
発売日:1976年2月13日
ジャンル:プログレッシブ・ロック/アート・ロック
概要
Genesisの7作目となるスタジオ・アルバム『A Trick of the Tail』は、バンド史における最大級の転換点を記録した作品である。
1974年の大作『The Lamb Lies Down on Broadway』を最後に、フロントマンのPeter GabrielがGenesisを脱退。Gabrielはその独特な声、演劇的なステージ・パフォーマンス、寓話的でシュールな歌詞によって、バンドの象徴的存在となっていたため、その離脱はGenesisの存続そのものを危ぶませる出来事だった。
しかし残されたTony Banks、Mike Rutherford、Steve Hackett、Phil Collinsの4人は解散を選ばず、新しいヴォーカリストを探しながらアルバム制作を進めることになる。
結果的にリード・ヴォーカルを担当したのは、それまでドラマーとして活動していたPhil Collinsだった。
Collinsは以前から「For Absent Friends」や「More Fool Me」などでリード・ヴォーカルを取っていたものの、Genesisの正式なフロントマンとしてアルバム全体を歌うのは本作が初めてである。
この変更は、GenesisがPeter Gabriel時代から完全に別のバンドへ変わったことを意味するようにも見えた。
しかし『A Trick of the Tail』を実際に聴くと、むしろ驚かされるのは音楽的な連続性である。
複雑な変拍子、クラシック音楽的なコード進行、長尺の構成、物語的な歌詞、12弦ギター、シンセサイザー、メロトロン、そしてSteve Hackettによる幻想的なギター。
これらGabriel期のGenesisを特徴づけていた要素はほとんど失われていない。
むしろ『The Lamb Lies Down on Broadway』の巨大なコンセプトと都市的な混沌から一度距離を取り、『Foxtrot』や『Selling England by the Pound』で確立した英国的なファンタジーと室内楽的な美しさへ回帰したような作品となっている。
アルバムの中心人物として特に重要なのがTony Banksである。
Banksのピアノ、オルガン、シンセサイザー、メロトロンは『A Trick of the Tail』の音楽的骨格を形成しており、複雑な和声と長いインストゥルメンタル・セクションによって楽曲を展開させる。
一方Steve Hackettは、ギターを単なるロック的なリード楽器としてではなく、音色そのものを作る装置として使用する。
Mike Rutherfordはベース、12弦ギター、ギターを使い分け、Phil Collinsはヴォーカルだけでなく、従来通り極めて高度なドラミングによってバンドの複雑なリズムを支える。
そしてCollinsの歌唱は、Peter Gabrielより柔らかく、自然な抑揚を持つ。
そのため本作では、Genesisの複雑な音楽性が以前よりもやや親しみやすく聞こえる。
これは後にGenesisがよりポップな方向へ進む重要な布石ともなるが、本作の段階ではプログレッシブ・ロックとしての複雑さが完全に中心にある。
『A Trick of the Tail』は、単なる「Gabriel脱退後最初のGenesis作品」ではない。
それはGenesisというバンドが、特定のカリスマ的フロントマンではなく、作曲とアンサンブルそのものによって成立していたことを証明したアルバムである。
全曲レビュー
1. Dance on a Volcano
アルバムは「Dance on a Volcano」という緊張感に満ちた楽曲から始まる。
タイトルは「火山の上で踊る」。
それだけで、危険な場所で動き続けるという不安定なイメージが生まれる。
音楽的にもその題名を反映し、複雑なリズムと急激な展開が連続する。
Phil Collinsのドラムは極めて重要で、変則的なアクセントを使いながら楽曲を前へ進める。
Tony BanksのキーボードとMike Rutherford、Steve Hackettによるギターが絡み合い、単純なロックのリフとは異なる立体的な構造を形成する。
歌詞では、巨大な自然の力を前にした人間の危うさが描かれる。
火山は破壊と再生の象徴でもある。
その意味で、この曲をPeter Gabriel脱退後最初のGenesisアルバムの冒頭に置いたことは象徴的である。
バンド自身もまた、崩壊するかもしれない危険な状況の上で演奏を続けていた。
しかし曲は恐怖だけではなく、強烈な生命力を持つ。
「Dance」という言葉が示すように、危険から逃げるのではなく、その上で動き続ける。
『A Trick of the Tail』という作品全体の再生の物語を最初に提示する重要曲である。
2. Entangled
「Entangled」は、Genesisの繊細で幻想的な側面を代表する楽曲である。
12弦ギターによる柔らかい音色とPhil Collinsの穏やかなヴォーカルによって始まり、徐々に夢のような空間へ入り込んでいく。
タイトルの“entangled”は「絡み合った」「もつれた」という意味を持つ。
歌詞では、医療施設あるいは催眠療法を思わせる場面が描かれ、患者が安心させられながら徐々に意識を奪われていくような不気味さがある。
表面上は非常に美しい。
しかし、その美しさの内部には支配や無力化の感覚が存在する。
この二重性はGenesisが得意とする表現である。
後半になるとTony Banksのシンセサイザーが大きく広がり、まるで夢の中へ沈んでいくような長いインストゥルメンタルへ移行する。
Steve HackettとTony Banksを中心とする作曲で、Genesisの室内楽的な美しさを最も明確に示した楽曲のひとつである。
3. Squonk
「Squonk」は、本作を代表する楽曲のひとつであり、Phil Collins時代のGenesisがここから始まったことを象徴する曲でもある。
題材となっている“Squonk”は、アメリカの伝承に登場する架空の生物である。
醜い外見を恥じ、常に泣きながら森を歩き、捕らえられると自分の涙に溶けてしまうという奇妙な存在だ。
Genesisはこの民間伝承をもとに、自分自身を嫌悪する存在の悲劇を寓話として描いている。
歌詞はユーモラスでありながら非常に悲しい。
怪物を捕まえようとする人間と、その姿を恥じる怪物。
最終的に捕まえたと思った瞬間、残るのは液体だけである。
音楽的には非常に重量感がある。
Mike Rutherfordの低いベースとPhil Collinsの重いドラムが大きなグルーヴを作り、Tony Banksのキーボードがその上に荘厳なハーモニーを重ねる。
Collinsのヴォーカルもここでは非常に力強い。
後年のGenesisにおける彼のフロントマン像につながる重要な瞬間である。
また、ドラムの巨大なサウンドは後のプログレッシブ・ロックやアート・ロックにも大きな影響を与えた。
4. Mad Man Moon
「Mad Man Moon」は、Tony Banksの作曲家としての個性が特に強く表れた楽曲である。
Genesisのなかでも比較的静かで、ピアノを中心とした複雑な和声進行が特徴となっている。
タイトルは「狂人の月」といった意味を持ち、歌詞では砂漠、雨、月、旅といった象徴的なイメージが登場する。
中心にあるのは、「逃げ出した場所こそ実は必要な場所だったのではないか」という逆説である。
人は自由を求めて環境を離れる。
しかし離れた後になって、そこに存在していた価値へ気づく。
このテーマはGabriel脱退後のGenesisという状況にも重ねることができるが、楽曲そのものはより普遍的な寓話として成立している。
中盤のインストゥルメンタルでは、ラテン的あるいはジャズ的なリズム感も現れ、単純なバラードから大きく逸脱する。
Tony Banksらしい予測しにくいコード進行と、Phil Collinsの柔らかな歌唱が組み合わさり、本作でも特に優雅な楽曲となっている。
5. Robbery, Assault and Battery
「Robbery, Assault and Battery」は、アルバムのなかでも特に演劇的な楽曲である。
タイトルは「強盗、暴行、傷害」といった犯罪を意味する。
歌詞では犯罪者の視点から物語が展開され、警察や追跡をめぐるコミカルで皮肉な場面が描かれる。
このようなキャラクターを設定し、その人物になりきって歌う方法はPeter Gabriel時代のGenesisを強く思わせる。
しかしここで興味深いのは、その役割をPhil Collinsが自然に引き継いでいることである。
Collinsは声色やイントネーションを変え、単なる歌唱ではなく物語の登場人物として演じる。
音楽的にも非常に複雑で、途中には変拍子を含むインストゥルメンタル・セクションが配置される。
Tony BanksのキーボードとPhil Collinsのドラムが激しく動き、Genesisの高度な演奏技術を示す。
ユーモラスな題材と複雑なプログレッシブ・ロックの構造を組み合わせた、古典的なGenesisらしさを残す楽曲である。
6. Ripples…
「Ripples…」は、『A Trick of the Tail』のなかでも最も美しいバラードのひとつである。
タイトルの“ripples”は水面に広がる「波紋」を意味する。
歌詞では美しさ、若さ、時間の経過が描かれる。
水面に映った姿は一瞬存在しても、波紋が広がれば形を失う。
そのイメージを使いながら、人間の若さや美しさも永遠ではないという事実を静かに見つめている。
Genesisは時間というテーマを繰り返し扱ってきたバンドだが、「Ripples…」ではそれが特に繊細な形で表現されている。
前半は12弦ギターとピアノを中心とした穏やかなバラード。
しかし中盤から長いインストゥルメンタルへ入り、Tony BanksのキーボードとSteve Hackettのギターが幻想的な空間を作る。
Hackettのギターは非常に重要で、単なるソロではなく、遠くから光が差し込むような音色を生み出す。
その後再びヴォーカル部分へ戻る構成によって、時間が一周して戻ってきたような感覚が生まれる。
本作のなかでも感情的な中心となる楽曲である。
7. A Trick of the Tail
タイトル曲「A Trick of the Tail」は、アルバムのなかでも比較的短く、ポップな構造を持つ楽曲である。
歌詞は寓話的で、人間とは異なる生物が人間社会へ迷い込み、その存在を見世物のように扱われる物語が描かれる。
その生物にとって、人間の世界こそ奇妙な場所である。
しかし人間側は、自分たちを「普通」と考え、異質な存在を珍しいものとして扱う。
この視点の反転が歌詞の核心にある。
誰が正常で、誰が異常なのか。
それは見る側によって変わる。
Peter Gabriel時代のGenesisにも見られた英国的な寓話とブラック・ユーモアが、ここではTony Banksを中心とするコンパクトな楽曲としてまとめられている。
音楽はキャッチーで、ピアノの軽快なフレーズが中心。
複雑な楽曲が多い本作のなかでは比較的親しみやすく、後年のGenesisがポップ・ソングへ近づいていく可能性も感じさせる。
8. Los Endos
アルバムを締めくくる「Los Endos」は、インストゥルメンタルを中心とした壮大なフィナーレである。
題名はスペイン語風に「終わり」を意味する言葉遊びとなっている。
楽曲は新しい素材だけで構成されているわけではなく、「Dance on a Volcano」や「Squonk」など、アルバム内のモチーフを再び登場させる。
そのため『A Trick of the Tail』全体を回想しながら一周するような役割を持つ。
Phil CollinsのドラムとBill Brufordを思わせるような高度なプログレッシブ・ロック的リズム感、Tony Banksのシンセサイザー、Mike Rutherfordのベース、Steve Hackettのギターが一体となり、演奏面ではアルバム最大級のクライマックスを形成する。
特にPhil Collinsのドラミングは圧倒的である。
彼がフロントマンとなったことで、後年は歌手としてのイメージが強くなるが、本作を聴けば当時のCollinsがプログレッシブ・ロックを代表するドラマーのひとりだったことが分かる。
終盤にはPeter Gabrielへのオマージュと解釈される一節も登場し、新しいGenesisが過去を完全に否定するのではなく、その歴史を引き継いで進んでいることを示す。
アルバム冒頭の「Dance on a Volcano」と結びつくことで、本作は円環的な構造を持って終わる。
総評
『A Trick of the Tail』の最大の意義は、「Peter GabrielがいなくなってもGenesisは成立する」という事実を証明したことである。
Gabriel時代のGenesisは、1970年代プログレッシブ・ロックを象徴する存在だった。
『Nursery Cryme』『Foxtrot』『Selling England by the Pound』『The Lamb Lies Down on Broadway』では、Gabrielの演劇的なキャラクター、複雑な物語、奇抜な衣装がステージの中心となっていた。
そのため1975年の脱退は、単なるヴォーカリスト交代ではなく、バンドのアイデンティティーそのものが失われる危機だった。
しかし『A Trick of the Tail』は、その予想を覆した。
Genesisの音楽的中心には、もともと複数の作曲家が存在していた。
Tony Banksの複雑な和声。
Mike Rutherfordの12弦ギターと低音設計。
Steve Hackettの独創的なギター。
Phil Collinsの高度なリズム感。
Gabrielの存在が非常に大きかったため見えにくかったが、その背後にはすでに強固な作曲集団が存在していたのである。
本作ではそれが明確になった。
特にTony Banksの影響力は大きい。
「Mad Man Moon」「A Trick of the Tail」などに見られるように、Banksはクラシック音楽的なコード進行をロックへ導入し、通常のブルースやロックンロールとは異なる和声感覚を作る。
Genesis特有の「英国的な幻想性」は、Gabrielの歌詞だけではなくBanksの和声そのものから生まれていたことが分かる。
Steve Hackettの存在も同様に重要である。
Hackettは派手な速弾きより音色を重視し、ヴォリューム奏法、サステイン、エフェクトを使ってギターをオーケストラ的に扱う。
「Entangled」や「Ripples…」では、その演奏が楽曲の幻想的な空気を決定づけている。
後のプログレッシブ・メタルやポストロックにもつながる、「ギターを空間として使用する」という発想の早い例としても重要である。
そして最大の発見がPhil Collinsのヴォーカルだった。
Collinsの声はPeter Gabrielと完全に同じではない。
しかし音域や声質にはある程度の共通点があり、Genesisの既存の音楽性へ自然に馴染んだ。
一方でCollinsはGabrielより柔らかく、リズム感のある歌い方をする。
それによって本作のメロディーは以前より直接的に伝わるようになった。
この変化が、後のGenesisに決定的な影響を与える。
1978年にSteve Hackettが脱退した後、GenesisはBanks、Rutherford、Collinsの3人体制となり、1980年代には『Duke』『Abacab』『Genesis』『Invisible Touch』などを通じて世界最大級のポップ/ロック・バンドへ変化していく。
『A Trick of the Tail』はまだ完全なプログレッシブ・ロック作品である。
10分近い曲。
長いインストゥルメンタル。
変拍子。
幻想的な歌詞。
複雑なキーボード。
これらはすべて1970年代Genesisの特徴そのものだ。
しかし「A Trick of the Tail」や「Squonk」などには、後のGenesisにつながるメロディーの直接性も存在する。
つまり本作は、Gabriel時代と80年代のポップなGenesisの中間地点にある。
過去を保持しながら未来を予告している。
歌詞の統一性も興味深い。
明確なコンセプト・アルバムではないが、作品には異形の生物、自然、時間、犯罪、幻想といった寓話的なテーマが繰り返される。
「Squonk」では自分の外見を恥じる怪物。
「A Trick of the Tail」では人間社会へ迷い込む異形の存在。
「Entangled」では意識を支配される患者。
「Mad Man Moon」では別の場所を求める旅人。
これらの人物はいずれも、自分のいる場所や自分自身に完全には適応できない。
その意味では『A Trick of the Tail』は、「異質な存在が新しい環境でどう生きるか」を描いたアルバムとして読むこともできる。
これはGenesis自身の状況とも重なる。
Gabrielを失ったGenesisは、「GabrielなしのGenesisなど本物ではない」と見られる可能性があった。
しかし彼らは別のバンドになるのではなく、自分たちがもともと持っていた音楽的アイデンティティーを再確認した。
だからこそ、このアルバムには奇妙な自信がある。
喪失後の作品でありながら、悲壮感が支配していない。
むしろ演奏には活力があり、音質も明るく、アンサンブルは非常に精密である。
『The Lamb Lies Down on Broadway』が巨大で閉塞した都市的作品だったのに対し、『A Trick of the Tail』には自然、森、月、水、火山といったイメージが多く、音楽もより開放的である。
プロダクション面でも重要な作品である。
1970年代中盤のGenesisは、初期の少し曇った録音から離れ、楽器一つひとつを明確に聞かせる方向へ進んだ。
『A Trick of the Tail』ではキーボード、ギター、ベース、ドラムの分離が良く、特にPhil Collinsのドラムは非常に生々しい。
そのため複雑なアレンジでありながら、音楽が濁らない。
プログレッシブ・ロックというジャンルの歴史のなかでも、本作は重要な位置にある。
1976年頃になると、Yes、Emerson, Lake & Palmer、King Crimsonなど、70年代前半に隆盛を極めたプログレッシブ・ロックは転換期へ入っていた。
さらに翌1977年には英国でパンク・ロックが本格的に台頭し、複雑で長大なプログレッシブ・ロックは「旧世代」の象徴として批判されるようになる。
そんな時代に『A Trick of the Tail』は、プログレッシブ・ロックの複雑さを保ちながら、過度に巨大化せず、8曲という比較的まとまりのある構成で提示された。
そのため本作は、70年代プログレッシブ・ロックの成熟期を代表する作品とも言える。
さらに後世への影響という点では、Genesisのこの時期の音楽はNeo-Progと呼ばれる1980年代のバンド群へ大きな影響を与えた。
Marillion、IQ、Pendragonなどは、Genesisのドラマティックなキーボード、幻想的な歌詞、長い楽曲構成を新しい時代へ引き継いだ。
また、後のプログレッシブ・メタルにおいても、複雑なリズムとメロディーを両立させるというGenesisの方法論は重要な先例となっている。
『A Trick of the Tail』は、単なる「ヴォーカリスト交代後の成功作」ではない。
それはバンドというものが、個人のカリスマと集団の創造性のどちらによって成立するのかという問題に対する、一つの回答でもある。
GenesisはPeter Gabrielを失った。
しかし、自分たちの音楽を失ったわけではなかった。
むしろその喪失によって、Tony Banks、Mike Rutherford、Steve Hackett、Phil Collinsという4人が、それぞれどれほど重要な存在だったのかが明確になった。
アルバムの最後を飾る「Los Endos」は、その事実を最も象徴している。
ヴォーカルではなく演奏そのものによってアルバムを締めくくる。
そこにはGenesisというバンドの核心が、物語や衣装ではなく、4人のアンサンブルそのものに存在するという宣言がある。
『A Trick of the Tail』は、ひとつの時代を失った後に作られた作品でありながら、過去への追悼ではない。
それは次のGenesisが始まった瞬間を記録したアルバムなのである。
おすすめアルバム
1. Genesis – Selling England by the Pound(1973)
Peter Gabriel時代のGenesisを代表する作品。「Dancing with the Moonlit Knight」「Firth of Fifth」「The Cinema Show」などを収録し、英国的な幻想性、クラシカルなキーボード、複雑な構成が完成している。『A Trick of the Tail』との比較によって、Gabriel脱退後もGenesisの音楽的基盤が継承されていたことが分かる。
2. Genesis – Wind & Wuthering(1976)
『A Trick of the Tail』に続いて同じ4人体制で制作されたアルバム。より秋や冬を思わせる落ち着いた音像と、Tony BanksおよびSteve Hackettの存在感が強い。Hackett在籍最後のスタジオ作品であり、『A Trick of the Tail』で確立されたPhil Collinsフロントマン期初期のGenesisをさらに深化させている。
3. Steve Hackett – Voyage of the Acolyte(1975)
『A Trick of the Tail』直前に発表されたSteve Hackettの初ソロ・アルバム。Mike RutherfordとPhil Collinsも参加しており、実質的にGenesis周辺の音楽的アイデアを発展させた作品でもある。幻想的なギター、メロトロン、長いインストゥルメンタルを好むリスナーには特に関連性が高い。
4. Yes – Going for the One(1977)
1970年代後半のプログレッシブ・ロックが、複雑さを保ちながらより簡潔で明快な方向へ進んだ代表例。壮大な構成とポップなメロディーの共存という点で、『A Trick of the Tail』と比較しやすい作品である。
5. Camel – Moonmadness(1976)
『A Trick of the Tail』と同じ1976年に発表された英国プログレッシブ・ロックの名作。柔らかなシンセサイザー、叙情的なギター、長いインストゥルメンタルを特徴とし、Genesisよりも歌詞の比重は低いものの、幻想的で流麗な音世界には強い共通点がある。

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