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アルバムレビュー:Ten by ミスター・ビッグ(Mr. Big)

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日: 2023年7月12日
ジャンル: ハードロック、ブルースロック、メロディックロック


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概要

Ten』は、ミスター・ビッグが2023年にリリースした通算10作目のスタジオ・アルバムであり、
**バンドのキャリアを締めくくる“最後の章”**として位置づけられる作品である。

2018年の『Defying Gravity』以来6年ぶりの新作となった本作は、
2018年に惜しくも他界したドラマーパット・トーピーへの追悼、
そして“最後のツアー”と呼ばれる『The BIG Finish』を控えた時期に制作された。

ドラマーには**ニック・ディヴァージリオ(Nick D’Virgilio/Spock’s Beard)**を迎え、
プロデュースは再びバンド自身が担当。
音楽的には原点回帰を果たしつつ、ブルース、ソウル、そして人生の哀愁が滲み出る。
その音には、30年以上を共に歩んだ4人の魂が確かに宿っている。


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全曲レビュー

1. Good Luck Trying

オープニングを飾る快活なロックナンバー。
タイトルどおり「やるだけやってみろ!」という前向きなメッセージが込められている。
ポール・ギルバートのギターリフが軽快に鳴り響き、
往年のMr. Bigサウンドが瞬時に甦る。
ビリー・シーンのベースが自由に跳ね、バンドの生気を象徴する一曲。

2. I Am You

エリック・マーティンの温かな歌声が際立つ、ミドルテンポのメロディック・ロック。
「あなたと私は同じ痛みを抱えている」という共感のテーマが、
年齢を重ねた今の彼らだからこそ真実味を持つ。
サビのコーラスが美しく、人間味あふれるナンバー

3. Right Outta Here

疾走感のあるギターリフとソリッドなリズム。
クラシックなロックンロールのエネルギーを感じさせつつも、
モダンなミックスが加わり、古さを感じさせない。
ポールのギターとビリーのベースの掛け合いがこのバンドらしさを再確認させる。

4. Sunday Morning Kinda Girl

軽やかなブルースロック調の楽曲。
エリックが描く“日曜の朝のように穏やかな女性”の姿は、
ロックバンドが成熟しても失わない優しさとユーモアを象徴している。
ポップな魅力が溢れる、アルバム中でも最も親しみやすい曲のひとつ。

5. Who We Are

壮大なメロディを持つスローバラード。
“俺たちは誰か?”という問いを静かに投げかける。
再結成、別れ、再出発――そのすべてを経てきた彼らが、
今の自分たちを肯定するように歌う。
キャリアの総括的な一曲であり、聴く者の胸を打つ。

6. As Good As It Gets

ブルージーなギターリフとファンクなリズム。
“これ以上の瞬間なんてない”という歌詞が、人生の達観を感じさせる。
バンドの軽妙なグルーヴ感が炸裂し、
リズム隊の安定感はまさに円熟の域。

7. What Were You Thinking

攻撃的なギターリフに乗せたロックンロール・スピリット全開の一曲。
「いったい何を考えていたんだ?」という皮肉交じりのリリックが痛快。
ポール・ギルバートのギターソロは往年の超絶技巧と遊び心を兼ね備えている。

8. Courageous

重厚なサウンドの中に希望の光が差すナンバー。
タイトルの“勇敢さ”は、パット・トーピーへのオマージュでもある。
リズムの強さと歌詞の誠実さが感動的に響き、
バンドの“心の中心”を感じさせるトラック。

9. Up on You

爽やかなメロディを持つ、軽快で温かな曲調。
恋愛をテーマにしながらも、どこか人生の機微が滲む。
コーラスワークの完成度が高く、エリックの歌唱が輝く。
アルバムの中盤に差し込まれる小休止のような、穏やかな魅力。

10. The Frame

ラストを飾るバラードであり、Mr. Bigという物語の終章
「この額縁の中に残る思い出こそが、僕らのすべてだ」という詩的なメッセージが心を打つ。
ポールのギターは泣きのメロディを奏で、
ビリーのベースは静かに支え、エリックの歌声がやさしく包み込む。
終わりではなく、“永遠の余韻”を残すエンディングだ。


総評

『Ten』は、Mr. Bigが自らの音楽人生を総括した最後の贈り物である。

デビューから30年以上を経て、彼らはもう“技巧のバンド”ではない。
派手な速弾きやアクロバティックな演奏よりも、
ここには経験、友情、喪失、そして人間の温度がある。

ポール・ギルバートとビリー・シーンの技巧的な掛け合いは健在だが、
それはもはや競い合いではなく、“対話”のように聴こえる。
エリック・マーティンのヴォーカルは円熟味を増し、
どの曲にも人生の深みと穏やかな哀しみが宿っている。

特に「The Frame」は、バンドの歴史全体を包み込むような曲であり、
パット・トーピーへの敬意とファンへの感謝が感じられる。
もし『Lean Into It』が青春の記録なら、
『Ten』は人生そのものを語るロックの回想録である。


おすすめアルバム

  1. Lean Into It / Mr. Big (1991)
     代表曲「To Be With You」収録。黄金期の象徴。
  2. What If… / Mr. Big (2011)
     再結成のエネルギーをそのまま封じ込めた現代版クラシック。
  3. …The Stories We Could Tell / Mr. Big (2014)
     本作へと続く“人生を語るロック”の前章。
  4. Defying Gravity / Mr. Big (2017)
     パット・トーピー在籍最後のアルバム。儚くも力強い名作。
  5. Get Over It / Mr. Big (1999)
     リッチー・コッツェン加入期の挑戦。音楽的多様性の原点。

制作の裏側

本作はロサンゼルスで録音され、
ドラマーとして参加したニック・ディヴァージリオが自然体でパットのスタイルを継承。
メンバーは「彼がいなければこのアルバムは成立しなかった」と語っている。

レコーディングは極めてライブ感を重視し、
ほとんどのトラックが**同時録音(ワンテイク)**で収められた。
そのため、スタジオ盤でありながらライブの息遣いと熱量が感じられる。

ポール・ギルバートはギターの歪みを抑え、よりブルース寄りのトーンを採用。
ビリー・シーンは“音を埋める”よりも“呼吸を合わせる”ことに集中した。
その結果、音の隙間にこそバンドの成熟が漂う。

タイトルの『Ten』には、単に10作目という意味だけでなく、
“これで終わりでも悔いはない”という10点満点の誇りが込められている。

ミスター・ビッグというバンドが歩んできた物語の最後に、
彼らは技術ではなく“心”でロックを鳴らした。
『Ten』はその証であり、
“終わり”を“永遠”に変えた奇跡のアルバムなのだ。

 

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