アルバムレビュー：The Temptations Sing Smokey by The Temptations

発売日: 1965年3月22日
ジャンル: ソウル、R&B、モータウン

The Temptations Sing Smokeyは、モータウンサウンドの象徴ともいえるアルバムであり、ザ・テンプテーションズがモータウンの名プロデューサーでありソングライターのスモーキー・ロビンソンの楽曲をカバーした作品だ。このアルバムは、彼らのボーカルハーモニーの魅力と、スモーキー・ロビンソンが手掛けたエモーショナルでメロディアスな楽曲との完璧な融合を見せている。特に、デヴィッド・ラフィンやエディ・ケンドリックスといったメンバーの個性的なボーカルが光り、繊細で情感豊かな表現が楽曲の持つ感情をより強く引き出している。

各曲ごとの解説:

1. The Way You Do the Things You Do
   　スモーキー・ロビンソンが手掛けたテンプテーションズの初ヒット曲。軽快なリズムと明るいメロディが特徴で、エディ・ケンドリックスの高音ボーカルが楽曲のキャッチーさを際立たせている。恋愛をテーマにしたユーモラスな歌詞が親しみやすい。
2. Baby, Baby I Need You
   　バラード調のラブソングで、ソフトで甘美なメロディが印象的。リードボーカルのデヴィッド・ラフィンが切実な恋心を情感豊かに歌い上げ、彼の独特のソウルフルな歌声が楽曲に深みを与えている。
3. My Girl
   　ザ・テンプテーションズの代表曲であり、彼らの最大のヒット曲の一つ。スモーキー・ロビンソンによるプロデュースと、デヴィッド・ラフィンのリードボーカルが完璧に調和している。ロマンティックな歌詞と、キャッチーなベースラインが特徴的で、彼らのシグネチャーソングともいえる名曲。
4. What’s So Good About Goodbye
   　切ない別れをテーマにしたこの曲は、ソウルフルなメロディとエディ・ケンドリックスの柔らかいボーカルが心に残る。楽曲全体に漂う哀愁が、モータウン特有のメロディアスなバラードとして際立っている。
5. You’ve Really Got a Hold on Me
   　スモーキー・ロビンソンがオリジナルで歌ったこの曲を、ザ・テンプテーションズは少しアップテンポでカバー。感情の葛藤を描いた歌詞とリズムのコンビネーションが絶妙で、彼らの洗練されたハーモニーが曲に新たな息吹を与えている。
6. Way Over There
   　エネルギッシュな楽曲で、恋人を求める切実な想いが表現されている。テンポの速いリズムに乗せて、ボーカルの掛け合いが曲を盛り上げる。ザ・テンプテーションズのコーラスワークが、この曲のダイナミズムをさらに高めている。
7. (You Can) Depend on Me
   　愛の誓いをテーマにしたバラードで、リードボーカルのデリケートな表現が印象的な一曲。シンプルなメロディラインに、感情豊かな歌声が見事に溶け込んでいる。
8. Who’s Lovin’ You
   　マーヴィン・タープリンの印象的なギターリフに乗せて、切ない恋の後悔を歌ったバラード。デヴィッド・ラフィンの力強いボーカルが心を揺さぶる、エモーショナルな楽曲だ。
9. What Love Has Joined Together
   　ロマンティックなバラードで、愛の力を称える歌詞が美しく響く。メロウでソウルフルなメロディが、ザ・テンプテーションズのハーモニーを引き立てている。
10. You Beat Me to the Punch
    　アップテンポでリズミカルなこの曲は、スモーキー・ロビンソンのポップセンスが光る。ザ・テンプテーションズのボーカルとテンポの良いバックトラックが絶妙にマッチし、軽快な一曲に仕上がっている。
11. It’s Growing
    　愛が深まっていく様子を描いたソウルフルなバラード。デヴィッド・ラフィンのリードボーカルが、次第に高揚していく感情を見事に表現しており、聴き手に感動を与える。
12. You’ll Lose a Precious Love
    　切ない別れをテーマにしたラストトラック。ソウルフルなボーカルとエモーショナルなメロディが、アルバムの締めくくりとして心に残る。

アルバム総評:

The Temptations Sing Smokeyは、スモーキー・ロビンソンの楽曲とザ・テンプテーションズのシルキーなハーモニーが絶妙に融合した、モータウンの代表的な作品である。特に「My Girl」のような不朽の名曲を生み出し、彼らのボーカルグループとしての実力を広く知らしめたアルバムでもある。スモーキー・ロビンソンの繊細なメロディと、ザ・テンプテーションズの感情豊かなパフォーマンスが全編にわたって輝きを放っており、モータウンサウンドを愛するリスナーにとって必聴の一枚だ。

このアルバムが好きな人におすすめの5枚:

1. Where Did Our Love Go by The Supremes
   モータウンの黄金時代を代表するアルバム。ザ・スプリームスのシルキーなハーモニーと洗練されたプロダクションが特徴で、ザ・テンプテーションズのファンにはぜひおすすめ。
2. Smokey by Smokey Robinson
   スモーキー・ロビンソン自身のソロアルバムで、彼のソングライティングとソウルフルなボーカルを堪能できる一枚。ザ・テンプテーションズとの共通点が多く、ロビンソンファンには必聴。
3. Reach Out by The Four Tops
   「Reach Out I’ll Be There」などのヒット曲を収録した、モータウンの名作。ザ・フォー・トップスの力強いボーカルが、ザ・テンプテーションズのサウンドに共鳴する。
4. In the Midnight Hour by Wilson Pickett
   ソウルとR&Bを融合させたウィルソン・ピケットの名作。力強いボーカルとソウルフルなサウンドが、ザ・テンプテーションズのファンにとっても魅力的。
5. Let’s Get It On by Marvin Gaye
   ロマンティックなソウルミュージックを極めたマーヴィン・ゲイの名作。彼の感情的なボーカルスタイルは、ザ・テンプテーションズのファンにも共感を呼ぶはず。