- 発売日: 2016年6月17日
- ジャンル: ロック、フォーク、ブルース、カントリーロック
On My Oneは、Jake Buggの3枚目のアルバムであり、これまでのスタイルからさらに進化し、自身のソングライティングと演奏の多才さを全面に出した作品である。このアルバムタイトルは「一人でやる」という意味のノッティンガムのスラングであり、アルバム制作のほとんどを彼が一人で手がけたことを示している。Buggはこの作品で、フォークやブルースに加え、ソウルやヒップホップの要素を取り入れ、サウンド面でも新たな実験を試みた。
アルバムは、孤独や自己探求のテーマが色濃く描かれ、個人的な内省や苦悩が歌詞に反映されている。多彩なジャンルを横断しながらも、Buggのルーツに忠実なエネルギッシュなサウンドが核となっており、彼の音楽的成長が感じられる作品となっている。
トラック解説
1. On My One
アルバムのタイトル曲で、ブルースとフォークの要素が組み合わさったイントロ的なトラック。孤独感と不安が滲み出ており、シンプルなギターリフがBuggの歌声を引き立てる。静かながらも力強い決意を感じさせる。
2. Gimme the Love
ファンキーでアップテンポなトラックで、ヒップホップやダンスロックの影響が感じられる。エレクトリックギターとドラムが緊迫感のあるビートを刻み、Buggのボーカルがエネルギッシュに響く。ダンスフロアでも楽しめる意外性のある一曲。
3. Love, Hope and Misery
ソウルフルで哀愁漂うバラードで、オーケストラを背景にBuggの感情豊かなボーカルが冴える。愛と希望、そして失望の間で揺れ動く心情が描かれており、彼の新しい一面を感じさせる感動的な楽曲。
4. The Love We’re Hoping For
メロウで心地よいリズムが特徴のトラックで、愛と期待が交錯する複雑な心情を歌っている。リラックスしたギターと、切なさを漂わせるボーカルが印象的で、アルバムの中でも特に優雅な雰囲気を持つ。
5. Put Out the Fire
ロカビリー調のアップテンポな一曲で、エネルギッシュなギタープレイが際立つ。明るいサウンドとは裏腹に、歌詞には人間関係の火種を消し去りたいというメッセージが込められている。ライブでも盛り上がるナンバー。
6. Never Wanna Dance
ブルースとR&Bのエッセンスが感じられるトラックで、リズミカルなギターとBuggの軽快なボーカルが魅力的。人間関係での葛藤を軽やかに歌い上げ、楽曲に心地よいテンポ感がある。
7. Bitter Salt
ロックとエレクトロニカが融合した実験的なトラックで、ダークで重厚なサウンドが特徴。愛と失望が交錯する内容が歌詞に表れており、緊張感のあるメロディが耳に残る。
8. Ain’t No Rhyme
ヒップホップの要素を取り入れた異色のトラックで、Buggがラップ調のボーカルを披露している。社会問題や不条理に対する怒りが表現され、ビートとリズムが楽曲に強いエネルギーを与えている。
9. Livin’ Up Country
カントリーテイストの軽快なトラックで、田舎での生活の楽しさや自由な雰囲気が描かれている。アコースティックギターと陽気なリズムが聴きやすく、リスナーを和ませる一曲。
10. All That
しっとりとしたラブバラードで、Buggの柔らかいボーカルが際立つ。愛への感謝と深い思いが込められた曲で、アコースティックなサウンドが心に染み渡る。
11. Hold On You
アルバムを締めくくる哀愁漂うトラックで、失われた愛や人間関係への未練を描いている。ゆったりとしたメロディが感傷的な雰囲気を生み出し、アルバム全体を切なくも美しくまとめ上げるフィナーレにふさわしい。
アルバム総評
On My Oneは、Jake Buggがセルフプロデュースに挑戦し、ジャンルを超えた多様なサウンドを取り入れた意欲作である。ブルース、フォーク、ロックに加え、ヒップホップやソウルなどの影響が混在しており、彼の音楽的な好奇心と実験的な姿勢が感じられる。タイトルに象徴されるように、このアルバムはBuggが自分自身と向き合い、孤独や自己探求のテーマを深く掘り下げた作品であり、彼のアーティストとしての成長が感じられる。
特に「Gimme the Love」や「Love, Hope and Misery」などの楽曲では、Buggの新たな側面が見え、ファンにとっても新鮮な驚きがある。幅広い音楽性を取り入れつつも、彼のルーツであるブルースやフォークの影響が根底に流れており、アルバム全体としての一貫性も保たれている。この作品は、彼の音楽が持つ多様性と進化を示す一枚として、聴きごたえがある。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Morning Phase by Beck
ジャンルを超えた音楽性とメロウなサウンドが共通しており、内省的で美しい作品。Buggの静かなバラードを好むリスナーに最適。 - Lazaretto by Jack White
ブルース、ロック、カントリーの要素が融合したエネルギッシュなアルバム。Buggの多彩な音楽性に共鳴する。 - Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not by Arctic Monkeys
イギリスの若者文化を背景にした名作で、反抗的なエネルギーがBuggのロックスタイルと共通する。 - Sea Change by Beck
メロディアスで感情豊かなバラードが多く収録された作品。Buggの感傷的な面に共鳴するアルバム。 - Chaos and the Calm by James Bay
ブルースやロックを基盤にした力強い作品で、Buggファンに響くソウルフルなボーカルとリリックが魅力。
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