
発売日: 2009年10月27日
ジャンル: ポップロック、オルタナティブロック
原点回帰と新たな大ヒット—Trainの復活を告げたSave Me, San Francisco
2009年にリリースされたSave Me, San Franciscoは、Trainにとって5作目のスタジオアルバムであり、バンドのキャリアの中で最も商業的に成功を収めた作品のひとつである。本作から生まれた「Hey, Soul Sister」は、世界的な大ヒットとなり、バンドの第二の黄金期を築くきっかけとなった。
前作For Me, It’s You(2006年)のリリース後、一時的に活動を休止していたTrainは、本作で原点回帰をテーマに、アコースティックギター主体のシンプルなポップロックサウンドへと回帰。これまでの壮大なオーケストレーションや洗練されたプロダクションを抑え、よりストレートで親しみやすい楽曲が並ぶ。
歌詞の面では、愛、人生、旅、故郷(特にサンフランシスコ)への思いをテーマにしており、Pat Monahanのストーリーテリングが際立つ作品となっている。
全曲レビュー
1. Save Me, San Francisco
アルバムのタイトル曲で、バンドの故郷であるサンフランシスコへの愛を歌ったアップテンポなロックナンバー。軽快なギターとキャッチーなメロディが心地よく、アルバムのオープニングにふさわしい一曲。
2. Hey, Soul Sister
本作の最大のヒット曲であり、Trainを再びメインストリームに押し上げた代表曲。ウクレレの軽快なリズムと、親しみやすいメロディが特徴的で、カントリーとポップの要素を融合させたユニークな楽曲。シンプルな歌詞とメロディが多くのリスナーに支持され、全世界で大ヒットを記録した。
3. I Got You
リズミカルなビートと爽快なギターが印象的な楽曲。ポジティブなメッセージを込めた歌詞と、ノリの良いメロディが特徴。
4. Parachute
エモーショナルなバラードで、「君が落ちるなら、僕がパラシュートになろう」というロマンティックなメッセージが込められた楽曲。Pat Monahanの優しくも力強いボーカルが映える。
5. This Ain’t Goodbye
ピアノ主体のバラードで、別れをテーマにしながらも、希望を持ったメッセージが込められている。感情を込めたボーカルと、美しいメロディが印象的。
6. If It’s Love
シングルカットされた楽曲で、軽快なメロディとポップなサウンドが特徴。愛の素晴らしさと、その予測不可能な面をユーモアたっぷりに描いた歌詞が魅力的。
7. You Already Know
カントリー風のアコースティックサウンドが特徴の楽曲。フォークの影響を感じさせるアレンジと、シンプルなメロディが親しみやすい。
8. Words
感情的な歌詞と力強いサウンドが印象的なミッドテンポの楽曲。「言葉の力」について歌われており、深みのあるメッセージ性が際立つ。
9. Brick by Brick
静かに始まり、徐々に盛り上がる構成のバラード。「関係を一から積み上げる」というテーマが、希望を感じさせる。
10. Breakfast in Bed
ソウルフルでリラックスした雰囲気の楽曲。メロウなギターと柔らかいメロディが心地よく、アルバムの中でも特に穏やかなトラック。
11. Marry Me
本作のもう一つのハイライトであり、結婚をテーマにした美しいラブソング。シンプルなギターの伴奏と、Pat Monahanの繊細なボーカルが印象的で、多くの結婚式で使われるようになった名曲。
総評
Save Me, San Franciscoは、Trainがキャリアの転機を迎えた作品であり、バンドの「再出発」としての意義を持つアルバムである。本作の成功により、バンドはポップロックシーンのトップに返り咲き、「Hey, Soul Sister」は彼らの代表曲として長く愛され続けている。
また、本作では、過去の作品に見られた壮大なアレンジやオーケストレーションを控えめにし、よりシンプルで親しみやすい楽曲を中心に構成。アコースティックギターやウクレレといった生楽器の響きを重視し、温かみのあるサウンドと感情的な歌詞が際立つ作品となっている。
特に「Hey, Soul Sister」「Marry Me」「If It’s Love」といった楽曲は、シンプルながらも心に残るメロディと、普遍的なテーマを持つ歌詞が多くのリスナーに共感を呼んだ。また、タイトル曲「Save Me, San Francisco」は、バンドの故郷への愛を歌い、原点回帰を強く意識した楽曲として印象的。
本作の成功は、Trainがシンプルなポップソングの魅力を再発見し、より幅広いリスナー層にアピールする音楽性を確立したことにある。このアルバムをきっかけに、バンドは新たなファンを獲得し、その後の活動へとつながる重要な作品となった。
おすすめアルバム
- Train – California 37 (2012)
- 「Drive By」などのヒット曲を収録した、さらにポップ色を強めたアルバム。
- Jason Mraz – We Sing. We Dance. We Steal Things. (2008)
- アコースティックギター主体のポップサウンドと、温かみのあるメロディが共通する。
- Colbie Caillat – Coco (2007)
- ウクレレやアコースティックを多用したナチュラルなポップサウンドが本作と似ている。
- The Fray – The Fray (2009)
- エモーショナルなピアノロックが特徴で、本作のバラード曲と相性が良い。
- Maroon 5 – Hands All Over (2010)
- ポップロックとR&Bの要素を融合させた、同時期にヒットしたアルバム。
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- ポップロックとR&Bの要素を融合させた、同時期にヒットしたアルバム。
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