- 発売日: 2011年4月12日
- ジャンル: オルタナティブロック、ハードロック
Wasting Lightは、Foo Fightersの7枚目のスタジオアルバムで、バンドのキャリアの中で最もエネルギッシュでロック色が強い作品のひとつとされる。プロデュースを担当したのは名プロデューサーのブッチ・ヴィグで、バンドはアナログ録音を採用し、自宅ガレージでの録音にこだわった。このアナログアプローチにより、アルバムには荒々しさと温かみが感じられるサウンドが宿り、Foo Fightersが本来持っているエネルギーとパワーが余すところなく表現されている。
このアルバムは、デイヴ・グロールがニルヴァーナ時代のバンドメイトであるクリス・ノヴォセリックをゲストとして迎えたことでも話題を呼んだ。また、デイヴ・グロール、テイラー・ホーキンス、ネイト・メンデルに加え、ギタリストのパット・スメアが再び正式メンバーに復帰し、バンドの音がより分厚くなっている。Wasting Lightは、商業的にも批評的にも成功を収め、グラミー賞の「最優秀ロックアルバム」を含む複数の賞を獲得した。
トラック解説
1. Bridge Burning
アルバムの幕開けを飾る激しいロックナンバー。ザクザクとしたギターリフと、グロールの叫ぶようなボーカルが印象的で、冒頭からバンドのエネルギーが全開。破壊と再生をテーマにしており、勢いに満ちたスタートを切る一曲。
2. Rope
シングルとしてもリリースされ、鋭いギターリフとメロディアスなボーカルが際立つ一曲。ギターのリズムと複雑な構成が楽曲にダイナミズムを与えており、ドラマチックな展開が楽しめる。ブリッジ部分のギターソロも見どころで、ライブ映えする楽曲である。
3. Dear Rosemary
元ハスカー・ドゥのボブ・モールドがゲスト参加し、彼のボーカルがグロールと交互に響く。友情や痛みの共有をテーマにした曲で、二人のボーカルが絡み合うことで、楽曲に深みと感情が加わっている。メロディアスで聴きやすい仕上がり。
4. White Limo
激しいスクリームとヘヴィなギターが炸裂するパンク調の曲で、バンドの荒々しさが全面に出た一曲。グロールのシャウトがインパクト大で、アドレナリン全開のロックサウンドが聴きどころ。攻撃的でダイナミックな雰囲気が楽しめる。
5. Arlandria
デイヴ・グロールが育ったバージニア州アーランドリアへの想いが込められた曲。リズムの変化が多く、エネルギッシュなサウンドの中に懐かしさと自己反省が混じっている。力強いコーラスと印象的な歌詞が心に残る一曲。
6. These Days
このアルバムを代表するバラードで、「人生は一瞬で変わる」というメッセージが込められている。穏やかなメロディと強烈なリフが対比的に絡み合い、リスナーに深い共感を与える。デイヴ・グロールも「自分のお気に入りの曲」として挙げるほど、思い入れの強い楽曲。
7. Back & Forth
軽快なリズムとキャッチーなコーラスが特徴の曲で、どこかポップさも感じさせる。変わらないことの不安や、過去との決別をテーマにしており、聴きやすさとエネルギーがうまく融合している。
8. A Matter of Time
前向きなメッセージと疾走感のあるリズムが印象的な曲で、次の段階へ進む決意を表現している。ギターとドラムのコンビネーションが緊張感を持たせ、バンドの一体感が際立つ。
9. Miss the Misery
鋭いギターリフと激しいドラムが際立つトラックで、苦悩と過去の未練をテーマにしている。デイヴ・グロールのボーカルが感情的に歌い上げ、メロディとリズムの変化が曲に奥行きを与えている。
10. I Should Have Known
ニルヴァーナの元メンバーであるクリス・ノヴォセリックが参加し、悲痛な思いが込められたバラード。失った友への追悼や後悔がテーマとなっており、重厚なベースラインが曲に深い陰影を与える。グロールのボーカルも感情的で、静かに胸に迫る一曲。
11. Walk
アルバムの最後を飾る曲で、希望と再生をテーマにした力強いメッセージソング。穏やかなイントロから始まり、サビで一気に盛り上がる構成が印象的で、ポジティブなエネルギーが溢れている。バンドの復活と成長を象徴する名曲として、多くのファンに愛されている。
アルバム総評
Wasting Lightは、Foo Fightersのキャリアにおいても特に力強い作品であり、バンドのサウンドが原点に立ち返りつつも、さらに進化していることが感じられる。アナログ録音による温かみと荒々しさが、楽曲にエネルギーを与え、デイヴ・グロールの情熱的なボーカルとバンドメンバーの結束力が際立っている。White LimoやRopeといったヘヴィなナンバーから、These DaysやWalkといった感情的な曲まで、アルバム全体を通して多様な楽曲が楽しめる。Wasting Lightは、Foo Fightersの音楽的な成熟と情熱が詰まった一枚であり、彼らのキャリアを象徴する重要な作品である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Nevermind by Nirvana
グロールがドラマーとして参加したニルヴァーナの代表作。Wasting Lightのルーツとも言えるグランジサウンドと、グロールの原点を感じさせる。 - Songs for the Deaf by Queens of the Stone Age
デイヴ・グロールがドラムを担当した作品。ヘヴィでダイナミックなサウンドが共通しており、エネルギッシュなロックが楽しめる。 - Ten by Pearl Jam
90年代オルタナティブロックの名盤で、深みのある歌詞とパワフルなサウンドが魅力。Foo Fightersのファンにとっても共鳴する作品。 - Superunknown by Soundgarden
グランジとヘヴィロックが融合した作品で、Foo Fightersのサウンドと通じる情熱と力強さが感じられる。 - Siamese Dream by The Smashing Pumpkins
迫力あるギターサウンドと深みのあるリリックが特徴。荒々しさと叙情性のバランスが、Wasting Lightと共通する魅力を持つ。
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