発売日: 1989年1月30日
ジャンル: アシッドハウス、ダンスロック、シンセポップ
Techniqueは、New Orderがマンチェスターのクラブシーンから影響を受け、バンドサウンドにアシッドハウスやエレクトロニックダンスミュージック（EDM）を本格的に取り入れたアルバムである。イビサ島でレコーディングされた本作には、同地のクラブ文化やリゾート気分が反映されており、バンドの既存のポストパンク・ニューウェーブの影響を残しつつも、より軽快でダンサブルな方向に進化しているのが特徴だ。シングル「Fine Time」「Round & Round」などは、エレクトロニックビートとキャッチーなメロディが融合し、80年代後半のダンスシーンを象徴するトラックとして高く評価されている。
Techniqueは、バンドにとって商業的成功も収めたアルバムであり、特にクラブミュージックとロックサウンドが共存するスタイルが評価された。Peter HookのベースラインやBernard Sumnerのメロディアスなボーカル、Stephen Morrisのリズムがうまくシンセサイザーと調和し、リスナーをダンサブルでエネルギッシュな音楽の世界に引き込む。本作は、New Orderの「クラブとバンドの境界を越える」という試みが見事に結実した作品であり、バンドの音楽的実験の集大成とも言えるだろう。
トラックごとの解説
1. Fine Time
アルバムの幕開けを飾るエレクトロニックでダンサブルなトラック。シンセのビートとファンキーなリズムが印象的で、クラブ文化の影響が色濃く反映されている。
2. All the Way
「Fine Time」とは対照的に、よりバンドサウンドが前面に出た楽曲。ポップでメロディアスなサウンドが心地よく、リラックスした雰囲気が感じられる。
3. Love Less
ギターリフとシンセが調和するトラックで、メランコリックなメロディが特徴的。Bernard Sumnerのボーカルがエモーショナルで、ノスタルジックな雰囲気が漂う。
4. Round & Round
アルバムの代表曲の一つで、アップテンポでキャッチーなメロディが特徴的。エレクトロニックなリズムとギターが融合し、クラブ向けのダンサブルなトラックに仕上がっている。
5. Guilty Partner
ベースラインが印象的で、内向的でメランコリックなトーンが漂う楽曲。Peter Hookのベースが楽曲を引き立て、感情的な深みを加えている。
6. Run
柔らかくリズミカルな曲調で、エモーショナルなメロディが特徴。Sumnerの優しいボーカルが印象的で、アルバムの中でも特にノスタルジックな一曲。
7. Mr. Disco
シンセとエレクトロビートが前面に出たナンバーで、軽快なリズムと遊び心が感じられる。ダンサブルで楽しい雰囲気が漂う一曲で、クラブシーンにも合う。
8. Vanishing Point
緻密なシンセとメロディアスなギターリフが美しく融合している。内向的で感傷的なトーンが流れる一方、リズミカルなビートがアルバム全体の一体感を持たせている。
9. Dream Attack
アルバムを締めくくるメロディアスで幻想的なトラック。シンセサウンドとギターが美しく交差し、感動的なエンディングを演出している。
アルバム総評
Techniqueは、New Orderがエレクトロニックミュージックとロックを融合し、アシッドハウスやダンスシーンに深く足を踏み入れた革新的なアルバムである。イビサでのレコーディングという背景がアルバム全体に影響を与え、クラブ文化やバンドのエネルギーが見事に融合している。「Fine Time」や「Round & Round」などのダンサブルなトラックは、New Orderがクラブシーンの最前線に立つ存在であることを証明し、バンドの新たな方向性を示した。シンセサイザー、ギター、ベース、ボーカルが一体となり、クラブとライブの両方での魅力が詰まった一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Violator by Depeche Mode
エレクトロニックでありながらも感情豊かな楽曲が揃った名作で、Techniqueの持つメランコリックでダンサブルな側面が好きな人におすすめ。
Actually by Pet Shop Boys
エレクトロポップとダンスミュージックが融合したアルバムで、クラブシーンへの影響も感じられる一枚。Techniqueのポップな一面と共鳴する。
Introspective by Pet Shop Boys
クラブミュージックとエレクトロニックポップの融合が光るアルバムで、Techniqueのダンサブルなサウンドが好きなリスナーに響く。
Ritual de lo Habitual by Jane’s Addiction
エネルギッシュでダイナミックなサウンドが特徴のロックアルバムで、Techniqueのロック的なエネルギーに共感するリスナーにおすすめ。
Sons and Fascination/Sister Feelings Call by Simple Minds
エレクトロニックな要素とニューウェーブのスタイルが融合した一枚で、New Orderのダークでリズミカルなサウンドに近いものを感じられる。
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