What Do I Get by Buzzcocks(1978)楽曲解説

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1. 歌詞の概要

「What Do I Get?」は、Buzzcocksバズコックスが1978年にリリースしたシングルで、後にコンピレーションアルバム『Singles Going Steady』にも収録された、パンクロックの歴史における代表的なラブソングのひとつである。

この楽曲は、愛を求めても得られない孤独やフラストレーションをストレートに表現した作品であり、シンプルかつキャッチーなメロディに乗せて、恋愛のもどかしさや報われない気持ちが繰り返される

歌詞の中では、主人公が愛を求めているが、結局何も得られないことを嘆く。「何が手に入るの?」「結局、何もないじゃないか」というフレーズが繰り返され、欲望と現実のギャップがテーマとして強調されている

2. 歌詞のバックグラウンド

Buzzcocksは、1970年代後半のUKパンクシーンの中でも、特にメロディアスでエモーショナルな楽曲を得意としたバンドであり、ポップなメロディとパンクのアグレッシブさを融合させた「ポップ・パンク」の先駆者として知られる。

「What Do I Get?」は、バンドのフロントマンであるPete Shelley(ピート・シェリー)によって書かれた楽曲で、彼の恋愛における孤独感と、満たされない欲求を直接的に表現している。

この曲は、バンドにとって初の全英チャート入り(最高37位)を果たしたシングルであり、彼らの人気を確立するきっかけとなった。

3. 歌詞の抜粋と和訳

Original Lyrics:
I just want a lover like any other
What do I get?

和訳:
ただ、誰かと愛し合いたいだけなのに
俺が手に入れるものは何だ?

Original Lyrics:
I only get sleepless nights
Alone here in my half-empty bed

和訳:
手に入るのは眠れぬ夜だけ
半分空いたベッドで一人きり

Original Lyrics:
I can’t get no satisfaction
All I want is easy action

和訳:
満足なんて得られない
ただ、手軽な愛がほしいだけなのに

引用元:Genius

4. 歌詞の考察

「What Do I Get?」は、恋愛における欲望と、それが満たされないことへのフラストレーションをテーマにした楽曲である。

  • 「ただ誰かと愛し合いたいだけなのに」
    • ここでは、恋愛を求める素朴な願望が表現されているが、それが手に入らないことが強調されている。
    • Buzzcocksの楽曲の多くは、単なる「恋の歌」ではなく、報われない恋や孤独の感情に焦点を当てている
  • 「手に入るのは眠れぬ夜だけ」
    • 恋愛における失敗や拒絶によって、夜も眠れず、孤独感に苛まれる主人公の姿が描かれている。
    • これは、多くのリスナーが共感できる普遍的な感情であり、この曲が長年愛され続ける理由のひとつでもある。
  • 「満足なんて得られない」
    • これは、The Rolling Stonesの「(I Can’t Get No) Satisfaction」へのオマージュとも解釈できる
    • つまり、この曲は単に「恋愛がうまくいかない」というテーマだけではなく、人生における満たされなさや、欲求が常に満たされないことへの苛立ちも描いている

このように、「What Do I Get?」は、ただの失恋ソングではなく、人生そのもののフラストレーションを象徴する楽曲として、多くの人々に支持されている。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • “Ever Fallen in Love (With Someone You Shouldn’t’ve)” by Buzzcocks – 報われない恋をテーマにした名曲。
  • Orgasm Addict” by Buzzcocks – 欲望と衝動をテーマにしたアグレッシブな楽曲。
  • “Teenage Kicks” by The Undertones – 青春の甘酸っぱさとフラストレーションを描いた名曲。
  • “Another Girl, Another Planet” by The Only Ones – 恋愛の中毒性と喪失感を描いた楽曲。
  • “Blitzkrieg Bop” by Ramones – シンプルでキャッチーなパンクの代表曲。

6. 楽曲の影響と特筆すべき事項

「What Do I Get?」は、パンクロックの枠を超えて、後のポップ・パンクやオルタナティブ・ロックにも大きな影響を与えた楽曲である。

  • ポップ・パンクの先駆け
    • Buzzcocksの音楽スタイルは、後のGreen Day、Blink-182、The Offspringといったポップ・パンクバンドに多大な影響を与えた
    • 「What Do I Get?」のようなキャッチーなメロディと、シンプルなパンクのエネルギーは、90年代のポップ・パンクの基盤となった。
  • カバーやオマージュ
    • 多くのアーティストがこの楽曲をカバーしており、特にThe StrokesやFranz Ferdinandのようなガレージロックリバイバルのバンドにも影響を与えている。
    • また、The SmithsやBlurといったUKインディー/ブリットポップのバンドも、Buzzcocksの影響を公言している。
  • 映画やCMでの使用
    • この楽曲は、映画のサウンドトラックやテレビCMでも度々使用されており、そのキャッチーなフレーズは今でも多くの人々に親しまれている。

7. まとめ

「What Do I Get?」は、恋愛のフラストレーションや人生の不満をストレートに表現した、パンクロックのクラシックである。

そのシンプルな構成とキャッチーなメロディ、そして誰もが共感できる歌詞が、40年以上経った今も色褪せることなく聴き継がれている

パンクのエネルギーとポップのメロディを融合させたこの楽曲は、「パンク=反抗」だけではなく、「パンク=感情の爆発」であることを象徴する名曲として、今後も語り継がれていくだろう。

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