発売日: 2014年2月5日
ジャンル: サイケデリックロック、ネオサイケデリア
イギリスのバンドTemplesのデビューアルバム「Sun Structures」は、60年代のサイケデリックロックのエッセンスを現代的な感性で蘇らせた作品である。The BeatlesやThe Byrds、Tame Impalaといったアーティストの影響を感じさせながらも、独自のサウンドスケープを築いている。煌びやかなメロディ、豊かなリバーブ、そして夢幻的なプロダクションが特徴で、全体的にタイムレスな魅力を放つアルバムとなっている。レトロな要素と現代的なアプローチが見事に融合し、過去と未来の架け橋を感じさせる一枚だ。
各曲ごとの解説:
- Shelter Song
アルバムの幕を開ける「Shelter Song」は、華やかなギターリフと明るいメロディが特徴的な曲で、The Beatlesを思わせる60年代サイケポップのエッセンスが満載。ノスタルジックな雰囲気の中にも現代的なエネルギーが溢れており、アルバムの代表曲としてリスナーを引き込む。 - Sun Structures
アルバムタイトル曲である「Sun Structures」は、より複雑な構成とリズムが特徴的。トライバルなドラムビートと浮遊感のあるギターワークが融合し、幻想的で神秘的なサウンドスケープを作り上げている。サイケデリックな効果音が曲全体を包み込み、アルバムの中心的なピースとなっている。 - The Golden Throne
リズム感が軽快な「The Golden Throne」は、60年代のバロックポップを彷彿とさせる。重層的なハーモニーと繊細なギターアレンジが、美しくも力強いサウンドを構築している。歌詞は抽象的で、神秘的なテーマが漂う。 - Keep in the Dark
「Keep in the Dark」は、ファジーなギターとリズミカルなベースラインが印象的な楽曲。ポップな要素が強調されており、キャッチーなメロディが耳に残る。歌詞は不安や隠された感情に触れており、光と影が共存するテーマが見られる。 - Mesmerise
この曲は、サイケデリックなエフェクトとドリーミーなメロディが融合し、深い陶酔感を生み出している。リバーブの効いたギターとシンセサイザーが曲に奥行きを与え、まさにタイトル通りリスナーを魅了する。 - Move with the Season
スローテンポで、メランコリックなメロディが特徴的な「Move with the Season」。幻想的なアレンジと空間的なサウンドスケープが、自然との調和や季節の移り変わりを感じさせる一曲である。テンポが緩やかで、心地よい浮遊感が漂う。 - Colours to Life
このトラックは、鮮やかなサウンドが特徴で、ビジュアル的な感覚を呼び起こすような曲。リズムは心地よく、歌詞は哲学的で、色彩が命を吹き込むかのように世界を鮮やかに描写している。シンセサウンドとギターの組み合わせが新鮮。 - A Question Isn’t Answered
イントロから重厚感のあるサウンドが展開される「A Question Isn’t Answered」は、パワフルなドラムとリフが特徴的。エコーの効いたボーカルが曲に幽玄な雰囲気を与えており、サイケデリックロックの真髄を感じさせる。 - The Guesser
ミステリアスで陰鬱な雰囲気を持つ「The Guesser」は、スモーキーなギターとダークなメロディが際立つ。歌詞は謎めいており、聴き手に解釈を委ねるような作りになっている。重厚なアレンジが、アルバムの中でも異彩を放つ。 - Test of Time
この曲は、よりポップな要素を前面に押し出した軽快なナンバーである。アップテンポなリズムとキャッチーなメロディが心地よく、アルバム全体の流れの中でアクセントを与えている。リフレインが印象的で、ライブでの盛り上がりも期待できる。 - Sand Dance
エキゾチックなリズムとサイケデリックなギターが特徴的な「Sand Dance」は、異国情緒漂うメロディがリスナーを異世界へと誘う。ドラムビートが強調され、曲全体にダンスミュージックの要素が加わっている。 - Fragment’s Light
アルバムのクロージングトラック「Fragment’s Light」は、静謐で美しいメロディが印象的な短い楽曲。アンビエントなサウンドと繊細なボーカルが、アルバム全体の余韻を優しく締めくくっている。
アルバム総評:
「Sun Structures」は、Templesが現代の音楽シーンにおいてサイケデリックロックを再定義し、レトロでありながらも新鮮なサウンドを提示した傑作である。60年代のサイケデリックな要素を取り入れつつも、現代的なアプローチが光り、タイムレスな魅力を持つ。このアルバムは、サウンドの豊かさとメロディの美しさが際立っており、聴くたびに新たな発見がある。特に「Shelter Song」や「Mesmerise」のようなキャッチーなナンバーから、「Sun Structures」「Curtain Call」のような実験的な楽曲まで、幅広いスタイルを楽しむことができる。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Lonerism by Tame Impala
サイケデリックなエフェクトと浮遊感のあるサウンドが共通しており、レトロとモダンの融合が「Sun Structures」に似ている。 - Innerspeaker by Tame Impala
Templesに多大な影響を与えたTame Impalaのデビュー作で、サイケデリックロックの現代版とも言えるサウンドが特徴。 - Forever Changes by Love
60年代サイケデリックロックの名盤で、複雑なアレンジと幻想的なメロディが、「Sun Structures」のサウンドに通じる。 - Odessey and Oracle by The Zombies
60年代のサイケデリックポップとバロックポップの融合で、Templesのメロディックな面と共通点がある。 - The Byrds Greatest Hits by The Byrds
12弦ギターとハーモニーが特徴的なThe Byrdsのサウンドは、Templesのノスタルジックな要素に強い影響を与えている。
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