- 発売日: 2017年7月21日
- ジャンル: インディーポップ、サイケデリックポップ、オルタナティブロック
Sacred Hearts Clubは、Foster the Peopleの3枚目のアルバムであり、エネルギッシュで実験的なサウンドが特徴の一枚である。前作Supermodelでの社会的・内省的なテーマから一転し、Sacred Hearts Clubではバンドがリスナーをポップでサイケデリックな音楽の旅へと誘う。アルバム全体にわたって、明るいメロディとファンキーなリズムが融合し、Foster the Peopleの新たな一面が感じられる。70年代や80年代のポップ、ソウル、ヒップホップなどの影響がうまくミックスされ、聴きごたえのある作品に仕上がっている。
このアルバムでは、現代社会の愛や平和、そして喜びに焦点を当てており、リスナーをポジティブなエネルギーで包み込むような内容が詰まっている。ボーカルのマーク・フォスターは、個人の自由や人間関係に対する想いを表現し、曲を通じて多くの人が共感できるメッセージを届けている。楽曲の構成やサウンドも多様で、ダンサブルなトラックから内省的なバラードまで、バンドの進化がうかがえる一枚だ。
トラック解説
1. Pay the Man
アルバムのオープニングを飾るエネルギッシュなトラックで、強烈なビートとシンセが印象的。ファンキーなベースラインとメロディが耳に残り、社会の圧力や人間の野望をテーマにしている。アルバムの先駆けとして、バンドの新しい方向性を提示する一曲。
2. Doing It for the Money
軽快でキャッチーなメロディとシンセが絡み合うトラックで、現代の成功と消費主義への批判を描写している。ポップでありながら深いメッセージが込められており、聴きやすくも考えさせられる一曲。リズミカルで踊りたくなるビートが特徴的。
3. Sit Next to Me
このアルバムのリードシングルとして人気を博したトラックで、甘くロマンチックなムードが漂う。心地よいギターリフとリズムが魅力で、恋愛における駆け引きを軽やかに表現。キャッチーなサウンドが印象に残り、幅広いリスナーに愛されている。
4. SHC
タイトルの略「Sacred Hearts Club」に由来するアップテンポなナンバーで、自由で楽しいエネルギーに満ちた一曲。ポップロック調のギターと爽快なサビが印象的で、ライブでも盛り上がる楽曲。バンドのポジティブなメッセージがダイレクトに伝わってくる。
5. I Love My Friends
友情と愛をテーマにした明るいポップソングで、ファンキーなビートが特徴的。ポジティブな歌詞とシンセサウンドが楽しい雰囲気を作り出しており、タイトル通り、友人たちへの感謝が感じられる一曲。
6. Orange Dream
短いインストゥルメンタルで、次のトラックへのつなぎとして機能する夢幻的なサウンドスケープ。幻想的な雰囲気が漂い、アルバムに少し落ち着きをもたらす。
7. Static Space Lover (feat. Jena Malone)
俳優でアーティストのジェナ・マローンをゲストに迎えたトラックで、恋愛の浮遊感や不安定さをテーマにしている。ノスタルジックでサイケデリックなサウンドが特徴で、デュエットが曲に独特の色彩を加えている。
8. Lotus Eater
攻撃的でエネルギッシュなギターリフが印象的なロックナンバー。現代の快楽主義と自己陶酔への警告をテーマにしており、ハードロック的なエッジが効いた曲調が新鮮。アルバム中でも特に印象的な楽曲。
9. Time to Get Closer
短いインタールードで、静かで落ち着いたサウンドが心に残る。ポップでありながらも内省的な一面が感じられ、アルバムの流れをスムーズに繋ぐ。
10. Loyal Like Sid & Nancy
強烈なビートとダークなシンセが際立つトラックで、毒々しさを持つリリックが印象的。混沌とした愛や暴力のテーマが描かれており、カオスとサイケデリックが融合した実験的な一曲。エッジの効いたサウンドが新鮮。
11. Harden the Paint
楽観的で夢見心地なサウンドが印象的なトラックで、愛や自由への想いが詩的に表現されている。シンセの美しいメロディとリズミカルなビートが心地よく、Foster the Peopleらしい一曲。
12. III
アルバムを締めくくる幻想的で穏やかなインストゥルメンタル。シンプルなサウンドスケープが余韻を残し、リスナーを静かなエンディングへと導く。アルバム全体の流れを美しくまとめるフィナーレ。
アルバム総評
Sacred Hearts Clubは、Foster the Peopleが音楽的に実験と進化を重ねた作品であり、ポップとサイケデリック、そしてヒップホップの要素がうまく混ざり合っている。ポジティブでエネルギッシュな楽曲が揃い、アルバム全体を通してリスナーを楽しませる工夫が凝らされている一方で、現代社会に対するメッセージも含まれており、考えさせられる内容も多い。楽曲の多様性やキャッチーなメロディが、Foster the Peopleの独自の音楽性を引き立てており、彼らの新しい一面が存分に感じられるアルバムとなっている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Currents by Tame Impala
サイケデリックポップとエレクトロニックが融合した作品で、Sacred Hearts Clubのサイケデリックな要素に共通する魅力がある。 - Manners by Passion Pit
キャッチーでカラフルなサウンドが特徴で、ポップなメロディが好きなリスナーにおすすめ。エネルギッシュなビートが共通している。 - Little Dark Age by MGMT
ダークでサイケデリックな要素が強く、ポップなメロディとのコントラストが楽しめる。Sacred Hearts Clubのファンキーな雰囲気に近い。 - Hot Fuss by The Killers
エッジの効いたポップサウンドが楽しめるアルバムで、キャッチーなメロディとエネルギッシュな楽曲が魅力。リスナーを楽しませる要素が豊富。 - Talking Is Hard by Walk the Moon
明るくダンサブルなサウンドが印象的な一枚で、ポジティブなエネルギーに満ちた内容がSacred Hearts Clubと共通している。
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