アルバムレビュー：That’s the Way of the World by Earth, Wind & Fire

アルバムレビュー

2024.10.18

発売日: 1975年3月15日
ジャンル: ソウル、ファンク、R&B

『That’s the Way of the World』は、Earth, Wind & Fireにとって最も象徴的なアルバムの一つであり、彼らの音楽的進化を象徴する作品である。ファンクとソウルの要素が完全に融合し、リスナーに深い精神性と社会的メッセージを伝える一方で、ポップセンスとキャッチーなメロディも兼ね備えている。アルバムのテーマは、愛、団結、そして精神的な成長といった普遍的なもの。バンドのリーダーであるモーリス・ホワイトがプロデュースを手がけ、アルバムはチャートのトップに君臨し、彼らの国際的成功を確立した。特にタイトル曲「That’s the Way of the World」は、スムーズなサウンドと感動的な歌詞で多くのリスナーに深く響いた。

各曲ごとの解説:

Shining Star
　オープニングトラックであり、アルバム最大のヒット曲。エネルギッシュなファンクリフとインスピレーションに満ちた歌詞が融合し、自己信頼と自己価値を称賛するアンセムとなっている。ホーンセクションと強烈なベースラインが特徴で、リズムのパワーがリスナーを引き込む。
That’s the Way of the World
　アルバムのタイトル曲は、スムーズでソウルフルなサウンドが特徴。愛と団結、そして人間としての成長がテーマとなっており、しっとりとしたメロディとエモーショナルなボーカルが際立つ。ゆったりとしたリズムと感動的な歌詞が、深い余韻を残す名曲である。
Happy Feelin’
　この楽曲は、軽快なテンポと明るいメロディが特徴。曲名通り、楽観的でポジティブなフィーリングが溢れる。ホーンとリズムセクションが一体となって、リスナーに幸せな感覚を届ける一曲である。
All About Love
　ソウルフルなバラードで、愛の様々な形や人間関係の深さを描いている。モーリス・ホワイトのリードボーカルが柔らかく、ピアノとアコースティックギターが曲の温かさを引き立てている。メロウで感動的な一曲。
Yearnin’ Learnin’
　ファンクナンバーで、アップテンポなリズムとグルーヴ感溢れるホーンセクションが際立つ。リズムのダイナミズムが印象的で、バンド全体が一体となった演奏が楽しめる。楽曲は学びと成長をテーマにしており、ポジティブなメッセージが込められている。
Reasons
　美しいメロディが際立つバラードで、恋愛の複雑な感情を描写している。フィリップ・ベイリーのファルセットボーカルが感動的で、サクソフォーンのソロが曲に深みを与えている。ロマンティックでありながら、切ない感情を感じさせる一曲。
Africano
　アフリカのリズムとファンクが融合したインストゥルメンタル・トラック。パーカッションが前面に出た編曲で、バンドのルーツに対する敬意を感じさせる。ダンサブルでありながら、文化的な影響を感じ取れる独特の楽曲。
See the Light
　アルバムを締めくくるこのトラックは、ポジティブなメッセージと力強いリズムが特徴。困難な状況の中でも希望を持ち続けることの大切さを歌っており、バンドのスピリチュアルな側面が強く表れている。ギターとホーンの掛け合いが楽曲の展開を豊かにしている。

アルバム総評:

『That’s the Way of the World』は、Earth, Wind & Fireの音楽的なピークを象徴する作品であり、ファンクとソウルの融合、そして深い精神性と普遍的なメッセージを伝える名盤である。特に「Shining Star」や「Reasons」といった名曲が含まれており、バンドの独特なサウンドを完璧に体現している。モーリス・ホワイトのプロデュースのもと、彼らの音楽はさらに進化し、リスナーに感動とインスピレーションを与え続けている。

このアルバムが好きな人におすすめの5枚:

Innervisions by Stevie Wonder
スティーヴィー・ワンダーの『Innervisions』は、ソウルフルな楽曲と社会的メッセージが共存するアルバム。彼の音楽性とメッセージ性が『That’s the Way of the World』と共通しており、感動的な一枚。
Songs in the Key of Life by Stevie Wonder
スティーヴィー・ワンダーの最高傑作とされるこのアルバムは、人生、愛、精神性をテーマにした壮大な作品。Earth, Wind & Fireのファンには、その深いメッセージとソウルフルなサウンドが共鳴するだろう。
Mothership Connection by Parliament
ファンクの重鎮Parliamentのこのアルバムは、リズム感とグルーヴが際立ち、宇宙的なテーマが特徴。ファンク好きにはたまらない、Earth, Wind & Fireのサウンドと共鳴するアルバム。
Talking Book by Stevie Wonder
スティーヴィー・ワンダーのもう一つの傑作で、愛や人生についての深い洞察が込められている。メロディの美しさとソウルフルな歌詞が『That’s the Way of the World』を愛するリスナーにおすすめ。
Curtis by Curtis Mayfield
社会的メッセージと感動的なソウルミュージックを融合させたカーティス・メイフィールドのソロデビューアルバム。Earth, Wind & Fireのファンにとって、そのメッセージ性と音楽性は強く共感を呼ぶだろう。