Cannonball by Damien Rice(2002)楽曲解説

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1. 歌詞の概要

“Cannonball” は、アイルランドのシンガーソングライター、Damien Riceダミアン・ライス)が2002年にリリースしたデビューアルバム O に収録された楽曲 で、彼の最も象徴的な楽曲のひとつです。

この曲は、壊れそうな愛と自己葛藤、そして恋愛における感情の揺れを描いたバラード であり、歌詞はシンプルでありながらも、内面的な混乱や、言葉にできない想いが込められている のが特徴です。
タイトルの「Cannonball(キャノンボール、大砲の弾)」は、愛がもたらす激しい衝撃や、感情の重さを象徴している と解釈されています。

この楽曲は、アコースティックギターとダミアン・ライスの繊細な歌声によって構成され、非常にミニマルなアレンジが感情の深みを引き立てている のが特徴です。
特に、声を抑えながらも、切なく響くヴォーカル が、楽曲全体に壊れやすい愛の儚さ を感じさせます。

2. 歌詞のバックグラウンド

ダミアン・ライスは、バンド Juniper を脱退後、音楽業界の商業主義に背を向け、独立したシンガーソングライターとして活動 しました。
アルバム O は、そんな彼の個人的な経験や感情を詰め込んだ作品 であり、“Cannonball” もまた、彼の恋愛観や感情の揺れを率直に表現した楽曲 だと言われています。

この曲がリリースされた当初は、アルバムの中の静かな一曲でしたが、イギリスやアイルランドのラジオ局で頻繁にプレイされ、徐々に人気が高まった ことで、後にシングルカットされました。
また、映画やドラマ、CMにも使用され、ダミアン・ライスのキャリアを象徴する代表曲のひとつ となりました。

3. 歌詞の抜粋と和訳

以下に、“Cannonball” の印象的な歌詞を一部抜粋し、日本語訳とともに紹介します。

[Verse 1]
“There’s still a little bit of your taste in my mouth”
(まだ少しだけ、君の味が口の中に残っている)

“There’s still a little bit of you laced with my doubt”
(まだ少しだけ、君が僕の疑念の中に混じっている)

[Chorus]
“So come on, courage, teach me to be shy”
(さあ、勇気よ、僕に恥じらいを教えてくれ)

“Cause it’s not hard to fall”
(恋に落ちるのは簡単だけど)

“And I don’t wanna scare her”
(僕は彼女を怖がらせたくないんだ)

[Verse 2]
“There’s still a little bit of your song in my ear”
(まだ少しだけ、君の歌が僕の耳に残っている)

“There’s still a little bit of your words I long to hear”
(まだ少しだけ、君の言葉を聞きたいと思っている)

※ 歌詞の引用元: Genius.com

4. 歌詞の考察

“Cannonball” の歌詞は、恋愛の余韻や未練、そして心の葛藤 を描いており、愛が終わった後も、まだ相手の存在が残り続ける感覚 を表現しています。

冒頭の 「There’s still a little bit of your taste in my mouth(まだ少しだけ、君の味が口の中に残っている)」 というラインは、別れた後の記憶がまだ生々しく残っている ことを象徴しており、まるでその人の存在が自分の中に刻まれてしまったかのような印象を与えます。

さらに、「There’s still a little bit of you laced with my doubt(まだ少しだけ、君が僕の疑念の中に混じっている)」というラインでは、恋愛の中で感じる不安や疑念が、まだ完全には消えていないこと を示唆しており、愛と疑いが混ざり合う複雑な感情 を描いています。

また、「Cause it’s not hard to fall(恋に落ちるのは簡単だけど)」というフレーズは、恋愛における矛盾した感情 を表しています。
つまり、恋に落ちることは簡単だけれど、それをどう扱うべきか、どうやって続けるべきかが難しいのだということが伝わってきます。

この楽曲は、全体的に言葉にできない感情の揺れを、そのまま音楽として表現している ため、聴く人によって解釈が変わる のも特徴です。
愛の余韻に浸る人、過去を振り返る人、あるいは新たな恋に向かおうとする人、それぞれの感情がこの楽曲の中に重なり合っています。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

“Cannonball” のような 静かで感情的なアコースティックバラード が好きな人には、以下の楽曲もおすすめです。

  • “The Blower’s Daughter” by Damien Rice – 未練と喪失を描いた、彼の最も有名な楽曲。

  • 9 Crimes” by Damien Rice – 愛と裏切りの葛藤を描いた、悲しくも美しいバラード。

  • Skinny Love” by Bon Iver – 切なく儚い愛を描いたフォークソング。

  • Fast Car” by Tracy Chapman – 現実と夢の間で揺れる感情を描いた名曲。

  • “To Build a Home” by The Cinematic Orchestra – 壮大でメランコリックなバラード。

  • “Breathe Me” by Sia – 孤独と自己の葛藤を表現したエモーショナルな楽曲。

6. “Cannonball” の影響と評価

“Cannonball” は、リリース後すぐに話題となり、特にイギリスやアイルランドで大きな人気を獲得しました。
また、映画やドラマの挿入歌として頻繁に使用され、静かにリスナーの心に寄り添う楽曲 として愛され続けています。

この楽曲は、シンプルなアコースティック・アレンジながらも、感情の揺れや複雑さを非常にリアルに表現しており、ダミアン・ライスの音楽の持つ強い感情性 を象徴しています。


“Cannonball” は、愛の余韻と葛藤、そして恋愛の複雑な感情をシンプルに、しかし深く描いた楽曲 です。
その繊細なアコースティックサウンドと、ダミアン・ライスの心を震わせるような歌声 は、今もなお多くのリスナーの心に響き続けています。

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