発売日: 2009年5月5日
ジャンル: フォークロック、サイケデリックロック、エクスペリメンタル
Set ‘Em Wild, Set ‘Em Freeは、Akron/Familyの4作目となるアルバムであり、これまでのフォークや実験音楽の要素に加え、さらに広範な音楽的探求を示す作品となっている。このアルバムでは、エネルギッシュでダイナミックなサウンドと、より大きなスケール感が際立つ。アフリカンリズムやジャズ、ファンクの影響を強く感じさせ、これまで以上に多様なジャンルを取り入れつつも、Akron/Familyらしいフォーク的な暖かさと、実験的な精神は健在だ。音楽的自由を追求する姿勢が、タイトル通りに感じられる一作である。
各曲ごとの解説:
- Everyone Is Guilty
アルバムの幕開けを飾るこの曲は、ファンキーなベースラインと強烈なリズムセクションが印象的だ。実験的なギターサウンドと叫びのようなボーカルが絡み合い、徐々にカオスな展開を見せる。アフロビートの影響を受けたリズムは、躍動感に満ちており、アルバム全体のエネルギーを象徴している。 - River
静かなアコースティックギターのイントロから始まり、徐々に広がるスケール感が印象的なトラック。自然や流れをテーマにした歌詞が、音楽とともにしっとりと浸透してくる。穏やかでありながらも、エモーショナルな力強さを持った楽曲である。 - Creatures
この曲は、サイケデリックなエフェクトと遊び心のあるリズムが特徴。中盤にかけてジャムセッション的な展開を見せ、リスナーを異次元の音楽空間へ誘う。ノスタルジックでありながらも、未来的な響きが共存するユニークな曲だ。 - The Alps & Their Orange Evergreen
優雅なストリングスと柔らかいボーカルが中心となり、叙情的な雰囲気が漂う曲。自然や風景にインスピレーションを得た歌詞が美しく、心地よいサウンドスケープが展開される。フォーク的な親しみやすさが感じられる一曲。 - Set ‘Em Free, Pt. 1
この曲は、ファンキーなリズムとサイケデリックなギターリフが交錯し、徐々に爆発するようなエネルギーを見せる。音楽的に自由を追求する姿勢が強く感じられ、タイトル通りに「解放感」を体現している。 - Gravelly Mountains of the Moon
この曲は、ポストロック的な要素が色濃く、反復するリフとリズムが徐々にビルドアップしていく構成が印象的。徐々に壮大なスケール感が増し、エモーショナルなクライマックスへと導かれる。 - Many Ghosts
ミニマルなリズムとエレクトロニックな要素が融合した曲で、メランコリックな雰囲気が漂う。ボーカルは控えめで、どこか幻想的な雰囲気を醸し出している。音の層が重なり合い、まるで音の波に包み込まれるような感覚を与える。 - MBF
アグレッシブで攻撃的なサウンドが特徴のこの曲は、複雑なリズムと激しいギターリフが印象的。実験的なパンク的要素も感じられ、バンドの多様な影響を示すトラックとなっている。 - They Will Appear
この曲は、神秘的な雰囲気を持ち、コーラスとエコーの効いたギターが印象的なトラックだ。リリカルな歌詞が光ると同時に、静かな感情の高まりを感じさせる。徐々に展開されるサウンドの深みが、アルバムの中でも特に心に残る。 - Sun Will Shine (Warmth of the Sunship Version)
明るく、エネルギッシュなこの曲は、開放感に満ちたサウンドが特徴。タイトル通り、太陽の暖かさを感じさせるポジティブなメッセージが心地よい。アップテンポなビートとポップなメロディーが融合し、アルバム全体を締めくくるにふさわしい。
アルバム総評:
Set ‘Em Wild, Set ‘Em Freeは、Akron/Familyの音楽的冒険のさらなる拡張を示す作品であり、ジャンルの境界を超えて自由な表現を追求している。実験的なサウンドスケープとフォーク的な暖かさが共存し、曲ごとに異なるエネルギーや感情が込められている。アフロビートやファンク、サイケデリックな要素が随所に散りばめられ、彼らの多彩な音楽性が強調された。特に「Everyone Is Guilty」や「Set ‘Em Free, Pt. 1」など、躍動感あふれるトラックがアルバムを通してのハイライトとなっている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Merriweather Post Pavilion by Animal Collective
サイケデリックなエレクトロニカと実験的なアプローチが共通しており、リズミカルで予測不可能なサウンドがAkron/Familyの作品と響き合う。 - Person Pitch by Panda Bear
アンビエントなビートとサイケデリックなボーカルアプローチが特徴で、自由で伸びやかな表現が「Set ‘Em Wild, Set ‘Em Free」に通じる。 - Halcyon Digest by Deerhunter
内省的な歌詞とドリーミーなサウンドが、Akron/Familyのエモーショナルで繊細な側面に共鳴。アンビエントな要素とポップなメロディが同時に楽しめる。 - The Moon & Antarctica by Modest Mouse
実験的で広がりのあるサウンドスケープと哲学的な歌詞が、Akron/Familyの多層的な音楽性とリンクしている。特にリズムと感情の高まりが似ている。 - Laughing Stock by Talk Talk
ポストロックの金字塔ともいえるこの作品は、静と動のダイナミクスを活かしつつ、実験的な音作りが際立つ。Akron/Familyの複雑なサウンドに共感するリスナーにおすすめ。
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