- 発売日: 2016年4月1日
- ジャンル: インディーポップ、ドリームポップ
Psychopompは、Japanese Breakfastことミシェル・ザウナーのソロデビューアルバムであり、彼女の内面を深く掘り下げた作品として注目を集めた。このアルバムは、ザウナーの母親の死という個人的な喪失をテーマにしており、悲しみ、痛み、そして癒しを描いている。ザウナーはこの作品で、ドリーミーなシンセサウンドやリバーブの効いたギターを駆使し、柔らかくも感情的な音世界を作り上げた。
アルバムタイトル「Psychopomp」は、「死者の魂を導く者」を意味するギリシャ語から取られており、人生と死の境界、さらには愛と喪失のテーマを深く掘り下げている。ザウナーの温かくもエモーショナルなボーカルと、ノスタルジックなメロディが響き、聴き手に寄り添うような温かさが感じられるアルバムである。
トラック解説
1. In Heaven
アルバムの幕開けを飾る、ポップでありながらも切ないトラック。母親を失った痛みが歌詞に表れており、シンセサイザーとリバーブの効いたギターが幻想的なムードを作り出している。ザウナーのボーカルが、悲しみとともにどこか希望を感じさせるような響きを持つ。
2. The Woman That Loves You
アップテンポでキャッチーなトラックで、恋愛や自己肯定感をテーマにしている。シンセのリズムが心地よく、ポップでありながらもどこか憂いを帯びたメロディが印象的。ザウナーの感情豊かな歌声が楽曲に深みを与えている。
3. Rugged Country
ポップで軽快なサウンドが特徴的なトラックで、現実から逃避したい気持ちを表現している。ザウナーのボーカルは柔らかく、リスナーにリラックスした気持ちを与えつつも、歌詞には内面的な葛藤が込められている。
4. Everybody Wants to Love You
アルバムの中でも特に明るく、キャッチーな一曲。恋愛や自分を受け入れることについての軽快なリリックが特徴で、アップテンポなギターとポップなリズムが印象的。ライブでも人気の高いナンバーで、Japanese Breakfastの代表曲のひとつ。
5. Psychopomp
アルバムのタイトル曲で、短いインストゥルメンタルトラック。シンセサウンドが美しく重なり合い、夢の中にいるような浮遊感がある。アルバム全体のテーマを繋ぐトラックとして、静かなインタールードの役割を果たしている。
6. Jane Cum
ゆったりとしたテンポと哀愁漂うメロディが印象的なトラック。歌詞には愛と喪失が描かれており、ザウナーの繊細なボーカルが楽曲の悲しさを一層引き立てている。浮遊感のあるサウンドが、楽曲に神秘的なムードを与えている。
7. Heft
アルバムの中で特にエモーショナルなトラックで、悲しみと自己の再生をテーマにしている。リバーブの効いたギターと、ザウナーの切ない歌声が重なり合い、感情の波が伝わる。シンプルなメロディに深い感情が込められており、聴きごたえのある楽曲。
8. Moon on the Bath
浮遊感のあるインストゥルメンタルで、シンセサウンドが美しく、哀愁漂うムードが特徴的。短いながらも、アルバム全体の雰囲気に溶け込んでいる。
9. Triple 7
アルバムのラストを飾る、切ないが希望を感じさせるトラック。リズムとギターが絡み合い、ザウナーのボーカルが物悲しさを帯びつつも、希望の兆しを感じさせる。人生の複雑さや愛の喜びと苦しみを描き、アルバム全体を締めくくる余韻がある。
アルバム総評
Psychopompは、Japanese Breakfastことミシェル・ザウナーの深い感情とともに、音楽の中で彼女が自分自身と向き合った作品である。喪失や孤独といったテーマを取り扱いながらも、彼女のドリーミーでノスタルジックなサウンドが悲しみを柔らかく包み込むような印象を与える。特に「In Heaven」や「Everybody Wants to Love You」は、ザウナーのポップな魅力が表れており、アルバムのトーンを明るく保つ役割も果たしている。
全体を通して、シンセサウンドやリバーブの効いたギターが幻想的な雰囲気を生み出し、ノスタルジックなメロディがリスナーを心地よく包み込む。Psychopompは、愛や喪失、再生のテーマに触れながらも、どこか温かさと希望が感じられるアルバムであり、Japanese Breakfastのキャリアを象徴する作品として、インディーポップファンには必聴の一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Titanic Rising by Weyes Blood
哀愁漂うメロディと夢幻的なサウンドが魅力のアルバム。Psychopompの持つドリーミーでノスタルジックな雰囲気に共鳴する一枚。 - No Burden by Lucy Dacus
内省的な歌詞とエモーショナルなボーカルが特徴のアルバム。心の痛みと癒しがテーマで、Japanese Breakfastファンに響く作品。 - Bury Me at Makeout Creek by Mitski
激しい感情と静寂の対比が印象的なアルバムで、愛や失望をリアルに表現。Japanese Breakfastと同じく深い内面を探求するリリックが共通点。 - Puberty 2 by Mitski
痛みや喜びを詩的に表現し、エモーショナルでリアルなサウンドが魅力。Psychopompの感情的な要素に共感するリスナーにおすすめ。 - Are We There by Sharon Van Etten
内面の葛藤と深い愛情を描くアルバムで、しっとりとしたメロディとエモーショナルなボーカルが特徴。Japanese Breakfastのファンにはたまらない作品。
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