にあるしなやかさが同居している点だ。曲の導入は重く、神話的で、いかにも“嵐を呼ぶ者”というタイトルにふさわしい威圧感を持つが、演奏が進むにつれて、単なる突進型のハードロックではなく、微妙な跳ねとボーカルの掛け合いが曲を押していく。

歌詞は幻想文学的、黙示録的なイメージを持ち、Purpleらしい大仰さを備えている。ここでのカヴァデールとヒューズのツイン・ボーカルは非常に効果的で、カヴァデールの土臭い迫力と、ヒューズの高域に向かう鋭い伸びが曲に立体感を与える。ブラックモアのソロも劇的で、アルバム全体の方向性を考えると比較的“保守的”なPurpleらしさを保っている。ゆえにこの曲は、伝統的ファンにとっても入り口になりやすい一方、本作の内部にある新旧のせめぎ合いも象徴している。

2. Love Don’t Mean a Thing

2曲目で早くも本作のファンク/ソウル志向が前景化する。リフ主体というより、リズムのうねりとボーカルのニュアンスによって進む曲であり、従来のDeep Purple像からするとかなり異質だ。グレン・ヒューズの存在感が強く、ベースが単なる低音補強ではなく、楽曲の“腰”を作っている。イアン・ペイスのドラムもタイトで、硬派なハードロックの疾走ではなく、引き締まったグルーヴを生み出している。

歌詞は愛の空虚さや、言葉だけでは関係は成立しないという感覚を扱っており、ソウル・ミュージックの主題系とも接続している。ボーカル面では、カヴァデールの艶とヒューズのソウルフルな上昇が曲を支え、Deep Purpleがここで“歌のバンド”としての側面を強めていることが分かる。ブラックモアは目立ちすぎず、バンド全体の流れに合わせているが、その分、この曲は彼の理想から離れていくPurpleを感じさせもする。

3. Holy Man

アルバム屈指の異色曲であり、もっともグレン・ヒューズ色の強いトラックの一つ。ハードロック的な攻撃性はかなり抑えられ、むしろソウル、ゴスペル、メロウなファンクの文脈で聴くべき曲になっている。ゆったりとしたテンポ、厚みのあるコーラス、しなやかなベース、温度感のあるキーボードが、従来のPurpleにはなかった柔らかな空気を作り出している。

歌詞の“Holy Man”という語は宗教的な響きを持ちながらも、ここでは救済や理想像に対する複雑な距離感を伴っているように聴こえる。説教臭さよりも、どこか内省的で、人物像を見つめる視線が中心にある。ヒューズのボーカルは非常に表情豊かで、本作が単なる“ハードロックの変化球”ではなく、黒人音楽的なフィーリングを本気で取り込んだ作品であることを証明している。一方で、Deep Purpleの看板を背負ったアルバムとしてはかなり挑戦的であり、リスナーの好みが分かれる曲でもある。

4. Hold On

この曲はソウルフルなメロディとハードロック的な骨格のバランスが良く、本作の中でも比較的分かりやすい佳曲である。テンポは中庸で、コーラスの使い方にポップな明快さがあり、サビのフレーズも耳に残る。ギター、オルガン、リズム隊の役割分担が整理されており、楽曲としてのまとまりが非常に良い。

歌詞は“踏みとどまること”“持ちこたえること”を軸にしており、恋愛にも人生にも読み取れる普遍性を持つ。カヴァデールの声はブルース・ロック的な説得力を持ち、ヒューズの高音コーラスがそこへ明るさを加える。Deep Purpleの従来ファンにとっても受け入れやすいが、それでも単なる昔ながらのPurpleではなく、明らかにMk IIIならではのコーラス感覚とグルーヴが支配している。この“間口の広さ”が本曲の強みである。

5. Lady Double Dealer

アルバムの中では比較的ストレートなハードロック・ナンバーであり、リッチー・ブラックモアの存在感が強く感じられる一曲。リフの鋭さ、テンポ感、ギターの押し出しは、Burnやそれ以前のPurpleのエネルギーを思い出させる。アルバム前半でファンキーな曲が続いた流れの中で、この曲が持つ直接性は非常に効果的だ。

歌詞はロック的な女性像の類型に属するもので、奔放さ、危険な魅力、裏切りといったモチーフが並ぶ。内容自体は目新しくないが、音楽の勢いがそれを押し切っている。カヴァデールのラフな歌い回しと、ヒューズのサポートがうまく噛み合い、バンド全体に生々しい熱が戻る。アルバムの中でこの曲が際立つのは、単に速いからではなく、Purpleというブランドに期待される“攻め”が明確に形になっているからだろう。逆に言えば、こうした曲がアルバム全体で少数派であることが、本作の特徴でもある。

6. You Can’t Do It Right (With the One You Love)

タイトルからも分かるように、本曲は恋愛や欲望のねじれを、かなり露骨なユーモアとともに扱っている。音楽的にはファンク・ロックの色合いが強く、シャッフル気味のノリ、跳ねたベース、軽快なギター・カッティングが印象的だ。Deep Purpleの作品として聴くと驚くほど軽やかで、リフの圧力よりもリズムの粘りが前面に出ている。

この曲では特にグレン・ヒューズが活きており、ボーカル面でもベース面でも、楽曲の黒っぽさを支えている。カヴァデールもまた、ブルージーなニュアンスを添えることで、単なるお遊びでは終わらない肉感を加えている。ジョン・ロードのキーボードも過剰な主張を避けつつ、R&B的な彩りを添えていて巧みだ。歌詞のテーマはやや軽妙だが、演奏は非常にタイトで、バンドがこの種のグルーヴをかなり自然にものにしていることが分かる。

7. High Ball Shooter

この曲はアルバム中盤の中でも、ブルース・ロックとファンクの混合がよく現れたナンバーである。テンポはそれほど速くないが、ギター・リフの手触りにはロック的な重みがあり、その上でリズム隊が硬直しないノリを作っているため、単なるヘヴィ・ブルースにはならない。ブラックモアのギターはここでも印象的で、フレーズの切れ味には彼らしさがあるが、全体のムードはどこか夜っぽく、湿度が高い。

歌詞は酒や放埒な生活を連想させるタイトル通り、ロックの享楽性に接続している。ただし、それが豪放一辺倒ではなく、少し退廃的な陰影を帯びているのが興味深い。カヴァデールの低音が曲のムードを決定し、ヒューズの高音がその上に緊張感を加える。Purpleの中でもかなり“酒場感”のある曲であり、のちのWhitesnake的世界観を先取りしているとも言える。

8. The Gypsy

アルバム後半の隠れた聴きどころの一つ。ミステリアスな導入、やや妖しいメロディ、ドラマティックな展開があり、タイトル曲に通じる神秘的イメージを持ちながらも、よりしなやかでブルージーな作りになっている。リッチー・ブラックモアのギターはここで非常に効果的で、単なるリフ担当ではなく、楽曲の物語性を形作る役割を担っている。

歌詞の“Gypsy”は、ロックにおける放浪や予言、不安定な魅力の象徴として機能している。1970年代的ロックの常套モチーフではあるが、本曲ではややダークで、不穏な色合いが強い。ジョン・ロードのオルガンも空気感づくりに貢献しており、バンドの演奏は単なるジャムではなく、かなり丁寧に構成されている。アルバムの中では派手な代表曲ではないが、Mk III Purpleの色気と陰影がよく出た良曲である。

9. Soldier of Fortune

本作、そしてDeep Purple全体の中でも屈指の名バラード。アコースティック・ギターを基調とした静かなアレンジ、カヴァデールの深みある歌唱、抑制された情感によって、ハードロック・バンドのバラードという枠を超えた普遍性を獲得している。派手な展開や大仰な泣きに頼らず、放浪者の疲弊と孤独を淡々と描くことで、かえって強い余韻を残す。

歌詞は、文字通り“運命に翻弄される兵士”のような放浪者像を通して、旅、後悔、孤独、帰属のなさを歌っている。これは恋愛の歌としても、ロック・スターの自己投影としても読めるが、いずれにせよ大人びた諦念が支配している。カヴァデールのボーカルはここで決定的で、彼の声が持つブルース的な陰り、低音の説得力、そして決して過剰にならない抑制がこの曲を名曲にしている。ブラックモアの繊細なギターもまた見事で、彼が必ずしも爆発的な速弾きだけのプレイヤーではないことを証明している。後年、多くのアーティストにカバーされるのも当然の完成度である。

総評

Stormbringerは、Deep Purpleの代表作として万人がまず挙げる作品ではないかもしれない。しかし、バンドの変遷と1970年代ロックの流動性を理解するうえでは、きわめて重要なアルバムである。ここでDeep Purpleは、ハードロックの自己模倣に留まらず、ファンク、ソウル、ブルースの要素を本格的に取り込み、自らの音楽語法を拡張しようとした。その試みはバンド内部の亀裂を深め、最終的にはブラックモア脱退という結果につながったが、作品そのものには単なる過渡期では片づけられない魅力がある。

アルバム全体の特徴は、第一にグルーヴの重視である。リフの破壊力よりも、ベースとドラムのうねり、ボーカルの掛け合い、コーラスの厚みが楽曲を動かしている。第二に、カヴァデールとヒューズという二人の歌い手の個性が、従来のPurpleにはなかった彩りをもたらしていること。第三に、ジョン・ロードとイアン・ペイスが、この路線変更に柔軟に対応し、高い演奏力で楽曲の説得力を支えていること。これらが結びつくことで、本作は“重いPurple”ではなく、“しなやかなPurple”として成立している。

もちろん、リッチー・ブラックモア主導の劇的なハードロックを期待するリスナーにとっては、物足りなさも残るだろう。アルバム全体として統一感がある一方、旧来のPurple像と新しいソウル/ファンク志向が完全に融和しているとは言い切れず、そこに緊張や不均衡もある。しかし、その不均衡こそが本作の面白さでもある。すでにバンドの中心が一枚岩ではなくなり、それぞれが別の未来を見始めている。その瞬間がこれほど生々しく記録されたアルバムは、むしろ貴重である。

Stormbringerは、Deep Purpleの正統派名盤というより、分岐点の名盤として聴くべき作品だ。クラシカルなハードロックの延長としてだけでなく、1970年代のロックが黒人音楽との対話を深めていく過程の一例として、またCoverdale/Hughes/Blackmoreそれぞれの将来を予告する作品としても非常に興味深い。代表作の陰に隠れがちだが、丁寧に聴けば聴くほど、Deep Purpleというバンドの幅と矛盾、その両方が見えてくるアルバムである。

おすすめアルバム

1. Deep Purple – Burn

Mk III初作にして、本作の前段階となる重要作。よりハードロック色は強いが、Coverdale/Hughes体制の新鮮さとブルース/ソウル志向の萌芽を味わえる。

2. Deep Purple – Come Taste the Band

ブラックモア脱退後、トミー・ボーリンを迎えた作品。さらにファンキーで柔軟な方向へ進んだDeep Purpleを知るうえで欠かせない一枚。

3. David Coverdale – White Snake

カヴァデールのソロ名義だが、実質的に初期Whitesnakeの原型。Stormbringerで見せたブルージーで色気のある歌世界が、より明確に展開されている。

4. Trapeze – You Are the Music… We’re Just the Band

グレン・ヒューズの出自を知るうえで重要な作品。ファンク、ソウル、ハードロックの交錯という意味で、Stormbringerの背景理解に直結する。

5. Rainbow – Ritchie Blackmore’s Rainbow

ブラックモアが本作後に向かった先を示すアルバム。ファンク/ソウル路線から距離を取り、より様式的で劇的なハードロックへ向かう意思が明確に現れている。

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