1. 歌詞の概要
「Straight」は、Veruca Saltのデビュー・アルバム『American Thighs』（1994年）に収録された楽曲である。
この曲の歌詞は、タイトルが示すように“まっすぐであること”“率直であること”を軸にしつつ、自己と他者とのあいだに横たわる誤解やギャップ、そして自分の想いをどう伝えるかという葛藤を描いている。
主人公は、自分自身の気持ちを率直に相手に伝えたい、嘘や飾りを排してシンプルにありたいという思いと、現実の人間関係や社会のなかで“まっすぐ”でいることの難しさに揺れている。
恋愛や友情、日常のコミュニケーションにおける「誤解される不安」や「自分をそのまま表現したい願い」が、力強いバンドサウンドとともに響く。
2. 歌詞のバックグラウンド
Veruca Saltは、1990年代の女性オルタナティヴ・ロックシーンで、“自分らしく生きること”“正直でいること”を音楽で体現してきたバンドである。
「Straight」は、デビュー作『American Thighs』の中でも特にシンプルでストレートなギターロックとして、バンドの率直なメッセージを感じさせるナンバーだ。
当時のオルタナ・グランジの文脈では、「周囲の期待や既存の価値観に迎合せず、自分のままでいること」が一つの美学だった。「Straight」もまた、“自分の言葉で語ることの潔さ”や、“まっすぐな想い”が時に傷つきやすさと裏表であることを、リアルに歌い上げている。
3. 歌詞の抜粋と和訳
以下は「Straight」の印象的な歌詞の一部と和訳である。
引用元: Genius – Veruca Salt “Straight” Lyrics
I wanna be straight with you
あなたに正直でいたいNo secrets, no games
秘密も駆け引きもいらないI’m tired of bending the truth
真実を曲げるのにはもう疲れたI want you to see me as I am
ありのままの私を見てほしいBut it’s hard to be straight
でも、まっすぐでいるのは難しい
4. 歌詞の考察
「Straight」の歌詞は、シンプルな言葉の中に“まっすぐでいること”の理想と現実のギャップ、正直でありたいという願いと傷つくことへの恐れが詰まっている。
“秘密も駆け引きもいらない”というフレーズは、ありのままの自分をさらけ出す勇気と、相手への信頼を象徴している。
一方で、“まっすぐでいるのは難しい”と続くことで、誤解されたり傷ついたりする現実の複雑さも同時に描いている。
この両義的な心情が、Veruca Saltの繊細かつ力強いサウンドによって、よりリアルに浮かび上がる。
Veruca Saltらしい女性視点の率直さと、90年代オルタナティヴ・ロックならではの“ぶれない生き方”の哲学が、美しく凝縮された一曲である。
※ 歌詞引用元：Genius – Veruca Salt “Straight” Lyrics
5. この曲が好きな人におすすめの曲
「Straight」のような“正直さ”や“自己表現の葛藤”をテーマにしたオルタナ／グランジロックの名曲をいくつか紹介したい。
- Disarm by The Smashing Pumpkins
過去や感情に正直に向き合うことの痛みと再生を歌う名曲。 - Fade Into You by Mazzy Star
自己の本質と他者への伝え方、曖昧さと透明感を美しく描写。 - Just a Girl by No Doubt
自己表現と社会的期待の狭間で葛藤する女性のリアル。 - Pretend We’re Dead by L7
他者の目や価値観から自由になることの喜びと力強さを歌う。 - Violet by Hole
率直な怒りや欲望、自己肯定感をダイレクトに表現した一曲。
6. “まっすぐな心の強さと繊細さ” 〜 Veruca Saltと「Straight」の本質
「Straight」は、“まっすぐでいたい”というシンプルな願いの裏側にある、現実の複雑さや傷つきやすさもきちんと見つめた楽曲である。
自分の言葉や気持ちで人と向き合うことの難しさ、それでも「正直でありたい」という切実な思い――Veruca Saltの「Straight」は、現代にも通じる誠実さとエネルギーをリスナーに届けてくれる。
本当の自分でいたい、そんなあなたにそっと寄り添う、静かな勇気のロック・ナンバーだ。
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