
発売日: 2013年4月12日
ジャンル: ポップロック、オルタナティブロック
- 劇的なカムバック—ポップロックとしての再構築
- 全曲レビュー
- 1. The Phoenix
- 2. My Songs Know What You Did in the Dark (Light Em Up)
- 3. Alone Together
- 4. Where Did the Party Go
- 5. Just One Yesterday (feat. Foxes)
- 6. The Mighty Fall (feat. Big Sean)
- 7. Miss Missing You
- 8. Death Valley
- 9. Young Volcanoes
- 10. Rat a Tat (feat. Courtney Love)
- 11. Save Rock and Roll (feat. Elton John)
- 総評
- おすすめアルバム
劇的なカムバック—ポップロックとしての再構築
2013年、Fall Out Boyは活動休止を経て、5thアルバムSave Rock and Rollで華々しく復活を遂げた。本作は、エモ・ポップパンクのルーツを持つ彼らが、メインストリーム向けのポップロックへと進化した作品であり、壮大なプロダクションとアンセミックなサウンドが特徴的。
タイトルからも分かるように、「ロックの復権」を掲げたコンセプトが込められているが、その実、アルバムのサウンドは伝統的なロックというよりも、ポップ、エレクトロニカ、オルタナティブロックの要素を大きく取り入れた現代的なものになっている。リードシングル「My Songs Know What You Did in the Dark (Light Em Up)」は、Fall Out Boyにとって久々のヒット曲となり、バンドの新たなフェーズの幕開けを告げた。
また、Elton John、Courtney Love、Big Sean、Foxesといった異色のゲスト陣が参加し、ジャンルを超えたコラボレーションも話題となった。
全曲レビュー
1. The Phoenix
オーケストラ風の壮大なイントロと力強いビートが特徴的なオープニングトラック。戦闘的な歌詞がバンドの復活を象徴している。
2. My Songs Know What You Did in the Dark (Light Em Up)
リードシングルで、エレクトロニカ風のビートとヘヴィなギターリフが融合したスタジアム級のアンセム。Fall Out Boyの新たな音楽スタイルを示す代表曲。
3. Alone Together
キャッチーなメロディとダイナミックなコーラスが特徴の楽曲。バンドのエモーショナルな側面が際立つ。
4. Where Did the Party Go
80年代風のシンセポップとロックが融合したダンサブルなナンバー。Fall Out Boyのポップな側面がよく表れている。
5. Just One Yesterday (feat. Foxes)
英国のシンガーソングライターFoxesを迎えたバラード風の楽曲。アデル風のソウルフルなアプローチが印象的。
6. The Mighty Fall (feat. Big Sean)
ラップとロックを融合させた異色のトラック。Big Seanのパートがヒップホップ要素を強調しており、Fall Out Boyの実験的な姿勢が感じられる。
7. Miss Missing You
エレクトロポップとギターロックが交差する楽曲。ポップパンク時代のエネルギーと、新しいポップ志向が共存している。
8. Death Valley
エレクトロダンスビートを前面に押し出したダークな楽曲。Fall Out Boyの中では最もエレクトロニックなトラックの一つ。
9. Young Volcanoes
アコースティックギターを基調とした、シンプルながらも力強い楽曲。エモというよりもフォークポップに近いサウンドが新鮮。
10. Rat a Tat (feat. Courtney Love)
Courtney Loveのアグレッシブな語りから始まるパンキッシュな楽曲。バンドのロック精神を再確認させるようなエネルギッシュな曲調が特徴。
11. Save Rock and Roll (feat. Elton John)
Elton Johnとの共演による壮大なバラード。ロックの伝統と新世代の融合を象徴する楽曲で、アルバムのフィナーレにふさわしい感動的なナンバー。
総評
Save Rock and Rollは、Fall Out Boyのサウンドを現代的なポップロックへとシフトさせた作品であり、彼らの新たな時代の幕開けを告げるアルバムとなった。タイトルに「ロック」とあるが、実際のサウンドは従来のロックの概念を超え、エレクトロニカやポップの要素を大胆に取り入れている。
活動休止を経て、より広いリスナー層を意識したプロダクションになっているため、初期のポップパンクサウンドを求めていたファンからは賛否が分かれたが、新たなFall Out Boyのスタイルを確立した重要なアルバムであることは間違いない。
アルバム全体を通して、Patrick Stumpのヴォーカルはさらに力強くなり、Pete Wentzの歌詞はよりストレートに、かつダークなテーマを扱うようになった。結果として、Fall Out Boyはポップパンクバンドから、メインストリームのポップロックバンドへと見事に進化した。
おすすめアルバム
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Imagine Dragons – Night Visions (2012)
スタジアム級のポップロックとエレクトロニカの融合が共通している。 -
Panic! at the Disco – Too Weird to Live, Too Rare to Die! (2013)
ダンサブルなポップロックへと進化した点でFall Out Boyと類似する。 -
Paramore – Paramore (2013)
ポップパンクから脱却し、ポップロックやエレクトロニカを取り入れた進化が共通。 -
The Killers – Battle Born (2012)
壮大なロックアンセムとシンセを融合させたスタイルが本作と似ている。 -
Linkin Park – Living Things (2012)
ロックとエレクトロニカの融合に挑戦した作品で、Fall Out Boyの新しい方向性と一致。
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