
1. 歌詞の概要
See If I Careは、Martikaが1988年に発表したデビュー・アルバムMartikaに収録された楽曲である。
同アルバムの9曲目に置かれており、Apple MusicではMartika (Expanded Edition)収録曲として1988年6月1日、3分39秒の楽曲として掲載されている。アルバム本編では、I Feel the Earth MoveやWater、It’s Not What You’re Doingの後に続き、ラスト曲Alibisの直前に配置されている。Apple Music – Web
タイトルのSee If I Careは、直訳すると、私が気にするかどうか見てみれば、という少し挑発的な言葉になる。
日常会話では、See if I careは、勝手にすれば、私は気にしないから、という突き放した言い方にもなる。
けれど、この曲ではそのフレーズが少し違う響きを持つ。
相手に触れてほしい。
抱きしめてほしい。
キスしてほしい。
そして、そのとき自分が本当に気にしないでいられるか、試してみてほしい。
つまり、タイトルは冷たい拒絶の言葉ではなく、恋の駆け引きとして使われている。
表面では強がっている。
でも本当は相手が気になっている。
むしろ、かなり惹かれている。
だから、See If I Careという言葉には、強がりと誘惑が同時に入っている。
歌詞の主人公は、相手に対してかなりはっきりした欲望を持っている。
もし私があなたの恋人だったら。
あなたを震えさせることができるだろうか。
あなたも私と同じように胸が高鳴るのだろうか。
私の空想は、あなたと私のことばかり。
そうした気持ちが、軽やかな80年代ポップの中で歌われる。
この曲のMartikaは、泣き崩れる少女ではない。
ただ待っているだけの恋する女の子でもない。
彼女は相手を誘う。
でも、完全には弱みを見せない。
私は気にしないかもよ、と言いながら、実際にはとても気にしている。
このちょっとしたツンとした態度が、See If I Careの魅力である。
2. 歌詞のバックグラウンド
See If I Careが収録されたMartikaは、Martikaのソロ・デビュー・アルバムである。
アルバムMartikaは、1988年にリリースされ、More Than You Know、Toy Soldiers、I Feel the Earth Moveなどを収録した作品である。トラックリスト上ではSee If I Careは9曲目に置かれ、作詞作曲クレジットにはMartika、Michael Jay、Marvin Morrowの名前が記載されている。ウィキペディア
このデビュー・アルバムは、1980年代末のポップの空気をよくまとっている。
シンセの光沢。
ダンス・ポップのリズム。
フリースタイル的な軽さ。
そして、若い女性シンガーが自分の恋や欲望をはっきり歌うムード。
Martikaは当時、ティーン・ポップの文脈でも語られる存在だった。
しかし、アルバムを通して聴くと、ただ可愛らしいだけのポップ・シンガーではないことがわかる。
Toy Soldiersでは、依存や喪失のような重いテーマを歌う。
I Feel the Earth Moveでは、Carole Kingの名曲を80年代風に躍動させる。
Alibisでは、相手の言い訳に疲れた女性の怒りを歌う。
そしてSee If I Careでは、恋の欲望と強がりを遊ぶように表現している。
See If I Careの制作面では、Shazamのクレジット情報において、Michael Jayがプロデューサー、Michael JayとMarvin Morrowが作曲者として記載されている。また、Mark Leggettのギター、Paulinho Da Costaのパーカッション、Michael Jayのドラム・プログラミングなども確認できる。Shazam
Discogsのアルバム情報でも、See If I Careにはボーカル・アレンジとしてMartikaとMichael Jay、アレンジとキーボードにMarvin Morrow、ドラム・プログラミングにMichael Jay、ギターにMark Leggettといったクレジットが記載されている。
このクレジットを見ると、曲の質感がよくわかる。
完全なロック・バンドの生々しさではない。
しかし、ギターやパーカッションの手触りもある。
打ち込みの明快さと、演奏の熱が混ざっている。
このバランスが、See If I Careの軽い色気を支えている。
3. 歌詞の抜粋と和訳
歌詞の引用は権利に配慮し、短い範囲にとどめる。
See if I care
和訳すると、次のような意味になる。
私が気にするかどうか、試してみれば
この一節は、タイトルでもあり、曲の態度そのものである。
普通なら、私は気にしない、という突き放しにも聞こえる。
しかしこの曲では、むしろ相手への誘いとして機能している。
触れてみて。
抱きしめてみて。
キスしてみて。
それで私が平気でいられるか、見てみれば。
つまり、ここには恋の挑発がある。
もうひとつ、曲の感情を端的に表す短いフレーズがある。
My fantasy is you and me
和訳すると、次のようになる。
私の空想は、あなたと私のこと
この言葉によって、主人公の強がりの奥にある本音が見える。
気にしないふりをしている。
でも、頭の中では相手とのことを考えている。
自分と相手が恋人になったらどうなるのかを想像している。
AWAの歌詞掲載情報でも、主人公が相手の恋人だったらどうなるかと想像し、自分の空想はあなたと私だと歌ったあと、touch me、hold me、kiss meという呼びかけへ進む流れが確認できる。AWA
この曲の歌詞は、恋に落ちる直前の身体的な高揚を描いている。
目が合う。
胸が鳴る。
空想がふくらむ。
相手に近づいてほしい。
でも、簡単に本気を見せたくはない。
歌詞全文は各歌詞掲載サービスで確認できる。引用元はMartika See If I Care lyrics掲載情報であり、歌詞の権利はMartika、Michael Jay、Marvin Morrowおよび各権利者に帰属する。
4. 歌詞の考察
See If I Careの面白さは、言葉の表面と本音がずれているところにある。
タイトルだけ見れば、私は気にしない、という冷たい態度の曲に見える。
しかし実際の歌詞では、主人公はかなり相手を気にしている。
むしろ、気にしすぎている。
相手を見れば胸が鳴る。
恋人だったらどうなるか想像している。
触れてほしい。
抱きしめてほしい。
キスしてほしい。
それでも、彼女は真正面から好きと言わない。
かわりに、See if I careと言う。
この言い方には、80年代ポップらしい強がりがある。
素直に好きと言うのは少し負けたような気がする。
自分だけが夢中になっていると思われたくない。
だから、挑発する。
試してみれば、と言う。
この態度は、恋の駆け引きとしてとてもリアルである。
人は誰かに惹かれると、急に自分を守りたくなる。
相手に近づきたいのに、弱く見られたくない。
気持ちを知られたいのに、完全には見透かされたくない。
See If I Careは、その微妙なラインを歌っている。
また、この曲では女性側がかなり能動的である。
相手に選ばれるのを待っているだけではない。
自分の欲望を知っていて、それを相手に向けている。
ただし、その欲望は重くない。
曲の雰囲気は軽い。
少し冗談っぽい。
少し笑っている。
でも、本音はちゃんと熱い。
この軽さと熱さの混ざり方が、Martikaのデビュー・アルバムの魅力でもある。
5. この曲が好きな人におすすめの曲 5曲
- More Than You Know by Martika
Martikaのデビュー期を代表するダンス・ポップ曲である。1988年にシングルとしてリリースされ、Billboard Hot 100で18位を記録した。See If I Careよりも明るく、恋の高揚をよりストレートに歌っているが、Martikaの若々しいポップ感を知るには欠かせない。ウィキペディア
- Alibis by Martika
同じアルバムMartikaのラストを飾る曲である。See If I Careが恋の始まりの挑発なら、Alibisは関係の中で相手の言い訳に疲れた主人公の怒りを歌う曲だ。並べて聴くと、Martikaが恋の甘さだけでなく、苛立ちや拒絶も歌えることがよくわかる。
- I Feel the Earth Move by Martika
Carole Kingの名曲を、Martikaが80年代のダンス・ポップとして再解釈した楽曲である。See If I Careと同じく、身体が反応してしまう恋の高揚を扱っている。よりダイナミックで、サビの開放感も強い。
- Straight Up by Paula Abdul
相手の本気を問いただす、1980年代末の女性ポップを代表する一曲である。See If I Careの駆け引きが好きなら、Straight Upの強気な恋愛質問も響くだろう。どちらも、恋を受け身で待たない女性の声がある。
- Prove Your Love by Taylor Dayne
1980年代後半のダンス・ポップ/フリースタイル系のエネルギーを持つ楽曲である。相手に愛を証明してほしいという直接的な態度が、See If I Careの挑発的なムードと近い。力強いボーカルで、より攻めた恋の駆け引きを楽しめる。
6. Martikaというアルバムの中での役割
See If I Careは、アルバムMartikaの終盤に置かれている。
Apple MusicのExpanded Editionでは、See If I Careは9曲目、Alibisは10曲目として掲載されている。レコチョクのアルバム情報でも、See If I Careは9曲目、Alibisは10曲目に配置されていることが確認できる。Apple Music – Web
この配置はとても面白い。
アルバムの前半には、More Than You KnowやToy Soldiersのような代表的な曲がある。
中盤には、I Feel the Earth MoveやWater、It’s Not What You’re Doingがあり、ポップ、ダンス、少し影のある感情が交差する。
その後にSee If I Careが来て、最後にAlibisで締める。
つまりSee If I Careは、アルバム終盤で一度、恋の軽い挑発へ戻る曲である。
しかし、その軽さのあとにAlibisが来ることで、恋愛の明暗がはっきりする。
See If I Careでは、相手に触れてほしいと誘っている。
Alibisでは、相手の言い訳にもう疲れている。
この流れで聴くと、Martikaというアルバムが単なる明るいティーン・ポップ作品ではなく、恋愛の高揚、疑い、怒り、切なさを含んだ作品であることが見えてくる。
See If I Careは、その中で甘く、少しセクシーで、少し強気な役割を担っている。
Toy Soldiersのような深刻さはない。
Alibisのような怒りもまだない。
そこにあるのは、恋が始まる手前のスパークである。
触れたら何かが変わる。
でも、まだ完全には始まっていない。
その一瞬の空気を、この曲はとても80年代的なポップ感で切り取っている。
7. サウンドの聴きどころ
See If I Careのサウンドは、1980年代末のポップらしい艶を持っている。
まず、ドラム・プログラミングの軽さがある。
ビートははっきりしているが、重く沈まない。
足元を軽く動かすようなリズムで、曲全体を前へ進める。
そこにキーボードとギターが重なる。
Discogsのクレジットでは、アレンジとキーボードにMarvin Morrow、ドラム・プログラミングにMichael Jay、ギターにMark Leggettが記載されている。Shazamでも、Mark Leggettのギター、Paulinho Da Costaのパーカッション、Michael Jayのドラム・プログラミングが確認できる。
この編成は、曲の質感をよく表している。
打ち込みの整ったポップ感がある。
でも、ギターやパーカッションによって身体の温度もある。
完全に冷たいシンセ・ポップではなく、恋の駆け引きに似合う少し弾む音になっている。
Martikaのボーカルも聴きどころである。
彼女の声は、強烈に大人びたディーヴァ型ではない。
けれど、言葉の表情がはっきりしている。
See If I Careでは、少しからかうように歌う。
本気なのに、本気だと悟られたくないような声。
相手を誘いながら、どこか自分のペースを保っている声。
これが曲にぴったり合っている。
もしこの曲をもっと重く、情熱的に歌っていたら、See If I Careというタイトルの面白さは薄れてしまったかもしれない。
Martikaの少し軽い、しかし芯のある声だからこそ、この曲は挑発として成立している。
8. 80年代末女性ポップとしての魅力
See If I Careを今聴くと、1980年代末の女性ポップが持っていた独特の強さがよく見える。
この時代の女性ポップ・アーティストたちは、恋愛をただ受け身で歌うだけではなく、自分から問いかけ、自分から誘い、自分の欲望を言葉にするようになっていた。
Madonna、Janet Jackson、Paula Abdul、Taylor Dayne、Debbie Gibson、Tiffany、そしてMartika。
スタイルはそれぞれ違うが、80年代末のポップには、女性が自分の声で恋を動かす感覚があった。
See If I Careもその流れにある。
主人公は、相手に近づいてほしいと願っている。
しかし、それをただ甘くお願いするのではない。
See if I careと、少し挑発的に言う。
この態度がかっこいい。
私はあなたが気になっている。
でも、完全に主導権を渡すつもりはない。
あなたが動くなら、私の反応を見てみればいい。
これは、恋の中で自分を保とうとする態度である。
また、歌詞には性的な緊張もあるが、露骨に重くならない。
touch me、hold me、kiss meという言葉がありながら、曲は明るく、ポップで、少し遊び心がある。AWA
このバランスが、80年代末のポップらしい。
セクシーだが、重すぎない。
挑発的だが、怖くない。
明るいが、完全に子どもっぽくもない。
See If I Careは、その中間の空気をよく持っている。
9. Martikaのキャリアにおける位置づけ
Martikaのキャリアを語るとき、See If I Careが最初に挙がることは少ない。
代表曲としては、やはりToy Soldiers、I Feel the Earth Move、More Than You Know、そして後年のLove… Thy Will Be Doneが中心になる。Apple Musicのアーティストページでも、上位曲としてToy Soldiers、I Feel the Earth Move、Love… Thy Will Be Doneなどが目立つ形で掲載されている。Apple Music – Web Player
しかし、See If I Careはアルバム曲として、Martikaの別の表情を見せる重要な一曲である。
Toy SoldiersのMartikaは、深刻な痛みを歌う。
I Feel the Earth MoveのMartikaは、身体が揺れるほどの恋の高揚を歌う。
AlibisのMartikaは、嘘に疲れた怒りを歌う。
See If I CareのMartikaは、恋の入り口で相手を挑発する。
この曲を聴くと、彼女が単に透明な声のポップ・シンガーではなく、少ししたたかな感情表現もできるアーティストだったことがわかる。
また、作詞作曲クレジットにMartika自身の名前があることも重要である。Universal Music Publishingのデータでも、See If I Careの作家としてMarvin Morrow、Michael Jay、Martikaが記載されている。ユニバーサル ミュージック パブリッシング グループ
自分自身も関わった曲で、彼女は恋の欲望と強がりを歌っている。
これは、デビュー・アルバムの中で彼女のキャラクターを広げる役割を果たしている。
Martikaは、かわいいだけではない。
傷つくだけでもない。
怒ることもできる。
誘うこともできる。
強がることもできる。
See If I Careは、その強がりの曲である。
10. この曲が今も響く理由
See If I Careが今も魅力的なのは、恋の駆け引きにある強がりを、とても軽やかに歌っているからである。
誰かを好きになったとき、人はいつも素直になれるわけではない。
本当は気になっている。
本当は近づいてほしい。
本当は触れてほしい。
でも、それをそのまま言うのは少し怖い。
だから、わざと平気なふりをする。
別に気にしないかも。
試してみれば。
私がどう反応するか、見てみればいい。
See If I Careは、その態度を歌っている。
この感覚は、時代が変わっても変わらない。
現代なら、メッセージの返信をわざと遅らせることかもしれない。
SNSで相手を意識しながら、意識していないふりをすることかもしれない。
相手の一言で胸が高鳴っているのに、平然と返事をすることかもしれない。
形式は変わっても、恋の強がりは残る。
See If I Careは、その強がりを1988年のポップ・サウンドで鳴らしている。
サウンドには時代の光沢がある。
ドラム・プログラミング、キーボード、ギター、軽いパーカッション。
すべてが80年代末の空気をまとっている。
今聴くと、懐かしい。
しかし、その懐かしさは曲の魅力である。
特に、Martikaの声は今も新鮮に響く。
大げさに歌い上げない。
でも、気持ちはちゃんと伝わる。
少し笑っているようで、実はかなり本気。
この声の表情が、See If I Careという曲の中心にある。
この曲は、Martikaの大ヒット曲ではない。
しかし、デビュー・アルバムの中で彼女の恋愛表現の幅を示す、隠れた魅力のある一曲である。
触れてみて。
抱きしめてみて。
キスしてみて。
私が気にするかどうか、見てみれば。
その言葉は、冷たい拒絶ではない。
むしろ、恋の炎の前でわざと涼しい顔をしている人の言葉である。
See If I Careは、その一瞬をきらきらした80年代ポップの中に閉じ込めている。

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