アルバムレビュー:Indelibly Stamped by Supertramp

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日: 1971年6月
ジャンル: プログレッシブ・ロック、ブルース・ロック、フォークロック


概要

『Indelibly Stamped』は、Supertrampが1971年に発表した2作目のスタジオ・アルバムであり、バンドの音楽的方向性が大きく転換した意欲作である。

前作『Supertramp』(1970年)ではクラシックや詩的幻想を取り入れたプログレッシブ・ロック色が濃かったが、本作ではよりロックンロールやブルース、フォークなどのアーシーな要素が強まり、サウンドは一気に骨太になっている。
また、リック・デイヴィスとロジャー・ホジソンのヴォーカルと作曲に比重が移り、初期の実験的かつ詩的なスタイルから、より実直でメッセージ性の強い方向へとシフトしたことも特徴である。

ジャケットには刺青の入った女性の胸が大胆に描かれており、そのセンセーショナルなビジュアルは一部で物議を醸した。
このビジュアル面の“外向性”とは対照的に、音楽そのものは非常に誠実で、人間の感情や日常に根ざしたテーマを扱っている。

商業的には振るわなかったが、のちに『Crime of the Century』で大ブレイクを果たすまでの過渡期を象徴するアルバムとして、現在ではSupertrampの真の出発点とも再評価されている。


全曲レビュー

1. Your Poppa Don’t Mind

軽快なピアノとハーモニカが印象的な、陽気でカントリー調のロック・ナンバー。
父親の不在と恋愛の自由をテーマにした歌詞には、ユーモアと皮肉が込められている。
バンドの新しい一面を感じさせるスタートとなる。

2. Travelled

ロジャー・ホジソンによるメランコリックなフォーク・ロック。
人生の旅路をテーマに、シンプルなアコースティック・サウンドと物憂げなメロディが交錯する。
儚さと孤独がしっとりと滲む名曲である。

3. Rosie Had Everything Planned

ドラマ性のある展開とユーモラスな歌詞が魅力的な中編曲。
“全てを計画していたロージー”という人物像に皮肉と同情が同居し、まるで短編小説のような世界観が展開される。

4. Remember

リック・デイヴィスによるソウルフルなボーカルが冴えるブルージーな一曲。
リズム・セクションのグルーヴ感が心地よく、バンドの演奏力の高さがストレートに伝わる。
過去を“Remember”することの意味を問いかける、内省的なナンバー。

5. Forever

スローテンポの叙情的バラード。
“永遠”という言葉が持つ希望と恐れの両義性を、ホジソンの繊細なヴォーカルが浮き彫りにする。
シンプルな編成だからこそ、メロディの美しさと感情の深さが際立つ。

6. Potter

皮肉たっぷりの社会風刺ソング。
Potterというキャラクターに投影された“力を持つ者”への不信と批判が、攻撃的なリフとともに展開される。
中盤のユニゾン・パートにバンドの団結感が感じられる。

7. Coming Home to See You

アコースティックギターと軽快なピアノによる、帰郷の喜びをテーマにしたナンバー。
地味ながらも温かみのあるサウンドが胸を打つ。
「あなたに会うために帰る」という一節に込められた素朴な感情が、リスナーの共感を誘う。

8. Times Have Changed

タイトル通り、変わりゆく時代と価値観への戸惑いと批判をテーマにした楽曲。
リック・デイヴィスのピアノがリードする形で進行し、1970年代初頭の社会情勢を反映している。
Supertrampの思想的側面が垣間見える重要曲。

9. Friend in Need

トミー・ホジソンによるフォーク調のやさしい楽曲。
“困った時の友”という主題が、直接的で素朴なメロディに乗って語られる。
本作では珍しく、救いや絆を感じさせる明るい一曲。

10. Aries

本作を締めくくる6分超のプログレッシブ・ナンバー。
タイトルは“牡羊座”を意味し、星座をめぐる象徴的な意味を内包する。
長尺ながら飽きさせず、静と動の緩急が見事に描かれている。
後年のSupertrampにも通じる構成力の萌芽がここにある。


総評

『Indelibly Stamped』は、Supertrampにとって“第二の始まり”を意味する重要作である。
前作にあったクラシカルな幻想世界から一転し、本作では現実の生活、政治、愛、孤独といった“地に足の着いた”主題が全面に押し出されている。

音楽的にも、プログレッシブ・ロックの枠に留まらず、ブルース、カントリー、フォーク、ポップといった多様なスタイルを柔軟に取り入れており、後年のバンドの幅広い音楽性の下地となっている。

商業的には地味な立ち位置にあるが、本作がなければ『Crime of the Century』や『Breakfast in America』といった名作群は生まれなかったとも言える。
その意味で『Indelibly Stamped』は、Supertrampというバンドの“人間性”と“歩み”を知るうえで、極めて重要な一枚なのである。


おすすめアルバム(5枚)

  1. The Kinks – Muswell Hillbillies (1971)
    英国フォークや社会風刺を含んだサウンドと主題性が共鳴する。
  2. Traffic – John Barleycorn Must Die (1970)
    フォーク・ブルースとロックの融合、バンドとしての有機的な演奏が共通点。
  3. Cat Stevens – Mona Bone Jakon (1970)
    内省的な歌詞とアコースティック中心のアレンジが重なる作品。
  4. Procol Harum – Broken Barricades (1971)
    クラシカルな要素とロックのバランス、そして詩的表現の高さにおいて親和性が高い。
  5. David BowieHunky Dory (1971)
    同時代における多様なスタイルの融合と、詞世界の鋭さにおいて通じ合う。

コメント

タイトルとURLをコピーしました