アルバムレビュー:All the Things I Never Said (EP) by Tate McRae

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:2020年1月24日

ジャンル:Pop / Alternative Pop

概要

All the Things I Never Saidは、カナダ出身のシンガーソングライター、Tate McRaeが2020年に発表したデビューEPである。YouTubeへの楽曲投稿などを通じて注目を集め、RCA Recordsとの契約後に制作された初期作品で、当時16歳だったMcRaeのソングライティングを5曲に凝縮している。ピアノやアコースティックギターを軸にしたシンガーソングライター的な作風と、低音の強いビートや電子的な加工を組み合わせたポップ・プロダクションが共存しており、後の作品へつながる基本形がすでに見えている。

題名が示すように、中心にあるのは口にできなかった感情である。ただし失恋だけに限定されず、他人への嫉妬、自分を傷つける関係から離れられない状態、若者が抱える精神的な重圧まで視点は広い。McRaeの歌唱も大声で感情を押し出すより、息を多く含んだ近い声で言葉を届ける場面が多く、抑制された伴奏との相性がいい。5曲、約15分という短さもあり、長い物語を作るというより、それぞれ異なる種類の不安を切り取ったスケッチ集のようなEPである。

全曲レビュー

1. 「stupid」

軽く跳ねるビートと抑えたギターを組み合わせたオープニングで、暗い題材を扱いながらも5曲中では特にポップな即効性が強い。歌詞の語り手は、自分にとって良くないと分かっている相手を頭から追い出せず、その行動を自分自身で「stupid」と呼ぶ。つまり相手を一方的に責める失恋歌ではなく、判断と欲望が一致しないことへの苛立ちが中心にある。McRaeの力を抜いた歌い方によって過剰に悲劇的にならず、10代らしい率直な自己嫌悪がそのままフックになっている。

2. 「all my friends are fake」

友人関係への疑念を扱い、恋愛中心になりがちな同世代のポップとは少し違う角度を見せる。静かな鍵盤と声から始まり、ビートや低音を加えながら音の範囲を広げるが、最後まで密度を上げすぎないため、孤立した感覚が残る。タイトルだけなら周囲を切り捨てる攻撃的な歌にも見えるが、実際には信頼できる相手を求める寂しさが強い。他人を疑う気持ちと、自分にも問題があるのではないかという不安が重なり、単純な告発では終わらない曲になっている。

3. 「that way」

ピアノを中心に余白を大きく取ったバラードで、McRaeの初期作品を代表する一曲である。友達として振る舞いながら、その範囲には収まりきらない感情を抱える二人の曖昧な関係が描かれ、相手の言動に期待させられては距離を戻される苦しさが続く。大きなドラムや派手な転調で盛り上げるのではなく、旋律と声の細かな揺れに感情を任せているのが特徴だ。結論を与えず関係の曖昧さを残すことで、「言えなかったこと」というEPの題名にも自然につながっている。

4. 「tear myself apart」

前半の親密な作風から少し離れ、低く響く音と張り詰めた空間を使って感情を大きく見せる。Billie EilishとFinneas O’Connellがソングライティングに参加した曲で、ささやきに近いヴァースと力を増す部分の差が、関係を失った後の不安定さを強調している。歌詞では別れによる痛みが身体感覚に近い言葉へ置き換えられ、自分自身を引き裂いてしまうような状態として表現される。McRae自身の曲とは異なる作家陣を迎えながら、繊細な声質のおかげでEPの中から浮いてはいない。

5. 「happy face」

最後は明るい題名とは裏腹に、表面上の笑顔と内側の苦しさとの隔たりを扱う。特定の恋愛関係よりも広い視点を取り、若者が抱える精神的な問題や、周囲からは見えにくい苦痛へ焦点を移している点が、それまでの4曲との大きな違いである。McRaeは感情を必要以上に演技せず、静かな歌唱を保つことで、助けを求める声を近い距離から聞かせる。個人的な人間関係から始まったEPを、他者の見えない苦しさへ視野を広げて終える選曲になっている。

総評

All the Things I Never Saidには、後にTate McRaeが得意とすることになる「小さな声で大きな感情を扱う」という方法がすでに形になっている。歌唱力を示すためにロングトーンや高音を連発するのではなく、息遣いや言葉の置き方を使って、誰かの独り言をすぐ近くで聞いているような距離を作る。そのため失恋や孤独という馴染み深い題材でも、感情が過度に一般化されず、特定の瞬間に生まれた考えとして伝わってくる。

プロダクションもその声を邪魔しない。ピアノ、ギター、電子的なビート、低音を曲ごとに組み替えながら、音数そのものは比較的少なく保たれている。特に「that way」のように伴奏を削った曲と、「stupid」のようにビートを前へ出した曲を並べることで、短いEPでもテンポに変化が生まれた。2020年前後のポップで広がっていた、巨大なサウンドよりも声の近さや暗い電子音を重視する方向ともよく馴染んでいる。

歌詞には若さゆえの直接性があり、それが長所であると同時に作品の限界でもある。複雑な比喩や長い物語を組み立てるより、「相手を忘れられない」「友人を信用できない」「関係を定義できない」といった感情を一つずつ取り出す書き方が中心だからだ。しかし15分ほどのデビューEPでは、その簡潔さがむしろ効果を上げている。異なる状況を扱いながら、言葉にできない感情を抱え込む人物という共通した視点が5曲を無理なくまとめている。

後年のMcRaeはダンス・ポップの比重を高め、パフォーマーとしての身体性も強く打ち出していくが、本作ではまずソングライターとボーカリストとしての性格が中心にある。完成されたスタイルを提示した作品というより、親密なバラードと現代的なポップ制作の間に自分の居場所を探している段階だからこそ、初期作品として興味深い。とりわけ「stupid」と「that way」は、その後のキャリアで繰り返し現れるキャッチーさと傷つきやすさの組み合わせを、異なる方法で示している。

おすすめアルバム

TOO YOUNG TO BE SAD by Tate McRae

次作EPでは失恋や自己疑念という題材を引き継ぎながら、メロディとビートがより明快になる。初期の親密な歌唱が、より大きなポップ作品へ変化していく過程を追える。

i used to think i could fly by Tate McRae

初のフルアルバム。人間関係の不安を細かく描く作詞は本作から続いているが、ロックやエレクトロニック・ポップまで音楽的な範囲が広がり、成長後の姿が分かる。

WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?

小さな声、強調された低音、広い余白によって感情を近く聞かせる2019年作。「tear myself apart」の作家陣とのつながりだけでなく、同時期のポップの音作りを理解するうえでも比較しやすい。

Kid Krow by Conan Gray

2020年の若者のポップという点だけでなく、恋愛、嫉妬、孤独を日常的な言葉で具体化する作詞に共通点がある。よりギター・ポップ寄りの音作りとの違いも楽しめる。

SOUR by Olivia Rodrigo

10代後半の混乱した人間関係を、率直な言葉と親密なバラード、強いポップソングの両方で描いた作品。本作の内向的な感情表現が、その後の若い世代のメインストリーム・ポップとどう重なるかを比較できる。

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