- 発売日: 2003年11月11日
- ジャンル: プログレッシブメタル、ヘヴィメタル
Train of Thoughtは、Dream Theaterが2003年にリリースした7枚目のスタジオアルバムで、バンド史上最もヘヴィな音作りを志向した作品である。これまでのアルバムとは一線を画し、ダークでアグレッシブなトーンと、ヘヴィなギタリフを前面に押し出したサウンドが特徴的だ。このアルバムでは、バンドメンバー全員がメタルのルーツに立ち返り、テクニカルでありながらも力強いアンサンブルを展開している。
このアルバムの制作には、メタリカやパンテラといったヘヴィメタルバンドからの影響が強く現れており、Dream Theaterのプログレッシブメタルに新たな硬派なエッジを加えている。特にジョン・ペトルーシのギターリフや、マイク・ポートノイのパワフルなドラムが楽曲全体を重厚に支えており、プログレッシブメタルとしてだけでなく、ヘヴィメタルファンにもアピールする作品となっている。
トラック解説
1. As I Am
アルバムの幕開けを飾る代表曲で、ダウナーなギターリフが強烈なインパクトを放つ。ラブリエの力強いボーカルが「Take me as I am」というフレーズで一層の説得力を持ち、自己肯定のテーマが力強く響く。シンプルながらもキャッチーで、ライブでも人気の高い曲だ。
2. This Dying Soul
ペトルーシの激しいギターリフとポートノイの複雑なリズムパターンが炸裂する10分を超える長尺曲。ポートノイの「12 Steps Suite」（アルコール依存症からの回復をテーマにした連作）の一環で、苦悩と自己探求が歌われる。テクニカルな展開と、メタリックなエネルギーが魅力的だ。
3. Endless Sacrifice
冒頭の静かなギターメロディが次第にエモーショナルな展開へと移行し、スリリングなリフが登場する。歌詞には献身や内面的な葛藤が込められ、ラブリエのボーカルが特に際立っている。中盤のギターソロは感情を表現するように盛り上がり、ドラマチックな構成が聴く者を引き込む。
4. Honor Thy Father
激しいリズムと怒りに満ちた歌詞が特徴の楽曲。ポートノイが父親との複雑な関係について歌ったもので、非常に個人的かつ強烈なエモーションが詰まっている。ラップのように早口で紡がれるラブリエのボーカルと、曲全体に漂う攻撃的なムードが印象的だ。
5. Vacant
アルバム中で唯一のバラードで、寂しげなチェロとピアノが穏やかに絡み合う。ラブリエのボーカルが静かに感情を表現し、孤独や無力感がテーマとなっている。シンプルな構成だが、悲しみと静寂が美しく描かれており、ヘヴィなアルバムの中で息抜きのような役割を果たしている。
6. Stream of Consciousness
このアルバムのインストゥルメンタル曲で、メンバーの演奏技術が際立つ10分超の大作。変拍子やリズムチェンジが絶え間なく続き、特にペトルーシとルーデスの掛け合いが圧巻。プログレッシブメタルの技巧が凝縮された一曲で、ファンの間でも評価が高い。
7. In the Name of God
アルバムの締めくくりを飾る壮大な曲で、宗教的な過激主義や暴力をテーマにしている。重厚なギターリフとリズムが支配的で、ラブリエの力強いボーカルがリスナーに強いメッセージを伝える。曲の最後にはエモーショナルなギターソロが響き、アルバム全体のダークなテーマを総括するかのようなエンディングを迎える。
アルバム総評
Train of Thoughtは、Dream Theaterがこれまでのプログレッシブメタルの枠を超え、ヘヴィで攻撃的なサウンドに挑戦した意欲作である。テクニカルな技巧と同時に、ヘヴィメタルのエッジが加わることで、バンドの音楽性に新たな深みが加わった。プログレッシブな複雑さとヘヴィメタルのダークさが融合し、Dream Theaterの新たな一面を見せる作品となっている。Train of Thoughtは、バンドのメタル色の強いサウンドが楽しめる一枚として、多くのファンから愛され続けている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Blackwater Park by Opeth
プログレッシブメタルとデスメタルが融合した傑作で、ダークで重厚なサウンドが特徴。Dream Theaterのヘヴィな一面が好きなリスナーには刺さるだろう。 - Rust in Peace by Megadeth
テクニカルでアグレッシブなメタルサウンドが堪能できる名盤。ギターリフとリズムの正確さはTrain of Thoughtにも通じる。 - Awake by Dream Theater
Train of Thoughtと同じく、よりヘヴィな要素が取り入れられた作品で、メロディとヘヴィさのバランスが絶妙。ファンにとっては必聴の一枚。 - And Justice for All by Metallica
プログレッシブな構成とヘヴィなリフが特徴のメタリカの代表作。Train of Thoughtと同様、重厚なサウンドと技巧が楽しめる。 - 10,000 Days by Tool
プログレッシブメタルの実験的なサウンドが詰まった一枚で、変拍子や深いテーマが魅力。Dream Theaterファンにも共感を呼ぶだろう。
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