発売日: 2013年1月22日
ジャンル: サイケデリックロック、インディーロック、ガレージロック
Foxygenの2作目「We Are the 21st Century Ambassadors of Peace & Magic」は、1960年代や70年代のサイケデリックロック、フォーク、ガレージロックから強く影響を受けたサウンドが特徴で、レトロな雰囲気を漂わせながらも新鮮さとエネルギーに溢れたアルバムである。デュオのサム・フランスとジョナサン・ラドーは、自由奔放な楽曲構成と大胆なアレンジでリスナーを引き込み、まるで異次元の音楽の旅に連れていくような体験を提供している。
本作では、The Rolling StonesやThe Kinks、The Velvet Undergroundといった往年のロックバンドの影響が随所に見られ、サム・フランスのカリスマ性あふれるボーカルスタイルが魅力的に響く。プロデューサーのリチャード・スウィフトによるプロダクションも秀逸で、曲ごとに異なる多彩なサウンドスケープを見事に作り上げている。「We Are the 21st Century Ambassadors of Peace & Magic」は、現代に蘇ったサイケデリックなロックのエッセンスと、Foxygen独自のエキセントリックなスタイルが絶妙に融合した作品だ。
トラックごとの解説
1. In the Darkness
アルバムの幕開けを飾る「In the Darkness」は、短くも幻想的なイントロで、静かなアコースティックサウンドに乗せて、リスナーを夢の中へ誘うような雰囲気を醸し出している。
2. No Destruction
ゆったりとしたリズムが心地よい「No Destruction」は、サムのナレーション風の歌い方がユニークで、シニカルな歌詞とともにカリフォルニアの自由な空気感を描き出している。The Velvet Undergroundを彷彿とさせる一曲。
3. On Blue Mountain
「On Blue Mountain」は、ゴスペルの影響を受けたイントロと、アップテンポなロックビートが組み合わさったダイナミックな楽曲。サムのボーカルが力強く、曲中の変化に富んだ展開が聴きどころだ。
4. San Francisco
アルバムの代表曲「San Francisco」は、軽快なメロディとロマンチックな歌詞が心に残るトラックで、ラドーのコーラスが曲に奥行きを与えている。ポップでありながらどこか哀愁が漂うメロディが、サイケデリックな雰囲気を演出する。
5. Bowling Trophies
わずか1分半の「Bowling Trophies」は、サイケデリックで実験的なインストゥルメンタルトラック。奇妙な音響と浮遊感のあるサウンドが印象的で、アルバム全体にスパイスを加える役割を果たしている。
6. Shuggie
「Shuggie」は、グルーヴィーなリズムとファンキーなメロディが特徴の一曲。複雑な展開とキャッチーなリフが楽曲のエッジを引き立て、サムの表情豊かなボーカルが全体をまとめ上げている。
7. Oh Yeah
「Oh Yeah」は、ブギー調のビートとサムの自由奔放なボーカルが融合し、リスナーを軽やかな旅へと誘うトラック。陽気でパーティーのような雰囲気が漂い、エネルギッシュなサウンドが心に残る。
8. We Are the 21st Century Ambassadors of Peace & Magic
タイトル曲「We Are the 21st Century Ambassadors of Peace & Magic」は、サイケデリックなギターとリズムが際立つ楽曲で、まるで儀式のような幻想的なムードを醸し出している。アンセミックなサビが聴き手の心を掴む。
9. Oh No 2
アルバムの締めくくりとなる「Oh No 2」は、穏やかなアコースティックサウンドとシンセが絡み合う美しいトラックで、感動的なフィナーレを演出する。サムのボーカルが切なさと希望を同時に伝え、アルバム全体に余韻を残す。
アルバム総評
「We Are the 21st Century Ambassadors of Peace & Magic」は、Foxygenが60〜70年代のロックの精神を現代に蘇らせた、エネルギッシュでノスタルジックな一枚である。サム・フランスとジョナサン・ラドーのユニークな音楽センスが光り、曲ごとに異なるアプローチとサウンドスケープを駆使しながら、聴き手をサイケデリックな音楽の旅へと誘う。Foxygenの自由奔放で実験的なスタイルは、単なるレトロの枠を超えて、現代のリスナーに新鮮な驚きを与えるものだ。このアルバムは、ロックの過去と現在を見事に融合させた作品であり、リスナーにとっても色褪せることのないクラシックとなるだろう。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Odessey and Oracle by The Zombies
60年代のサイケデリックポップの名作で、Foxygenのサイケデリックな音楽スタイルに影響を与えた。美しいメロディと幻想的な雰囲気が共通点。
The Velvet Underground & Nico by The Velvet Underground
Foxygenのシニカルで物語性のある歌詞や、実験的なアプローチに通じるクラシック。自由で前衛的な音楽性が共鳴する。
Hunky Dory by David Bowie
Foxygenのカリスマ的なボーカルスタイルや、サムの表現力に影響を与えたボウイの名盤。多様なスタイルを楽しめる。
The Kinks Are the Village Green Preservation Society by The Kinks
ノスタルジックで温かみのあるメロディが、Foxygenの音楽と通じるものがある。どこか牧歌的な世界観が魅力。
Father John Misty – Fear Fun
レトロなサウンドと現代的な皮肉が融合したアルバム。Foxygenのシニカルでドラマチックなスタイルが好きなリスナーにおすすめ。
コメント