発売日: 1968年4月3日
ジャンル: フォークロック、バロックポップ
Simon & Garfunkelの4枚目のスタジオアルバム『Bookends』は、フォークロックの域を超え、コンセプトアルバムとして革新を追求した作品だ。前半は人生の循環をテーマにしたコンセプトパートであり、後半には既発シングルを収録するというユニークな構成を持つ。1960年代後半のカウンターカルチャーの中で生まれたこのアルバムは、社会問題と個人的な内省を織り交ぜた詩的な歌詞、そして美しいアレンジで時代を象徴する傑作となった。
『Bookends』は、リリース直後から商業的・批評的な成功を収め、彼らのキャリアにおける重要なマイルストーンとなった。また、ポール・サイモンの緻密なソングライティングとアート・ガーファンクルの澄んだボーカルのコンビネーションは、このアルバムで新たな高みに達している。
アルバムの背景
『Bookends』がリリースされた1968年は、アメリカが大きな社会的変化に直面していた時代だった。ベトナム戦争、公民権運動、若者文化の台頭といった背景の中で、このアルバムは、個人と社会の関係、そして人生の儚さや孤独をテーマにしている。
制作において、ポール・サイモンはソングライティングとプロデュースの多くを担当し、アルバム全体に統一感を与えた。アート・ガーファンクルは、特に前半のコンセプトパートで、ボーカルだけでなくアレンジや構成のアイデアにも関与し、アルバムをより叙情的かつ映画的なものにしている。
各曲解説
前半：コンセプトサイド（人生の循環を描写）
1. Bookends Theme
アルバムの冒頭を飾る短いインストゥルメンタル。シンプルなギターの旋律が、人生の始まりを象徴するような静けさと美しさを醸し出している。このテーマはアルバムの最後にもリプライズされ、人生の循環を表現している。
2. Save the Life of My Child
不穏なシンセサウンドとドラマチックな構成が特徴の楽曲。現代社会の若者問題をテーマにしており、親の視点から子供の人生を案じる内容が歌われている。実験的なアレンジがアルバム全体の雰囲気を引き締めている。
3. America
アメリカンドリームを探す若いカップルの旅を描いた叙事詩的な楽曲。美しいメロディと詩的な歌詞が組み合わさり、広大な風景と内面の孤独感が交錯する名曲。アート・ガーファンクルの感情豊かなボーカルが特に印象的だ。
4. Overs
人生における倦怠感と、関係の終わりを静かに描いた楽曲。軽やかなギターのアルペジオが、歌詞の切なさを際立たせている。
5. Voices of Old People
アート・ガーファンクルが録音した実際の高齢者たちの声を編集したインタールード。人生の終盤を象徴し、ノスタルジックで少し哀愁を感じさせる。
6. Old Friends
老年期の友情と人生の儚さをテーマにした楽曲。ストリングスの壮大なアレンジと静かなボーカルが融合し、アルバム全体の感動的なハイライトとなっている。
7. Bookends Theme (Reprise)
冒頭のテーマを繰り返す短いトラックで、人生の循環を締めくくる。簡潔でありながらも深い余韻を残す。
後半：シングルコレクション
8. Fakin’ It
軽快なリズムと皮肉たっぷりの歌詞が特徴の楽曲。個人のアイデンティティに対する不安がテーマとなっている。
9. Punky’s Dilemma
遊び心のある歌詞とメロディが印象的なトラック。シリアルを食べる朝の情景から始まり、日常の中に潜む不安を描く。
10. Mrs. Robinson
映画『卒業』のために書かれた、Simon & Garfunkelの代表曲。シンプルなギターリフと印象的なコーラスが、社会的テーマと個人の物語を見事に融合させている。
11. A Hazy Shade of Winter
フォークロックの力強さと、人生の季節を描いた詩的な歌詞が融合した一曲。後にバングルスがカバーしたことでも有名。
12. At the Zoo
動物園を舞台に、社会や人間関係を風刺的に描いた楽曲。軽快で楽しいメロディが、アルバムの締めくくりを明るく彩る。
アルバム総評
『Bookends』は、Simon & Garfunkelが音楽的にもテーマ的にもピークに達したアルバムだ。前半のコンセプトパートでは人生の循環を詩的に描き、後半のシングルコレクションでは彼らのヒット曲の多様性と普遍性を楽しむことができる。特に「America」や「Old Friends」は、時代を超えた感動を与える名曲であり、アルバム全体を通して人生の美しさと儚さを浮き彫りにしている。
また、実験的なサウンドやストリングスを駆使したアレンジは、フォークロックの枠を超えた芸術性を示しており、当時の音楽シーンにおいても重要な位置を占めている。『Bookends』は、リスナーに深い感動と内省をもたらす不朽の名作だ。
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Bridge Over Troubled Water by Simon & Garfunkel
彼らの最後のアルバムで、壮大なアレンジと感動的な楽曲が詰まっている。
Pet Sounds by The Beach Boys
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Highway 61 Revisited by Bob Dylan
詩的な歌詞と社会的テーマを追求したフォークロックの傑作。
Forever Changes by Love
複雑なアレンジと内面的なテーマが融合したアルバムで、Simon & Garfunkelのファンにも響く。
John Wesley Harding by Bob Dylan
シンプルで哲学的なフォークアルバムで、『Bookends』の静謐な一面と共鳴する作品。
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