
発売日: 2010年9月24日
ジャンル: シンセポップ、ニューウェーブ、オルタナティブ・ヒップホップ
- シンセポップとヒップホップの融合—Mark Ronsonの新たな音楽探求
- 全曲レビュー
- 1. Bang Bang Bang (feat. Q-Tip & MNDR)
- 2. Lose It (In the End) (feat. Ghostface Killah & Alex Greenwald)
- 3. The Bike Song (feat. Kyle Falconer & Spank Rock)
- 4. Somebody to Love Me (feat. Boy George & Andrew Wyatt)
- 5. You Gave Me Nothing (feat. Rose Elinor Dougall & Andrew Wyatt)
- 6. The Colour of Crumar
- 7. Glass Mountain Trust (feat. D’Angelo)
- 8. Circuit Breaker
- 9. Introducing the Business (feat. Pill & London Gay Men’s Chorus)
- 10. Record Collection (feat. Simon Le Bon & Wiley)
- 11. Selector
- 12. Hey Boy (feat. Rose Elinor Dougall & Theophilus London)
- 13. Missing Words
- 14. The Night Last Night (feat. Rose Elinor Dougall & Alex Greenwald)
- 総評
- おすすめアルバム
シンセポップとヒップホップの融合—Mark Ronsonの新たな音楽探求
2010年にリリースされたRecord Collectionは、Mark Ronsonが「Mark Ronson & The Business Intl」名義で発表した3作目のスタジオアルバムであり、彼の音楽的方向性を大きくシフトさせた作品となった。本作では、前作Version(2007年)で確立したヴィンテージ・ソウル/ファンクのアプローチから離れ、80年代ニューウェーブ、シンセポップ、エレクトロニックな要素を前面に押し出したモダンなサウンドへと変化を遂げている。
さらに、Q-Tip、Ghostface Killah、Boy George、Duran DuranのSimon Le Bon、MNDR、Theophilus London、D’Angeloなど、多様なジャンルのアーティストが参加し、エレクトロポップとオルタナティブ・ヒップホップの融合を試みた実験的な作品となっている。
全曲レビュー
1. Bang Bang Bang (feat. Q-Tip & MNDR)
本作のリードシングルで、エレクトロとヒップホップを融合させたファンキーなナンバー。Q-Tipの流れるようなラップとMNDRのシンセティックなボーカルが印象的で、「ジャン・ジャック・ゴールドマンの”À nos actes manqués”のフレーズを引用する」というユニークな構成も話題になった。
2. Lose It (In the End) (feat. Ghostface Killah & Alex Greenwald)
Ghostface Killahがラップを担当し、Alex Greenwald(Phantom Planet)がコーラスを加えたトラック。エレクトロニックなシンセとダンサブルなビートが特徴的で、ヒップホップとニューウェーブの融合が鮮やかに表現されている。
3. The Bike Song (feat. Kyle Falconer & Spank Rock)
ポップでユーモラスなトラックで、Kyle Falconer(The View)がボーカルを務め、Spank Rockのラップが絡む。軽快なメロディと自転車をテーマにした遊び心のある歌詞が、80年代ポップの雰囲気を再現している。
4. Somebody to Love Me (feat. Boy George & Andrew Wyatt)
アルバムのハイライトの一つで、Boy Georgeの感傷的なボーカルと、クラシックなシンセポップのサウンドが絶妙に融合。Andrew Wyatt(Miike Snow)のプロダクションが楽曲に深みを加え、切なくも美しい楽曲に仕上がっている。
5. You Gave Me Nothing (feat. Rose Elinor Dougall & Andrew Wyatt)
ダークでミステリアスなシンセサウンドが特徴の楽曲。Rose Elinor DougallとAndrew Wyattのデュエットが美しく、失われた愛をテーマにした歌詞が、楽曲のメランコリックな雰囲気を強調している。
6. The Colour of Crumar
短いインストゥルメンタルトラック。80年代のニューウェーブやエレクトロポップを彷彿とさせるシンセのレイヤーが特徴的。
7. Glass Mountain Trust (feat. D’Angelo)
D’Angeloのファルセットボーカルとエレクトロニックなプロダクションが融合した、ユニークな楽曲。ファンクの要素を持ちつつも、モダンなアレンジが施されている点が興味深い。
8. Circuit Breaker
シンセとドラムマシンが絡み合うインストゥルメンタルトラック。ロボティックな雰囲気を持ち、ビデオゲームのBGMのようなレトロフューチャリスティックな音作りが特徴。
9. Introducing the Business (feat. Pill & London Gay Men’s Chorus)
ヒップホップとクラシックの要素を融合させた実験的な楽曲。ロンドン・ゲイ・メンズ・コーラスをフィーチャーすることで、独特の壮大さを加えている。
10. Record Collection (feat. Simon Le Bon & Wiley)
アルバムのタイトル曲であり、Duran DuranのSimon Le Bonが参加。「レコードコレクション」をテーマにした歌詞と、ニューウェーブ風のシンセアレンジが80年代を彷彿とさせる。Wileyのラップパートがアクセントを加えている。
11. Selector
パーカッシブなビートとエレクトロニックなシンセが特徴のダンスチューン。インストゥルメンタルの中にブレイクビーツやハウスの影響が見られる。
12. Hey Boy (feat. Rose Elinor Dougall & Theophilus London)
Rose Elinor DougallのドリーミーなボーカルとTheophilus Londonのラップが融合した楽曲。ニューウェーブとヒップホップのミックスが新鮮。
13. Missing Words
ミッドテンポのエレクトロポップ。シンプルなメロディとシンセのレイヤーが心地よい。
14. The Night Last Night (feat. Rose Elinor Dougall & Alex Greenwald)
アルバムを締めくくるバラード。エモーショナルなストリングスとシンセが絡み合い、ノスタルジックな雰囲気を演出している。
総評
Record Collectionは、Mark Ronsonがソウル/ファンク路線からシンセポップ/ニューウェーブへと大きく方向転換した実験的なアルバムである。エレクトロポップとヒップホップの融合が特徴的で、80年代の影響を受けつつも、モダンなアレンジとコラボレーションによって独自のサウンドを確立している。
「Valerie」やVersionのようなクラシックソウル風の楽曲を期待していたファンにとっては驚きの方向性だったが、シンセポップ、エレクトロ、ニューウェーブ、オルタナティブ・ヒップホップの実験的なミックスが魅力となり、新たなリスナー層を獲得した。
特に「Bang Bang Bang」「Somebody to Love Me」「Record Collection」などは、Ronsonのプロダクションの多様性を示す楽曲であり、本作のハイライトといえる。
おすすめアルバム
- Mark Ronson – Uptown Special (2015)
- 「Uptown Funk」を収録したファンク&ソウル寄りの作品。
- Duran Duran – Rio (1982)
- 本作に影響を与えた80年代ニューウェーブの代表作。
- Miike Snow – Miike Snow (2009)
- エレクトロポップとインディーロックの融合が特徴的な作品。
- Gorillaz – Plastic Beach (2010)
- シンセポップ、ヒップホップ、エレクトロの融合が本作と共通する。
- Chromeo – Fancy Footwork (2007)
- エレクトロファンクの傑作で、本作と共鳴する部分が多い。
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- エレクトロファンクの傑作で、本作と共鳴する部分が多い。
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