アルバムレビュー:No Mythologies to Follow by MØ

発売日: 2014年3月10日
ジャンル: エレクトロポップ、オルタナティブポップ、インディーポップ


デンマーク発、エレクトロポップの新星—MØのデビューアルバムNo Mythologies to Follow

2014年にリリースされたNo Mythologies to Followは、デンマーク出身のシンガーソングライター(カレン・マリー・オールステッド)のデビューアルバムであり、彼女の独自の音楽スタイルを世界に知らしめた作品となった。

本作は、エレクトロポップとインディーポップを基盤に、R&Bやヒップホップの要素を取り入れたユニークなサウンドが特徴的であり、彼女のハスキーでエモーショナルなボーカルが楽曲の世界観をより引き立てている。

また、アルバムのテーマは、現代社会における若者のアイデンティティの模索、愛、自由、反抗といったものであり、エレクトロニックなビートと内省的な歌詞が絶妙に絡み合った作品となっている。


全曲レビュー

1. Fire Rides

アルバムのオープニングを飾るダークでムーディーなエレクトロポップナンバー。浮遊感のあるシンセと、MØの低音を効かせたヴォーカルが印象的なトラック

2. Maiden

オルタナティブポップのエッセンスを感じる、幻想的な楽曲。繊細ながらもエネルギッシュなビートが特徴的で、MØのボーカルの独特な表現力が際立つ。

3. Never Wanna Know

60年代のドリームポップやR&Bの影響を受けたバラード。切ないメロディとエモーショナルな歌詞が心に響く。

4. Red in the Grey

ミニマルなビートとシンセが特徴的な楽曲で、MØのアンニュイなボーカルが映える。内省的なリリックと浮遊感のあるサウンドが魅力的。

5. Pilgrim

ヒップホップの影響を感じさせるビートとキャッチーなメロディが特徴のトラック。アルバムの中でも特に実験的な楽曲で、MØのスタイルを象徴する一曲。

6. Don’t Wanna Dance

本作のシングル曲であり、シンセポップとR&Bを融合させたアップテンポな楽曲。タイトルとは裏腹に、ダンサブルなリズムが心地よい。

7. Waste of Time

エレクトロニックなビートに乗せた力強いボーカルが印象的な楽曲。歌詞のテーマは失恋と再生で、MØの感情的な表現力が光る。

8. Dust Is Gone

アコースティックギターとエレクトロポップを融合させたユニークな楽曲。ダークでメランコリックな雰囲気が漂う。

9. XXX 88 (feat. Diplo)

Diploがプロデュースしたエレクトロニックなクラブ向けのトラック。MØのヴォーカルとエネルギッシュなビートが絶妙にマッチしている。

10. Walk This Way

オルタナティブなエレクトロポップで、キャッチーなメロディとリズミカルなビートが特徴的な楽曲。ライブ映えするパワフルなナンバー。

11. Slow Love

レゲエやダブの要素を取り入れた、リラックスした雰囲気の楽曲。MØの多様な音楽性が感じられるトラック

12. Glass

アルバムを締めくくる、ミステリアスな雰囲気の楽曲。繊細なメロディとエレクトロニックなサウンドが融合した幻想的なナンバー


総評

No Mythologies to Followは、MØのアーティストとしての個性を存分に発揮したデビューアルバムであり、エレクトロポップの枠を超えた実験的な要素が詰まった作品となっている。

本作では、Diploをはじめとするプロデューサー陣と共に、シンセポップ、R&B、ヒップホップ、レゲエなどの要素を巧みに取り入れ、MØ独自のサウンドを確立した。また、歌詞には若者のアイデンティティの模索、恋愛、自己表現といったテーマが散りばめられ、リスナーに深い共感を呼ぶ

特に「Pilgrim」「XXX 88」「Don’t Wanna Dance」などの楽曲は、クラブ向けのダンスビートとエモーショナルな歌詞が見事に融合しており、MØの音楽の魅力を凝縮したトラックとなっている。一方で、「Dust Is Gone」や「Never Wanna Know」のようなバラードでは、彼女のボーカルの繊細な表現力が光り、アーティストとしての多面性を示している

本作の成功により、MØは世界的な注目を集め、後にMajor Lazerとのコラボ「Lean On」などでさらに知名度を上げることとなる。デビュー作ながらも、エレクトロポップの未来を切り開くような実験的かつ完成度の高い作品として、今なお評価される一枚である。


おすすめアルバム

  • Forever Neverland (2018)
    • 本作の進化版ともいえる、より洗練されたエレクトロポップアルバム。
  • GrimesArt Angels (2015)
    • エレクトロポップとオルタナティブ要素を融合した作品で、MØの音楽性と共通点が多い。
  • Charli XCXSucker (2014)
    • パンクポップとエレクトロニックサウンドを融合させた、エネルギッシュなアルバム。
  • LordePure Heroine (2013)
    • シンプルなビートと深い歌詞が特徴的で、MØの世界観と親和性が高い。
  • Tove Lo – Queen of the Clouds (2014)
    • スウェーデン発のシンガーによる、ダークでエモーショナルなエレクトロポップ作品。
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