1. 歌詞の概要
「The World at Large（ザ・ワールド・アット・ラージ）」は、Modest Mouse（モデスト・マウス） が2004年にリリースしたアルバム『Good News for People Who Love Bad News』のオープニングトラックで、旅立ち、孤独、そして人生の流れに身を任せること をテーマにした楽曲です。
この曲は、アルバムの大ヒットシングル**「Float On」** へと続く前奏的な役割を果たしており、内省的で静かな雰囲気を持ちながらも、広がりのあるサウンドが特徴 です。歌詞は放浪者の視点 で描かれ、主人公は特定の目的もなく、ただ新しい場所へと移動し続けます。しかし、その旅は自由というよりも、「どこにも居場所がない」という喪失感や孤独感 を表現しているようにも感じられます。
サウンド面では、幻想的なギターリフと、柔らかいビートが織りなすドリーミーな雰囲気 が特徴的で、まるで風に乗ってどこかへ流されていくような感覚をリスナーに与えます。
2. 歌詞のバックグラウンド
Modest MouseのフロントマンであるIsaac Brock（アイザック・ブロック） は、これまでの楽曲でも**「移動」「逃避」「孤独」** というテーマを頻繁に扱ってきました。「The World at Large」もその延長線上にあり、「場所を変えれば、何かが変わるはずだ」という期待と、結局どこに行っても同じであるという諦念 の間で揺れる感情が表現されています。
Brockは、実際に何度も引っ越しを繰り返した経験を持っており、彼の放浪的なライフスタイルがこの曲に反映されていると考えられます。また、彼の歌詞には**「人生は無常であり、すべては変わっていく」という哲学的な視点** が見られることが多く、「The World at Large」もその一つです。
この曲は、アルバムの次曲「Float On」と対照的な役割を持っており、「The World at Large」では主人公が流されるままに移動し続けるのに対し、「Float On」では「なんとかなるさ」と前向きに物事を受け入れる姿勢が描かれている という構成になっています。
3. 歌詞の抜粋と和訳
以下に、「The World at Large」の印象的な歌詞の一部を抜粋し、その和訳を紹介します。
Ice age heat wave, can’t complain
氷河期に熱波、でも文句は言えない
この冒頭のラインは、極端な状況の対比を示しながらも、「人生の変化は避けられないし、文句を言っても仕方がない」 という諦観を表現しています。
I guess I should be on my way
そろそろ出発すべきかな
ここでは、主人公がまた新たな場所へ向かおうとしていることが示されています。しかし、それが希望に満ちた旅なのか、それとも単なる現実逃避なのかは曖昧なままです。
I know that starting over is not what life’s about
人生はただのやり直しじゃないってわかってる
この部分は、「場所を変えても根本的には何も変わらない」というBrockの人生観を反映しており、逃げ続けることの虚しさ を示唆しています。
（歌詞全文は以下のリンクから参照できます）
Modest Mouse – The World at Large Lyrics | Genius
4. 歌詞の考察
「The World at Large」は、漂流するような人生の感覚 を描いた楽曲ですが、その中には**「変化を求めながらも、結局どこに行っても変わらない」** という矛盾した感情が込められています。
- 「Ice age heat wave, can’t complain」
- これは、人生の予測不可能な変化を受け入れるしかない という皮肉を表している。
- 「I know that starting over is not what life’s about」
- 逃げても問題は解決しない、という現実を悟っている部分。
- 「I guess I should be on my way」
- それでもなお、新しい場所を求めて動き続ける衝動がある。
このように、主人公は「どこにも属せない」という孤独を感じながらも、新しい旅へ出ることを選択する という、Brockらしい諦観が反映された歌詞となっています。
5. この曲が好きな人におすすめの曲
「The World at Large」が好きな人には、以下のような楽曲もおすすめです。
- Float On by Modest Mouse
- 「The World at Large」の直後に続く楽曲で、より前向きなメッセージを持つ。
- Rivers and Roads by The Head and the Heart
- 放浪と帰る場所の喪失をテーマにした、エモーショナルな楽曲。
- Society by Eddie Vedder
- 「どこにも属さない」というテーマが共通する、静かで美しいアコースティックソング。
- Holocene by Bon Iver
- 広がりのあるサウンドと、旅をテーマにした詩的な歌詞が特徴的。
- Take It With Me by Tom Waits
- 旅と喪失を描いた、ノスタルジックなバラード。
6. 「The World at Large」の影響と文化的インパクト
「The World at Large」は、「Float On」の陰に隠れがちですが、実は多くのリスナーにとってModest Mouseの世界観を象徴する楽曲 となっています。
- 映画やテレビドラマでの使用
- その幻想的な雰囲気から、さまざまな映像作品で使用されている。
- 放浪者や旅人のアンセムとしての人気
- 自由に生きたいと願う人々の心に響く楽曲として、今も多くの人に支持されている。
- Modest Mouseの音楽性の進化を象徴する楽曲
- 「The World at Large」は、バンドがより広がりのあるサウンドを取り入れ始めた時期の楽曲であり、以降の作品にも影響を与えた。
「The World at Large」は、どこにも居場所がないと感じる人々の心を映し出す楽曲 であり、時間が経っても変わらず多くのリスナーに共感され続けています。
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