Reasons to Be Cheerful, Part 3 by Ian Dury & The Blockheads(1979)楽曲解説

1. 歌詞の概要

Reasons to Be Cheerful, Part 3」は、イギリスのシンガーソングライター**イアン・デューリー(Ian Duryと彼のバンドザ・ブロックヘッズ(The Blockheads)**が1979年にリリースしたシングルであり、彼らの代表的な楽曲のひとつです。ファンク、ディスコ、ニューウェーブの要素を取り入れたユニークな楽曲で、イアン・デューリーの特徴的な語り口調のボーカルが際立つ作品となっています。

タイトルの「Reasons to Be Cheerful(陽気になる理由)」は、日常の中で幸せを感じる理由をリストアップするというコンセプトで、社会が混乱する中でもポジティブに生きるためのヒントを提示する楽曲です。「Part 3」という副題がついていますが、特に「Part 1」「Part 2」が存在するわけではなく、単なる遊び心によるタイトルです。

歌詞では、さまざまな音楽、文学、文化的なアイコン、食べ物、生活の楽しみなどが次々と羅列され、それらが「陽気になる理由」だと述べられています。デューリーらしいウィットに富んだ言葉遊びと、社会に対する軽妙な視点が込められた楽曲となっています。

2. 歌詞のバックグラウンド

この曲は、イアン・デューリーと**ザ・ブロックヘッズのギタリストであるチャズ・ジャンケル(Chaz Jankel)**が作曲し、1979年の夏にUKシングルチャートで3位を記録するヒットとなりました

当時のイギリスは、経済不況や労働争議が続く不安定な時代でしたが、この曲はそのような暗い状況に対して、「些細なことでも人生を楽しむ理由はたくさんある」と楽観的なメッセージを送る楽曲として人々に広く受け入れられました。

3. 歌詞の抜粋と和訳

以下に「Reasons to Be Cheerful, Part 3」の歌詞の一部を抜粋し、日本語訳を添えます。

原文:

A bit of grin and bear it, a bit of come and share it
You’re welcome, we can spare it

和訳:

少しだけ我慢して、少しだけ分かち合って
歓迎するよ、分け合えるから


原文:

Elvis and Scotty, the days when I ain’t spotty
Sitting on a potty, curing smallpox

和訳:

エルヴィスとスコッティ(エルヴィス・プレスリーと彼のギタリスト、スコッティ・ムーア)
ニキビがない日々
便器に座って、天然痘を治療中

(※ ここではユーモラスな言葉遊びで、音の響きを重視した韻を踏んでいる。)


原文:

Health service glasses, gigolos and brasses
Round or skinny bottoms

和訳:

健康保険のメガネ、ジゴロと娼婦
丸いお尻でも細いお尻でも

(※ 「Health service glasses」は、かつてイギリスの国民健康サービス(NHS)が支給していた安価なメガネのこと。)


原文:

Reasons to be cheerful, part three
One, two, three

和訳:

陽気になる理由、その3
1、2、3!

歌詞の完全版は こちら で確認できます。

4. 歌詞の考察

この曲の最大の特徴は、リスト形式で次々と陽気になる理由を並べていくスタイルです。これは、リスナーにとって身近なものから文化的なアイコンまで幅広く言及されており、**一種の「幸せのカタログ」**のような役割を果たしています。

特に、「Elvis and Scotty(エルヴィスとスコッティ)」や「Curing smallpox(天然痘を治療する)」といったフレーズは、音楽の歴史や社会の進歩をポジティブに捉える視点を持っています。

また、最後に「One, two, three!」とカウントすることで、楽曲全体がリスナーと一緒に楽しむエネルギーを持っていることが伝わってきます。

イアン・デューリーのユーモラスな語り口調のボーカルと、ファンキーなバッキングがこの歌詞をより魅力的なものにしており、シリアスなメッセージを込めるのではなく、リズムと韻を楽しむポップな楽曲となっています。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • Hit Me with Your Rhythm Stick” by Ian Dury & The Blockheads
    ファンクとユーモアが融合した、彼らの最大のヒット曲。
  • “Sex & Drugs & Rock & Roll” by Ian Dury
    反体制的なメッセージを持つ、彼の代表曲。
  • “Cool for Cats” by Squeeze
    言葉遊びを多用したニューウェーブの名曲。
  • “Pump It Up” by Elvis Costello & The Attractions
    キャッチーなリズムとシニカルな歌詞が特徴の楽曲。
  • “This Charming Man” by The Smiths
    ウィットに富んだ歌詞と軽快なメロディが特徴のニューウェーブソング。

6. 「Reasons to Be Cheerful, Part 3」の影響と評価

「Reasons to Be Cheerful, Part 3」は、イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズの代表的な楽曲のひとつであり、1979年のUKミュージックシーンにおいて重要な役割を果たした作品です。

リリース当時、この曲はUKシングルチャートで3位を記録し、多くのファンに愛されました。その後も、ポジティブなメッセージを持つアンセム的な楽曲として、ラジオや映画、CMなどで頻繁に使用される楽曲となりました。

また、この楽曲の「リスト形式で言葉を並べるスタイル」は、後のアーティストにも影響を与え、ポストパンクやニューウェーブのシーンにおいて「語り口調のユーモラスな楽曲」の手法として確立されました。

まとめ

「Reasons to Be Cheerful, Part 3」は、イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズのユーモラスな魅力とファンキーなグルーヴが詰まった楽曲。世界が混乱している中でも、日常の些細な幸せを楽しむことの重要性を伝えるポジティブなメッセージを持ち、1970年代のUKミュージックシーンを象徴するニューウェーブの名曲である。」

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