発売日: 1972年9月25日
ジャンル: ヘヴィメタル、ハードロック
アルバム全体の印象
「Vol. 4」は、Black Sabbathの4枚目のスタジオアルバムであり、バンドの音楽的な冒険心と実験精神が結実した作品だ。これまでのヘヴィで重厚なサウンドを基調としつつ、アコースティックなトラックや、ピアノやオーケストラを取り入れた楽曲を収録し、音楽の幅をさらに広げている。
本作では、トニー・アイオミのギターリフの創造性が光り、ギーザー・バトラーの重厚なベース、ビル・ワードのドラムの力強さ、そしてオジー・オズボーンの独特のボーカルスタイルが一体となっている。制作中には大量のドラッグが使用されたという逸話があるが、それにもかかわらず、アルバムは驚くべき完成度を誇り、バンドの創造力がピークに達していることを証明している。
収録曲の中でも、「Snowblind」「Supernaut」「Changes」といった楽曲は、ブラックサバスの音楽的な多様性を示す名曲であり、アルバム全体を通じて新しい方向性を模索する意欲が感じられる。「Vol. 4」は、ヘヴィメタルの枠を超えた芸術的な作品として、多くのリスナーに影響を与え続けている。
各曲解説
1. Wheels of Confusion / The Straightener
アルバムのオープニングトラックで、複雑な構成と感情的なギターリフが特徴。トニー・アイオミのギターソロが楽曲を壮大に盛り上げ、バンドの成熟を感じさせる一曲。
2. Tomorrow’s Dream
シンプルでキャッチーなメロディを持つトラック。オジー・オズボーンの感情的なボーカルと、アイオミのリフが完璧に調和している。
3. Changes
ピアノを中心としたバラードで、ブラックサバスの異色作として知られる。歌詞には愛と別れが描かれており、オジーの繊細な歌声が楽曲に感動を与えている。
4. FX
短いインストゥルメンタルトラックで、エフェクトを多用した実験的なサウンドスケープを展開。アルバム全体の雰囲気に変化を加える役割を果たしている。
5. Supernaut
力強いリフとリズムが特徴のアップテンポな楽曲。ビル・ワードのドラムが特に印象的で、後の多くのアーティストに影響を与えた。
6. Snowblind
アルバムを象徴する楽曲で、歌詞にはコカイン使用を暗示する内容が込められている。ヘヴィなリフと切迫感のあるボーカルが一体となり、アルバムのハイライトとなっている。
7. Cornucopia
スローで重厚なリズムが特徴的な一曲。ブラックサバス特有のダークな雰囲気が全開で、ヘヴィメタルの本質が詰まった楽曲。
8. Laguna Sunrise
アコースティックギターとストリングスをフィーチャーしたインストゥルメンタルで、タイトルが示すように美しい日の出を連想させるトラック。ブラックサバスの柔らかい一面を垣間見ることができる。
9. St. Vitus Dance
軽快なリズムと明るめのメロディが特徴の楽曲。アルバムの中では比較的短いが、全体のテンポをリフレッシュする役割を果たしている。
10. Under the Sun / Every Day Comes and Goes
アルバムを締めくくる壮大なトラック。ヘヴィで荘厳なサウンドが、ブラックサバスの音楽的威厳を見事に表現している。複数のパートが組み合わされた構成も見事だ。
アルバム総評
「Vol. 4」は、Black Sabbathがこれまでのヘヴィメタル路線を保ちながらも、新たな音楽的領域に挑戦した意欲作である。リフ主体のヘヴィな楽曲から、繊細なバラード、実験的なインストゥルメンタルまで、バンドの多様な表現力が詰まっている。
「Snowblind」や「Supernaut」のような楽曲は、ブラックサバスの真骨頂を感じさせる一方で、「Changes」や「Laguna Sunrise」のような異色のトラックは、バンドの新たな可能性を示している。全体を通じて、ヘヴィメタルの枠にとらわれない自由な創造性が感じられるアルバムだ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
「Master of Reality」 by Black Sabbath
「Vol. 4」以前の作品で、ダウントゥーニングによる重厚なサウンドが確立された名盤。
「Sabbath Bloody Sabbath」 by Black Sabbath
次作であり、さらにプログレッシブで複雑なサウンドが展開されている。
「Machine Head」 by Deep Purple
同時期のハードロックの名盤で、リフ主体のサウンドが「Vol. 4」と共鳴する。
「Led Zeppelin III」 by Led Zeppelin
アコースティックとハードロックが融合した作品で、「Laguna Sunrise」や「Changes」と共通する柔らかな側面が楽しめる。
「Sad Wings of Destiny」 by Judas Priest
メロディアスでありながらヘヴィなサウンドが特徴。ブラックサバスから影響を受けたバンドの傑作。
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