アルバムレビュー:Second Thoughts by Split Enz

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日: 1976年8月
ジャンル: アートロック、プログレッシブ・ロック、バロック・ポップ、グラムロック

概要

『Second Thoughts』は、ニュージーランド出身のアートロック・バンド、Split Enzが1976年に発表した2枚目のスタジオ・アルバムであり、狂騒と耽美を併せ持ったデビュー作『Mental Notes』の“再構築”にして“深化”でもあるユニークな作品である。
イギリス進出を見据えて制作された本作は、初期Enzの“過剰な奇才”を英国流の洗練とテクニカルな録音技術によって磨き上げ、より構造的で劇場的な芸術性を獲得したアルバムとして位置づけられる。

プロデューサーには元Roxy MusicのPhil Manzaneraを迎え、バンドの演劇性とプログレ的展開を引き出すディレクションが施されている
収録曲の半数は前作『Mental Notes』からの再録であるが、アレンジ、演奏、録音すべてにおいて明確なアップグレードが施されており、Split Enzが“録音芸術”としてのロックに挑戦した成果とも言える内容になっている。

また本作から、のちにEnzの音楽性を劇的に変化させるメンバー、ニール・フィン(Timの弟)が合流する直前のタイミングでもあり、フィル・ジャッドとティム・フィンの創作パートナーシップが極まった最終形としても注目される。

全曲レビュー

1. Late Last Night

このアルバムのために新たに書き下ろされたリードトラック。
跳ねるようなリズムとアングラ感漂うアレンジが特徴で、サーカス的な不穏さとキャッチーなメロディの共存がSplit Enzらしい。
ヴァースとコーラスの劇的な落差が、物語性の高さを感じさせる。

2. Walking Down a Road

前作からの再録。
イントロの管楽器アレンジが強化され、リズムもシャープに洗練された。
“無意識の旅路”としてのイメージがより明確になり、混沌から構築へと変化したSplit Enzの姿が表れている。

3. Titus

再録版はテンポがややアップし、メロディがより際立つ。
タイタスという象徴的キャラクターに新たな生命が吹き込まれ、寓話性がファンタジーから人間ドラマへと接近している印象。
ミュージカル的な展開力が強調されている。

4. Lovey Dovey

Phil Judd色の濃い新曲。
アイロニカルなラブソングで、歌詞と曲調がズレた演出によって、恋愛の滑稽さと自己欺瞞が浮き彫りになる
サックスとピアノが軽快ながら不安を煽る。

5. Sweet Dreams

前作からの再録。
スローで催眠的なテンポの中に、ヴィクトリア朝的な耽美性と暗いユーモアが宿る。
ストリングスとリズムの緩やかなうねりが、夢と悪夢の狭間の揺らぎを表現する。

6. Stranger Than Fiction

『Mental Notes』で最も象徴的だった楽曲の再録。
テンポが若干整えられ、オリジナルよりも抑制が効いた分、より“演じる”ことに徹した構成美が際立つ
合唱パートの重厚感が増し、Split Enzの劇場性がより強化されている。

7. Time for a Change

再録ではあるが、原曲の持つ感傷的な質感はそのままに、音像が透明度を増したことで“変化”というテーマにより内省的な響きが加わっている。
ティム・フィンのボーカルがより叙情的で、孤独を深く漂わせる。

8. Matinee Idyll (129)

シングル曲として録音されていたナンバーで、本作がアルバム初収録。
午後のけだるさと破綻寸前の精神状態を重ね合わせるような構成で、皮肉な明るさと陰鬱さのコントラストが鮮やか
サーカスと病院を往復するようなSplit Enzらしい曲調。

総評

『Second Thoughts』は、Split Enzがローカルな実験精神から、グローバルなアートロックの舞台へと歩み出す“第二の出発点”であり、再録という形式を通じて自身の芸術性を洗練させた極めてユニークなアルバムである。
ここには、『Mental Notes』の“暴走する天才たち”という印象から、演出と構築によって自らを制御しようとする成熟したアーティストたちの姿が浮かび上がる。

プロデューサーであるPhil Manzaneraの影響も大きく、Roxy Music的なアヴァン・エレガンスと、Genesisや10ccに通じる構築美が融合したこの作品は、1970年代後半アートロックの重要な到達点である。

Split Enzはこの後、ニール・フィン加入とともに徐々にポップ路線へと舵を切ることになるが、このアルバムは“構築と破綻のあわいに咲いたアートの花”として、今なお鮮烈な印象を残す

おすすめアルバム(5枚)

  • Roxy Music / Stranded
     アートロックと洗練されたポップの均衡。Manzaneraのプロデュースとも繋がる。

  • 10cc / The Original Soundtrack
     スタジオ技巧とポップ性の融合。構築と皮肉のセンスが共通。

  • Genesis / A Trick of the Tail
     劇的な構成力と叙情性を備えたポスト・ガブリエル期の傑作。

  • Steve Harley & Cockney Rebel / The Psychomodo
     演劇的ロックの先駆的作品。Split Enzと同じ“狂気を歌うロマンティスト”。

  • City Boy / Dinner at the Ritz
     技巧派ポップとプログレの交差点。Split Enzの構成美に通じる。

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