発売日: 1978年9月23日
ジャンル: ニューウェーブ / ポップ・ロック / パンク
Blondieの3rdアルバムParallel Linesは、バンドのキャリアにおいて最も成功を収めた作品であり、ニューウェーブとポップ・ロックの融合を象徴する金字塔的なアルバムである。本作は、ポップなメロディとパンクのエネルギーを兼ね備えた楽曲群で、Blondieの音楽的な多様性を見事に示している。
プロデューサーには、モダン・ポップの名手として知られるMike Chapmanを迎え、より洗練されたサウンドとヒットチャートを意識したアレンジが施された。その結果、「Heart of Glass」や「One Way or Another」といった世界的ヒット曲が誕生し、Blondieを国際的なスターへと押し上げた。以下に、全12曲の詳細を解説する。
1. Hanging on the Telephone
The Nervesのカバー曲で、アルバムの幕開けを飾るエネルギッシュな楽曲。緊張感のあるリズムとDebbie Harryの魅力的なボーカルが一瞬でリスナーを引き込む。
2. One Way or Another
攻撃的でキャッチーなロックナンバー。Debbie Harryの挑発的なボーカルと印象的なギターリフが、執念深い恋愛を描いた歌詞と絶妙にマッチしている。
3. Picture This
ロマンチックでメロディアスな楽曲。ギターのリフとキーボードの調和が美しく、Debbie Harryの甘くも力強いボーカルが際立つ。
4. Fade Away and Radiate
ミステリアスで夢幻的な楽曲。ギターにはロバート・フリップ(キング・クリムゾン)が参加し、アンビエント的なサウンドが楽曲に深みを加えている。
5. Pretty Baby
1950年代のポップソングにインスパイアされた、軽快で親しみやすい楽曲。Debbie Harryの声が楽曲全体に甘さと優雅さを与えている。
6. I Know but I Don’t Know
ギタリストのFrank Infanteがリードボーカルを務める楽曲。ミニマルな構成ながらもエッジの効いたギターサウンドが印象的で、アルバムの中で異色の存在感を放つ。
7. 11:59
ポップとパンクが絶妙に融合した楽曲。カウントダウンを連想させる歌詞がドラマチックで、キーボードが楽曲のダイナミズムを高めている。
8. Will Anything Happen?
シンプルで勢いのあるパンクナンバー。リズムセクションが楽曲を牽引し、エネルギーに満ちた演奏が魅力的だ。
9. Sunday Girl
フランス語バージョンもある可愛らしいポップナンバー。軽快なリズムとキャッチーなメロディが耳に残る、アルバムの中でも特に親しみやすい楽曲。
10. Heart of Glass
ディスコとニューウェーブの融合を象徴する大ヒット曲。リズムマシンとシンセサウンドが特徴で、Debbie Harryのセクシーなボーカルが楽曲に官能的な魅力を与えている。ジャンルを超えた名曲として知られる。
11. I’m Gonna Love You Too
バディ・ホリーのカバー曲で、ロカビリー調の軽快な楽曲。Blondieらしいポップなアレンジがオリジナルに新しい息吹を加えている。
12. Just Go Away
アルバムを締めくくる軽快なナンバー。軽やかなリズムとキャッチーなボーカルが特徴で、アルバム全体を爽やかにまとめ上げている。
アルバム総評
Parallel Linesは、Blondieの音楽性が最も完成された形で表現されたアルバムであり、ポップ・ロックとニューウェーブの枠を超えた傑作だ。Debbie Harryのカリスマ性あふれるボーカルとバンドの卓越した演奏力、そしてMike Chapmanのプロデュースによる洗練されたサウンドが絶妙に融合している。
ヒット曲が多い中で、アルバム全体に統一感があり、キャッチーでありながら深みのある楽曲群が楽しめる。Parallel Linesは、ニューウェーブの先駆者としてのBlondieの地位を確立した作品であり、1970年代後半の音楽シーンを象徴する一枚だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Eat to the Beat by Blondie
Parallel Linesの次作で、さらにポップでエネルギッシュな楽曲が並ぶ。Blondieの進化を感じられる。
Horses by Patti Smith
ニューヨーク・パンクの名盤で、詩的な歌詞とパンクロックのエネルギーが楽しめる。
This Year’s Model by Elvis Costello & The Attractions
ニューウェーブとポップの融合が際立つ名盤。Blondieと共通する鋭さとキャッチーさが魅力。
Talking Heads: 77 by Talking Heads
ポップとアートロックの要素が絶妙に混ざり合った作品。Blondieの持つ遊び心と共鳴する部分がある。
The Cars by The Cars
ポップセンスとロックのバランスが素晴らしいアルバム。Parallel Linesが好きな人に親しみやすい。
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