発売日: 2018年10月5日
ジャンル: インディー・ポップ, ドリーム・ポップ, ベッドルーム・ポップ
『Soy Pablo』は、Boy Pabloの2作目のEPであり、前作『Roy Pablo』の成功を受け、さらに進化したサウンドを披露した作品だ。このアルバムは、ベッドルーム・ポップの親しみやすいDIYスタイルをベースにしながらも、よりプロダクションが洗練され、メロディやアレンジに深みが加わっている。フロントマンであるニコラス・ミュノスの独特な感性が前面に出ており、甘くメランコリックなトーンはそのままに、楽曲がよりポップでキャッチーに仕上がっている。
恋愛、青春、心の葛藤といったテーマが中心に描かれ、シンプルでありながらもリスナーの心に響く。Boy Pabloのトレードマークであるドリーミーなギターサウンドと、控えめで優しいボーカルがEP全体を通して展開され、短いながらも充実した作品に仕上がっている。
それでは、『Soy Pablo』のトラックを順に見ていこう。
1. Feeling Lonely
EPのオープニングを飾るこの曲は、軽快なリズムとキャッチーなメロディが特徴的だ。歌詞には、恋愛における孤独感や自己疑念が描かれており、サウンドの明るさとは対照的な内容が印象的。アップテンポのリズムと軽やかなギターリフがポップに響き、リスナーを引き込む一曲だ。
2. wanna be your dog
このトラックは、ボサノバのリズムにインスパイアされた柔らかなビートが特徴的で、Boy Pabloの多様な音楽性を感じさせる。歌詞には、相手に対する強い思いと憧れが描かれており、そのシンプルさが逆に切なさを強調している。リラックスした雰囲気の中で、甘いメロディが心地よい印象を残す。
3. Limón
「Limón」は、ゆったりとしたテンポで進行する、ローファイなギターが中心のトラック。歌詞には、遠く感じる恋人との距離感や切ない思いが表現されており、ドリーミーでメランコリックな雰囲気が漂う。控えめなアレンジが、曲の内省的なトーンを引き立てている。
4. t-shirt
この曲は、Boy Pabloらしいキャッチーでポップなメロディが際立つ一曲だ。軽快なギターとシンプルなドラムが、ミュノスの優しいボーカルを支えている。歌詞には、日常の中で恋人のことを思い出す切ない瞬間が描かれており、若者らしい恋愛の感情がシンプルに表現されている。
5. Losing You
「Losing You」は、失恋をテーマにしたエモーショナルなトラックだ。スローなテンポとジャングリーなギターが、歌詞の切なさを強調している。特にサビの「I’m losing you」というフレーズがリフレインされ、心の痛みがメロディに乗って感情的に響く。
6. tkm
この曲は、短いながらも感情が凝縮されたトラックで、「tkm(te quiero mucho)」というスペイン語のフレーズが印象的。シンプルなギターのアルペジオとミュノスのボーカルが穏やかに響き、相手への愛情を切々と歌い上げている。内省的で優しい雰囲気が漂う一曲だ。
7. Sick Feeling
EPの最後を飾るこのトラックは、失恋の痛みを描いた楽曲で、メランコリックなギターとミュノスの柔らかなボーカルが特徴的。曲の終盤にかけて、感情が高まるにつれてサウンドも盛り上がり、アルバムのフィナーレにふさわしいドラマチックな展開が印象的だ。
アルバム総評
『Soy Pablo』は、Boy Pabloの甘くメランコリックなサウンドが進化した作品であり、前作に比べてプロダクションが洗練されているのが特徴だ。シンプルなローファイ・ポップのスタイルを維持しつつも、リズムやアレンジに新たな要素を取り入れ、よりポップでキャッチーな方向性を示している。特に「Feeling Lonely」や「Losing You」といった楽曲では、恋愛に対する切ない感情が美しいメロディに乗せられ、リスナーに共感を呼ぶ。全体として、短くても充実した内容で、Boy Pabloの音楽的な成長が感じられる一枚だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- 『Salad Days』 by Mac DeMarco
ローファイなギターサウンドとキャッチーなメロディが、Boy Pabloのスタイルと共通する。リラックスした雰囲気が好きなリスナーにおすすめ。 - 『What Could Possibly Go Wrong』 by Dominic Fike
インディーポップとヒップホップが融合した実験的な作品で、Boy Pabloのユースフルなエネルギーに共鳴する要素がある。 - 『Bcos U Will Never B Free』 by Rex Orange County
甘く切ないメロディと感情的な歌詞がBoy Pabloと似ており、ベッドルーム・ポップのファンにおすすめ。 - 『I Think You’re OKAY』 by Temporex
ローファイな質感と柔らかいメロディが特徴の作品で、Boy Pabloのポップで親しみやすいサウンドとよく合う。 - 『Run Fast Sleep Naked』 by Nick Murphy
エレクトロニカとアコースティックを融合させた感情的なアルバム。内面的なテーマと音楽的実験が、Boy Pabloの進化したスタイルと共鳴する。
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