アルバムレビュー:Cornerstone by Styx

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 1979年10月19日
ジャンル: アリーナ・ロック、ソフトロック、プログレッシブ・ロック、ポップ・ロック


概要

『Cornerstone』は、Styxが1979年に発表した9作目のスタジオ・アルバムであり、バンド史上最大のヒットシングル「Babe」を生んだ作品である。

前作『Pieces of Eight』において到達したプログレ×ハードロックの美学から一転、本作ではよりソフトでメロディアスなアプローチが前面に押し出されている。
タイトルが示すように、「礎」としての役割を担った本作は、Styxが1980年代に向けてさらにメインストリーム化する兆しを見せた一枚であり、音楽性の転換点でもあった。

「Babe」の全米1位獲得により、デニス・デ・ヤング主導のバラード路線が強化される一方で、トミー・ショウとジェームス・ヤングとの間に音楽的対立が表面化することにもつながった。
この緊張感は、アルバム全体のバランスにも影を落としており、内的分裂の兆候が見え隠れする。

しかしながら、本作におけるメロディの完成度、楽曲構成の巧みさ、そしてソフトな音像の中に宿る知的な緊張感は、Styxのポップ・ロックへの適応力と持続的な進化を証明している。


全曲レビュー

1. Lights

煌びやかなシンセサイザーと明快なメロディラインが印象的なオープニング・トラック。
“Lights”という語は文字通りの都市の灯りでもあり、名声や成功の象徴でもある。
ソフトロック的でありながら、そこには都市的孤独と憧憬が静かに漂っている。

2. Why Me

内省的な歌詞と、徐々に盛り上がるアレンジが特徴のロック・バラード。
「なぜ自分がこんな目に?」という普遍的な問いかけが、デニス・デ・ヤングの繊細なボーカルで強調される。
中間部のサックス・ソロがジャジーで印象的なアクセントとなっている。

3. Babe

Styx史上最大のヒット曲。
デニス・デ・ヤングが妻への思いを込めて書いたラブソングで、パーソナルな感情がそのまま普遍的な愛の賛歌へと昇華されている。
柔らかなキーボードと優しいボーカル、そしてコーラスの美しさが極上のバラードを形作っている。

4. Never Say Never

トミー・ショウが主導する爽快なロック・ナンバー。
恋愛における“あきらめない姿勢”を軽快なメロディで描き、明るく開放的なトーンがアルバム全体に躍動感を与える。
ギターの粒立ちもよく、アリーナ・ロック的なエネルギーが感じられる一曲。

5. Boat on the River

マンドリンとアコースティック・ギターを中心にしたフォーク色の強い楽曲。
トミー・ショウがリード・ヴォーカルを務め、母国を離れた旅人のような哀愁がにじむ。
ヨーロッパ市場で高い人気を博し、シングルとしても成功を収めた。
バンドの持つ多彩な音楽性を証明する佳曲。

6. Borrowed Time

ジェームス・ヤングとデ・ヤングによる共作で、政治的・社会的なメッセージが込められた力強いナンバー。
「借り物の時間(Borrowed Time)」という表現は、文明や社会が脆弱なバランスの上にあることを示唆している。
アップテンポのハードロックに乗せて語られる警句は、今聴いてもなお生々しい。

7. First Time

デニス・デ・ヤングによる甘く、かつ演劇的なラブバラード。
初めての恋、初めての感情を語る歌詞は、ナイーブさとノスタルジーを帯びており、時を越えた普遍性を持っている。
一方で、その甘さがバンド内の緊張を引き起こしたとも言われる。

8. Eddie

ジェームス・ヤングが手がけたポリティカル・ロック。
“Eddie”という名の政治家に語りかけるような構成で、当時のアメリカ社会への風刺が含まれている。
ヘヴィなギターとスピード感のある展開が、アルバム後半の緊張感を高めている。

9. Love in the Midnight

ミステリアスで官能的なムードを纏ったラスト・トラック。
シンセとギターが絡み合い、夜の静寂と情熱を同時に描き出すような演出がなされている。
愛の神秘と一体感、そして孤独までもが複雑に折り重なる、Styxらしい締めくくりである。


総評

『Cornerstone』は、Styxがアリーナ・ロックの王者として君臨しながらも、新たな音楽的地平を模索した試みの記録である。
バンドとしての均衡が崩れかけていた時期にもかかわらず、各メンバーの個性と作曲能力はむしろ円熟味を増し、ソフトロックへの傾斜が本作独自の魅力となって結実している。

“甘さ”と“鋭さ”、“個人”と“社会”の視点が混在する楽曲群は、70年代末という転換点におけるアメリカの気分をそのまま反映している。
バンドの内なる緊張が作品にダイナミズムをもたらし、その不安定さゆえに魅力的なアルバムとなっているのだ。

一方で、この路線の継続は次作『Paradise Theatre』へとつながり、Styxはさらなる商業的成功を収めることになる。
その意味でも『Cornerstone』は、ポップ性と芸術性の岐路に立つバンドの肖像を切り取った、決定的な一枚である。


おすすめアルバム(5枚)

  1. Foreigner – Head Games (1979)
    アリーナ・ロックとポップの境界で揺れるサウンドが、同時代的な共振を持つ。
  2. Electric Light OrchestraDiscovery (1979)
    シンフォニックなポップとメロディ重視の美学が、Styxの本作と近しいバランス感を持つ。
  3. REO Speedwagon – Hi Infidelity (1980)
    バラードとハードロックを織り交ぜたスタイルが、80年代に向けたStyxとリンクする。
  4. Supertramp – Paris (1980)
    ライブ盤ながら、『Cornerstone』同様にメロディと内省的テーマが融合した音世界が味わえる。
  5. Billy JoelGlass Houses (1980)
    ソフトロック的要素と社会風刺の混在という点で、共鳴する作品。

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