
発売日: 1967年8月**
ジャンル: ファンク、ソウル、R&B
ファンク誕生の瞬間—James Brownが築いた音楽革命
1967年にリリースされたCold Sweatは、James Brownがファンクミュージックの礎を築いた重要な作品であり、彼の音楽スタイルが大きく変化したことを示すアルバムである。タイトル曲「Cold Sweat」は、ファンクの原型ともいえる楽曲であり、従来のソウルミュージックよりもリズムを重視し、ホーンセクションやドラムの反復的なグルーヴが際立つスタイルを確立した。
本作では、James BrownのバンドであるThe Famous Flamesの演奏が光り、特にドラマーのClyde Stubblefieldのリズムパターンは、後のヒップホップサンプリングの定番となるほど影響力がある。さらに、本作ではR&Bの枠を超えたジャズ的なアレンジも取り入れられ、James Brownの音楽的な幅広さを感じさせる内容となっている。
全曲レビュー
1. Cold Sweat, Pt. 1 & 2
アルバムのタイトル曲にして、ファンクの原点とも言える画期的な楽曲。シンプルなリフと反復するグルーヴが特徴で、James Brownのシャウトが曲全体をリードする。後のファンク、ヒップホップに多大な影響を与えた。
2. Kansas City
リズミカルなホーンセクションが際立つ楽曲で、R&Bのエネルギーとブルースの影響を感じる一曲。
3. Ain’t That a Groove, Pt. 1 & 2
キャッチーなメロディを持つソウルフルな楽曲。James Brownのヴォーカルの躍動感が際立つ。
4. Funky Broadway
R&BシンガーDyke & The Blazersのカバーで、James Brown流のファンクアレンジが施されている。
5. Stagger Lee
1950年代のクラシックを、ファンク風にアレンジ。James Brownらしいアグレッシブなボーカルが特徴。
6. I’ll Go Crazy
初期のJames Brownのヒット曲を新たに録音したバージョン。勢いのあるパフォーマンスが聴ける。
7. I Love You Yes I Do
スローなバラードで、James Brownの感情的な歌唱が堪能できる。
8. I Don’t Mind
ソウルクラシックのひとつ。ホーンアレンジが強化され、ライブ感のある仕上がりになっている。
9. Suds
アルバムの中でもジャズ色の強いインストゥルメンタル。バンドの演奏力が際立つ一曲。
総評
Cold Sweatは、James Brownが従来のR&Bやソウルから脱却し、新たなファンクのスタイルを築いたアルバムであり、タイトル曲「Cold Sweat」はその象徴である。本作では、ホーンセクションのリフやリズムの繰り返しを重視し、メロディよりもグルーヴが主導する音楽スタイルが確立されている。これは後のP-Funkやヒップホップのビートにも多大な影響を与えた。
また、バラードやカバー曲も収録されており、James Brownのヴォーカルパフォーマンスの魅力も存分に楽しめるアルバムとなっている。ファンクの進化を知る上で欠かせない重要な作品であり、彼の音楽的な変遷を追う上でも必聴の一枚だ。
おすすめアルバム
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James Brown – There It Is (1972)
さらにファンク色を強めた作品で、「Talkin’ Loud and Sayin’ Nothing」などを収録。 -
Sly & The Family Stone – Stand! (1969)
James Brownのファンクスタイルに影響を受けたバンドの傑作。 -
The Meters – Look-Ka Py Py (1970)
ファンクのリズムをさらに発展させた作品で、James Brownの影響が感じられる。 -
Parliament – Mothership Connection (1975)
P-Funkの創始者George Clintonによる、James Brownのファンクスタイルを発展させたアルバム。 -
Funkadelic – Maggot Brain (1971)
サイケデリックファンクの要素を取り入れた、James Brown以降のファンクの発展形。
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