発売日: 1966年7月22日
ジャンル: ブルースロック
アルバム全体の印象
「Blues Breakers with Eric Clapton」は、ジョン・メイオール率いるBluesbreakersと若き日のエリック・クラプトンの共演による、ブルースロック史上の金字塔といえる作品である。クラプトンがヤードバーズを脱退し、ブルースへの原点回帰を目指して参加したこのアルバムは、彼のギター演奏が強烈な印象を残し、「クラプトンは神だ(Clapton is God)」という伝説的な評価を生むきっかけとなった。
アルバム全体を通じて、伝統的なブルースのカバー曲と、オリジナル曲が絶妙に融合している。クラプトンのギターは、当時としては画期的な歪んだトーンと持続的なサスティーンを特徴としており、マーシャルアンプを使用したその音は「ブルースロックの定義」ともいえるほどの影響力を持つ。
ジョン・メイオールのボーカルとオルガン、ブルースブレイカーズのタイトなリズムセクションがクラプトンのギターを支え、アルバム全体をエネルギッシュかつダイナミックに仕上げている。伝統的なブルースを敬意を持って再解釈しつつ、ロックのエッセンスを加えた本作は、ブルースロックというジャンルの確立に大きく貢献した。
各曲解説
1. All Your Love
オーティス・ラッシュの楽曲をカバーしたオープニングトラック。クラプトンの流れるようなギターと、ジョン・メイオールの情熱的なボーカルが楽曲に新たな命を吹き込んでいる。
2. Hideaway
フレディ・キングのインストゥルメンタルをカバー。クラプトンのテクニカルでソウルフルなギターソロが光るトラックで、彼の演奏力が存分に発揮されている。
3. Little Girl
メイオールによるオリジナル曲。ミドルテンポのブルースで、クラプトンのエモーショナルなリフと、バンドのタイトな演奏が楽曲を支えている。
4. Another Man
メイオールがアコースティックギターとハーモニカを演奏するシンプルなトラック。トラディショナルなブルースのスタイルを強調した一曲。
5. Double Crossing Time
メイオールとクラプトンが共作した楽曲。クラプトンのスローブルースギターが際立ち、メイオールの感情的なボーカルが楽曲に深みを与えている。
6. What’d I Say
レイ・チャールズのカバー曲。ジョン・メイオールのオルガンと、クラプトンのリードギターが楽曲に独自のエネルギーを注いでいる。
7. Key to Love
アップテンポなオリジナル曲。ブラスセクションが加わり、従来のブルースとは一味違ったダイナミックなサウンドが楽しめる。
8. Parchman Farm
トラディショナルなブルースをロック風にアレンジした楽曲。メイオールのユーモラスなボーカルとクラプトンのギターが絶妙に絡み合う。
9. Have You Heard
アルバム中で最も印象的なスローブルースナンバー。クラプトンの情熱的なギターソロが楽曲のクライマックスを作り上げている。
10. Ramblin’ on My Mind
ロバート・ジョンソンの楽曲をクラプトンがリードボーカルでカバー。彼のボーカルデビュー曲としても知られる。
11. Steppin’ Out
インストゥルメンタルで、クラプトンのギターが全面にフィーチャーされている。疾走感とテクニックが光る名演。
12. It Ain’t Right
アルバムを締めくくる軽快なブルーストラック。クラプトンのギターとバンドの一体感が楽しめる。
アルバム総評
「Blues Breakers with Eric Clapton」は、ブルースロックというジャンルを確立した歴史的な作品であり、エリック・クラプトンのギタープレイが世界に衝撃を与えたアルバムである。伝統的なブルースの枠を超えたエネルギーとロック的な解釈が、当時の音楽シーンに新しい風を吹き込んだ。
クラプトンのギターはもちろんのこと、ジョン・メイオール率いるバンド全体の緊密なアンサンブルも本作の魅力を支えており、クラシックブルースとロックの完璧な融合が感じられる。ブルースロックの名盤として、ジャンルを問わずあらゆる音楽ファンに推薦できる一枚だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
「Fresh Cream」 by Cream
クラプトンが次に加入したバンドのデビューアルバム。ブルースロックとサイケデリックロックの融合が楽しめる。
「Are You Experienced」 by The Jimi Hendrix Experience
ブルースを基盤としたギターサウンドが特徴で、クラプトンに影響を受けたジミ・ヘンドリックスの革新性が光る。
「Led Zeppelin I」 by Led Zeppelin
ブルースロックとハードロックを融合させた名盤。ギターワークの魅力が「Blues Breakers」と共通する。
「John Mayall’s Bluesbreakers: A Hard Road」 by John Mayall & the Bluesbreakers
クラプトン脱退後にピーター・グリーンが加入したアルバムで、異なるギタリストの個性が楽しめる。
「Texas Flood」 by Stevie Ray Vaughan and Double Trouble
ブルースギターの名作。クラプトンのスタイルを受け継ぎ、さらに発展させたサウンドが魅力的。
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