アルバムレビュー：F.A.M.E. by Chris Brown

アルバムレビュー

2025.03.15

発売日: 2011年3月18日
ジャンル: R&B、ポップ、ヒップホップ、エレクトロポップ

新たな時代を切り開くサウンド—Chris Brownの音楽的進化を示す傑作

2011年、Chris Brownは4thアルバムF.A.M.E.（Forgiving All My Enemies または Fans Are My Everything のダブルミーニング）をリリースし、彼の音楽キャリアにおける大きな転換点となった。本作では、従来のR&Bに加え、エレクトロポップやダンストラックを積極的に取り入れ、彼の音楽スタイルを大きく進化させている。

「Yeah 3x」「Look at Me Now」「Beautiful People」といったシングルは、ダンスフロア向けのエネルギッシュな楽曲であり、Chris Brownのパフォーマンス能力を最大限に引き出している。一方で、「She Ain’t You」や「Next to You」といったバラードでは、彼の感情的な歌唱が際立ち、R&Bアーティストとしての実力も示している。

本作は、Billboard 200で1位を獲得し、2012年のグラミー賞で「Best R&B Album」を受賞。商業的にも批評的にも成功を収め、Chris Brownのキャリアにおける重要な作品となった。

全曲レビュー

1. Deuces (feat. Tyga & Kevin McCall)

ミッドテンポのR&Bナンバーで、別れをテーマにした楽曲。TygaとKevin McCallのラップが加わり、ヒップホップ色が強い。

2. Up 2 You

クラシックなR&Bバラード。Chris Brownのスムーズなヴォーカルが際立つ楽曲。

3. No BS (feat. Kevin McCall)

セクシーなR&Bトラック。スローでムーディーなサウンドが魅力的。

4. Look at Me Now (feat. Lil Wayne & Busta Rhymes)

ダブステップ風のエレクトロヒップホップトラック。Busta Rhymesの超高速ラップが話題となった。

5. She Ain’t You

Michael Jacksonの「Human Nature」をサンプリングしたR&Bバラード。ノスタルジックな雰囲気が漂う。

6. Say It with Me

アップテンポなクラブ向けトラック。ダンサブルなリズムが特徴。

7. Yeah 3x

David Guetta風のエレクトロポップ・ダンストラック。キャッチーなメロディが印象的で、大ヒットを記録。

8. Next to You (feat. Justin Bieber)

Justin Bieberとのコラボによるポップバラード。ロマンティックな歌詞と美しいメロディが際立つ。

9. All Back

エモーショナルなR&Bバラード。失った恋を取り戻したいという切ない思いを歌う。

10. Wet the Bed (feat. Ludacris)

Ludacrisを迎えたスムーズなR&Bトラック。官能的な歌詞が特徴。

11. Oh My Love

シンセを多用したポップダンスナンバー。アップビートでエネルギッシュな楽曲。

12. Should’ve Kissed You

ミッドテンポのバラード。未練を歌った歌詞が切ない。

13. Beautiful People (feat. Benny Benassi)

Benny Benassiとのコラボによるエレクトロポップアンセム。前向きなメッセージが込められている。

14. Bomb (feat. Wiz Khalifa) [Deluxe Edition]

Wiz Khalifaを迎えたヒップホップ寄りのトラック。パーティーチューンとしても楽しめる。

15. Love Them Girls (feat. Game) [Deluxe Edition]

Gameとのコラボ。カリフォルニアのヒップホップの影響を感じる楽曲。

16. Paper, Scissors, Rock (feat. Big Sean & Timbaland) [Deluxe Edition]

Timbalandのプロデュースによるリズミカルなトラック。Big Seanのラップが楽曲を引き立てる。

17. Beg for It [Deluxe Edition]

クラシックなR&Bバラード。Chris Brownのヴォーカルの表現力が際立つ。

総評

F.A.M.E.は、Chris BrownがR&Bシンガーからグローバルなポップスターへと成長したことを示すアルバムであり、ヒップホップ、ポップ、エレクトロダンスの要素を融合させた作品となっている。「Yeah 3x」や「Beautiful People」のようなエレクトロポップのトラックと、「She Ain’t You」「Next to You」のようなR&Bバラードが同じアルバム内に共存し、Chris Brownの音楽的な多様性を存分に発揮している。

また、本作はヒップホップアーティストとのコラボレーションも多く、特に「Look at Me Now」ではBusta RhymesとLil Wayneの強烈なラップが際立ち、クラブシーンでの人気を確立した。全体として、商業的な成功と音楽的な進化を同時に達成したアルバムであり、Chris Brownのキャリアにおいて重要なマイルストーンとなる作品だ。

アルバムレビュー：F.A.M.E. by Chris Brown

新たな時代を切り開くサウンド—Chris Brownの音楽的進化を示す傑作