アルバムレビュー：Meltdown by Ash

アルバムレビュー

2025.03.09

発売日: 2004年5月17日
ジャンル: オルタナティヴ・ロック、ポスト・グランジ、ハード・ロック

爆発するエネルギーとヘヴィな進化——Ashの最もアグレッシブな作品
全曲レビュー
総評
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爆発するエネルギーとヘヴィな進化——Ashの最もアグレッシブな作品

2004年にリリースされたMeltdownは、Ashがキャリアの中で最もヘヴィなサウンドへとシフトした作品であり、オルタナティヴ・ロックとハード・ロックの要素を大胆に取り入れたアルバムとなっている。前作Free All Angels（2001年）で見せたメロディアスなパワー・ポップの側面を持ちながらも、ギターリフの強調とサウンドの分厚さが際立つ、バンドの新境地を示した作品である。

本作では、グランジやメタルの影響を受けた楽曲が増え、パワフルなギターリフと重厚なドラムが印象的なトラックが多い。シングルカットされた「Clones」「Orpheus」「Renegade Cavalcade」は、バンドの持つ攻撃的なエネルギーを最大限に引き出しており、バンドのライブでも定番のナンバーとなった。

プロデューサーには、Foo FightersやGarbageを手掛けたニック・ラスクリネクツを迎え、アメリカン・オルタナティヴ・ロックのエッセンスが加わったことも、本作のハードなサウンドの要因となっている。

全曲レビュー

1. Meltdown

アルバムのタイトル曲であり、オープニングを飾る爆発的な楽曲。重厚なギターリフと、グランジの影響を感じさせるヴォーカルが特徴的。アルバムの方向性を象徴する一曲。

2. Orpheus

本作を代表するシングル曲で、疾走感のあるドラムと印象的なギターリフが際立つ。「太陽の中を走り抜けるような爽快感と、シリアスな歌詞が絶妙に融合した名曲」。ライブでの定番曲となっている。

3. Evil Eye

ヘヴィなギターとダークな雰囲気を持つ楽曲。ミドルテンポのリズムが印象的で、バンドのハードロック的な側面を前面に押し出している。

4. Clones

アルバムの中でも最も攻撃的な楽曲。ファストなギターリフと激しいドラムが特徴で、まるでメタルに近いエネルギーを持つ。スター・ウォーズの世界観を反映したリリックも話題になった。

5. Starcrossed

本作の中で最もメロディアスなバラード。壮大なアレンジと美しいメロディが際立ち、失われた愛をテーマにした歌詞がエモーショナルに響く。

6. Out of the Blue

ハードなギターリフとキャッチーなコーラスが融合した楽曲。シンプルなロック・ナンバーながら、バンドの持つメロディアスな側面が際立っている。

7. Renegade Cavalcade

シングルカットされた楽曲で、グルーヴ感のあるリズムと、クールなギターリフが印象的。オルタナティヴ・ロックの王道を行く楽曲。

8. Detonator

タイトル通り、爆発するようなエネルギーを持つ楽曲。ギターの歪みが強く、ヘヴィロックの影響を感じる。

9. On a Wave

サイケデリックな要素を取り入れたミドルテンポの楽曲。浮遊感のあるギターと、幻想的なメロディが心地よい。

10. Won’t Be Saved

疾走感のあるパンク・ナンバー。バンドのルーツであるパンク・ロック的なアプローチが垣間見える。

11. Vampire Love

アルバムを締めくくるドラマティックな楽曲。ダークな雰囲気と、美しく切ないメロディが絡み合う。エピックな展開が印象的。

総評

Meltdownは、Ashが持つポップ・パンク的な要素を残しながらも、ハードロックへと大胆にシフトしたアルバムであり、バンドの新たな一面を示した作品となった。

前作Free All Angelsのメロディアスなポップ・ロックとは異なり、「Clones」「Orpheus」「Renegade Cavalcade」といった楽曲では、よりヘヴィなギターリフとアグレッシブなドラムを強調し、グランジやメタルの影響を感じさせる。

一方で、「Starcrossed」のようなバラードでは、バンドの持つメロディの美しさとエモーショナルな表現力が際立っており、単なるヘヴィロックアルバムではなく、ダイナミックな楽曲構成が魅力となっている。

本作は、オルタナティヴ・ロックやグランジ、ポスト・グランジが好きなリスナーにとって、特に楽しめる作品であり、バンドの新境地を感じさせるアルバムとなっている。