アルバムレビュー:Accelerate by R.E.M.

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:2008年3月31日

ジャンル:Alternative Rock / College Rock / Post-Punk / Indie Rock

概要

Accelerateは、R.E.M.が2008年に発表した14作目のスタジオ・アルバムである。前作Around the Sunは電子音やミッドテンポを多用した内省的な作品だったが、制作に長い時間を費やしたこともあって、バンド自身が演奏の勢いを十分に捉えられなかったという評価を受けた。そこで本作では、Jacknife Leeをプロデューサーに迎え、曲を短く絞り込み、ギター、ベース、ドラムを中心とした生々しいロック・バンドの感触へ大きく舵を切った。

その方針は明快で、全11曲・約35分というコンパクトな構成の中に、歪んだPeter Buckのギター、Mike Millsの太いベースとコーラス、Bill Rieflinの力強いドラム、Michael Stipeの切迫した歌唱が高密度で詰め込まれている。初期R.E.M.への単純な回帰ではなく、1980年代のポストパンク的な鋭さと、1990年代に獲得したアリーナ・ロック級の音圧を結び直したサウンドである。

歌詞では、政治的不信、環境破壊、戦争、宗教、メディア、自己欺瞞といった社会的な題材が多く扱われる。2000年代後半のアメリカ社会への苛立ちが背景にあるが、具体的な固有名詞を並べるより、壊れた制度や責任から逃げる人物像を通して批評するのがStipeらしい。タイトルのAccelerateは速度そのものを示すと同時に、世界が制御不能のまま加速していく感覚も含んでいる。キャリア終盤に入ったR.E.M.が、過去を懐古するのではなく、演奏の切迫感によって現在へ食い込もうとした作品である。

全曲レビュー

1. Living Well Is the Best Revenge

歪んだギターと猛烈なドラムで始まるオープニングは、本作の方針を数秒で理解させる。テンポは速く、ベースも旋律的に動きながら前進し、Around the Sunの沈滞感を意識的に振り払うような演奏になっている。

タイトルは「よく生きることこそ最高の復讐」という古い格言に由来するが、Stipeの歌唱には穏やかな達観より攻撃性がある。相手を直接打ち負かすのではなく、自分の生き方そのものを反論にするという姿勢が、キャリア後半のR.E.M.自身にも重なる。Mike Millsのコーラスも初期作を思わせる勢いを加え、アルバムの再起動を宣言する曲となっている。

2. Man-Sized Wreath

ニューウェイヴ的な跳ねを持つギターとベースが特徴で、前曲ほど一直線ではなく、少しファンキーな身体性がある。Peter Buckのギターは大きなコードを鳴らすより、短いフレーズを刻みながらリズムの隙間を埋める。

歌詞では、巨大な花輪という奇妙なイメージを通じて、記念、権威、公共的な演出への皮肉が読み取れる。Stipeは意味を完全には固定せず、祝典めいたイメージの裏に空虚さを残す。政治的な不満を演説に変えず、グロテスクな視覚イメージへ圧縮する書法がR.E.M.らしい。

3. Supernatural Superserious

本作でもっともポップなメロディを持つ代表曲。ギターは歪んでいるが、サビではMike Millsのハーモニーが大きく開き、R.E.M.が長年得意としてきた「痛みを明るい旋律で包む」方法が鮮明に戻ってくる。

歌詞の中心にいるのは、過去に受けた屈辱や恥を抱え続ける人物である。出来事そのものより、それを何年経っても忘れられず、自分の人格の一部にしてしまう心理へ焦点を当てる。タイトルの大げさな語感とは対照的に、主題は非常に人間的で、他人には些細に見える傷が本人には長く残り続けるという感覚が描かれる。激しいアルバムの中で、感情的な中心を担う一曲である。

4. Hollow Man

ピアノを伴った静かな導入から、突然ギター主体のロックへ展開する構成が印象的。内省と爆発を一曲の中で往復することで、「空洞の人間」というタイトルにふさわしい不安定さが生まれている。

Stipeは、自分自身が何者なのか確信できず、外から見える人格と内面の空白が一致しない人物を描く。これは社会批評というより自己認識の歌であり、本作の中では珍しく視線が完全に内側へ向く。サビで音量が増しても解決感はなく、むしろ声を大きくするほど空虚さが露呈するような構造になっている。

5. Houston

短く抑制された曲で、ハリケーン・カトリーナ後のアメリカ南部や避難、荒廃を想起させる内容を持つ。直接的な報道描写ではなく、移動する人々や傷ついた土地の断片を並べることで、災害後の社会に残る不安を描く。

アコースティックな感触とオルガン系の音色が中心で、前半の爆発的なロックから一旦速度を落とす。約2分という短さも、壮大な社会問題を解説するのではなく、風景の一部だけを目にしたような印象を強める。怒りより疲労と祈りに近い温度を持つ曲である。

6. Accelerate

タイトル曲は、アルバムの切迫感を最も直接的に音へ変換している。ギター、ベース、ドラムがほとんど休まず前進し、Stipeのヴォーカルも拍に押されるように言葉を吐き出す。

歌詞では、急速に変化する状況の中で判断を迫られながら、何を信じればいいのか分からない感覚が中心にある。加速は自由や高揚の象徴ではなく、むしろ制御を失うことへの恐怖として響く。2000年代の政治、情報、社会的不安を特定の事件へ限定せず、「止まれない世界」という感覚にまで抽象化した点が本作のタイトルにふさわしい。

7. Until the Day Is Done

アコースティック・ギターを主体にした暗いバラードで、アルバムの高速な流れをいったん止める。フォーク的な簡素さとMike Millsの控えめなハーモニーによって、初期R.E.M.とは別の形で成熟した叙情性が現れる。

歌詞は、国家や社会が自ら築いた理想から遠ざかり、責任を果たせない状態への失望として読める。Stipeは怒鳴るのではなく、疲れ切った観察者のように歌うため、批判はむしろ重く響く。タイトルが示す「一日が終わるまで」という時間感覚には、まだ何かを修復できるかもしれないというわずかな余地も残されている。

8. Mr. Richards

鋭いギター・リフを軸にしたミッドテンポのロック・ナンバー。タイトルの人物は、権力や立場を利用しながら責任を回避する存在として描かれ、Stipeの声にも軽蔑と皮肉が混じる。

ここで面白いのは、特定の政治家を名指しするのではなく、一人の“Mr. Richards”という人物像へ縮小している点である。そのため歌詞は一時的な政治風刺を超え、権威に寄りかかりながら自分の行為を正当化する人物一般への批判として機能する。演奏も派手に加速せず、重い反復によって圧力をかけ続ける。

9. Sing for the Submarine

本作でもっとも奇妙で幻想的な曲。タイトルに潜水艦が登場するように、現実の政治や社会から一歩離れ、終末後の世界や地下へ避難する人々を思わせるイメージが連続する。

サウンドも比較的空間的で、ギターは壁のように鳴る一方、ヴォーカルには夢の中で語っているような距離がある。過去のR.E.M.楽曲を想起させる言葉やイメージも散りばめられ、長いキャリアの記憶が崩壊した未来へ流れ込むような感触を持つ。アルバムの政治性を、SF的な終末イメージへ拡張する異色曲である。

10. Horse to Water

高速のギターと荒々しいドラムが戻り、終盤を一気に加速させる。タイトルは「馬を水辺まで連れて行けても、水を飲ませることはできない」という英語のことわざを踏まえ、自分で変わる意思のない相手に何を言っても無駄だという苛立ちが中心にある。

Stipeの歌唱は本作でも特に攻撃的で、説得を諦めた人物が最後に吐き捨てるような勢いを持つ。メロディよりリズムと音圧が主役であり、R.E.M.が1980年代のポストパンク的な瞬発力を、より重い現代的な録音で再現した曲といえる。

11. I’m Gonna DJ

アルバム最後を飾るのは、終末を前にDJをするという奇妙に陽気なロック・ナンバー。世界が終わるとしても、自分は音楽をかけ続けるという発想が、破滅への恐怖とロックンロール的な快楽主義を結びつける。

ギターは荒く、コーラスは単純で、作品中でもっともライブ向きの直接性を持つ。ここまで社会の崩壊や責任、喪失を扱ってきたアルバムが、最後に「それでも音楽を鳴らす」という行為へ戻る構成は象徴的である。深刻さを完全には解消しないまま、ロック・バンドとしての身体的な喜びで締めくくる。

総評

Accelerateは、R.E.M.が過去の成功を再現した作品ではなく、「バンドとして鳴ること」の意味を改めて確認したアルバムである。1980年代には曖昧なギターとリズムの絡み合い、1990年代には巨大なロック・サウンドと実験性、2000年代前半には電子音と沈黙の多い内省へ進んだ彼らが、ここでは余分なものを削り、短い曲を強く演奏するという極めて基本的な方法へ戻っている。

その結果、Peter Buckのギターは再び音楽の中心的な推進装置となった。アルペジオだけでなく、荒いパワーコード、短いリフ、ノイズまで使いながら、曲を前へ押す。Mike Millsはベースとコーラスの両面で旋律を補い、Bill RieflinのドラムはBill Berry時代のコピーではない独自の重さを与えている。Michael Stipeも、前作のような沈んだ独白より、言葉を切りつけるような歌唱へ戻った。

ただし、音圧を意図的に高くしたプロダクションは本作の長所であると同時に限界でもある。多くの曲が強く圧縮された質感を持つため、細かな楽器のニュアンスやダイナミクスが埋もれる場面もある。また、「高速で短いロック・アルバム」という方針が明確なぶん、Automatic for the PeopleやNew Adventures in Hi-Fiのような音楽的な振幅は少ない。それでも、その制約こそが本作の集中力を生んでいる。

歌詞全体に共通するのは、壊れた社会を外側から批判するというより、自分自身もその状況の内部にいるという認識である。「Mr. Richards」のように権力者を批判する曲がある一方、「Hollow Man」では空虚さが自己へ向き、「Supernatural Superserious」では個人の傷が扱われる。公的な危機と私的な不安が分離されず、どちらも「何かが正しく機能していない」という感覚の一部として存在する。

2008年という時期には、R.E.M.はすでにオルタナティヴ・ロックの歴史そのものに組み込まれた存在だった。だからこそ本作の意義は、若いバンドと競うことではなく、30年近いキャリアを持つグループがなお切迫した演奏を作れることを示した点にある。Accelerateは革新的なサウンドを発明した作品ではないが、R.E.M.が自分たちのロック・バンドとしての核を再発見し、終盤のキャリアへ勢いを取り戻した一枚である。短さ、速さ、怒り、そして演奏する喜びが、タイトル通り一方向へ加速している。

おすすめアルバム

Around the Sun by R.E.M.

2004年発表の前作。電子音、ミッドテンポ、沈んだムードを中心とし、Accelerateとは意図的なほど対照的な作品である。両作を続けて聴くと、バンドがなぜ演奏の速度と即効性を取り戻そうとしたのかが明確になる。

Collapse into Now by R.E.M.

2011年発表の最終スタジオ・アルバム。Accelerateのロック的な勢いを引き継ぎながら、アコースティック、バラード、ゲスト参加などキャリア全体の語法を再び広げた。R.E.M.が最後にどのように自分たちの歴史をまとめたかを確認できる。

Lifes Rich Pageant by R.E.M.

1986年発表。初期の曖昧なサウンドから一歩進み、ギターとドラムを力強く前へ出した作品。政治や環境への関心も強く、Accelerateが再接続した「鋭い演奏と社会的視点」の原型として位置づけられる。

New Adventures in Hi-Fi by R.E.M.

1996年発表。ライブ感の強い録音と荒いギター、内省的な歌詞を組み合わせた作品で、R.E.M.のロック・バンドとしての重量感が最も自然に捉えられている。Accelerateの生々しさへ至る重要な先例である。

Dig!!! Lazarus Dig!!! by Nick Cave & The Bad Seeds

2008年発表。長いキャリアを持つバンドが、同時代に再び荒々しいロックの身体性を前面へ出した作品。音楽的にはR.E.M.よりガレージ/ブルース色が強いが、成熟したソングライターが洗練を一度壊し、勢いと皮肉を取り戻したという点でAccelerateとよく響き合う。

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