発売日: 1988年7月5日
ジャンル: スラッシュメタル
激烈なスピードと破壊力——Overkillのスラッシュメタルが極まるアルバム
1988年にリリースされたUnder the Influenceは、Overkillの3枚目のスタジオアルバムであり、スピード、アグレッション、攻撃的なリフが満載のスラッシュメタルの名盤である。前作Taking Over（1987年）で確立されたOverkillのスタイルをさらに加速させ、より鋭く、よりヘヴィに進化した作品となっている。
本作は、Overkillの代表曲の一つである「Hello from the Gutter」を収録しており、この楽曲はバンドの知名度を大きく向上させた。また、ギタリストのボビー・ガスタフソンのリフワークが冴え渡るアルバムであり、彼の攻撃的で切れ味のあるギターサウンドがバンドのアイデンティティを強く印象付けた。
スラッシュメタルの黄金期にリリースされた本作は、Metallica、Megadeth、Anthrax、Testamentといった当時のシーンを牽引するバンドと並ぶほどのエネルギーを持ち、Overkillの存在感を決定づけた作品である。
全曲レビュー
1. Shred
アルバムの幕開けを飾る、タイトル通りの激烈なスラッシュメタルナンバー。スピーディーなリフとボビー・”ブリッツ”・エルズワースの強烈なヴォーカルが炸裂し、Overkillの持つ爆発的なエネルギーを見せつける一曲。
2. Never Say Never
ヘヴィなイントロから始まり、スピーディーな展開へと移行する楽曲。特にコーラスの「Never say never!」のシャウトが印象的で、ライブでの盛り上がりを誘う一曲。ギターリフのキレの良さも光る。
3. Hello from the Gutter
本作の代表曲であり、Overkillのクラシックソングの一つ。キャッチーなリフとスラッシュメタル特有のスピード感が見事に融合したナンバーで、バンドの知名度を上げた重要な楽曲。社会的なテーマを含んだ歌詞も特徴的。
4. Mad Gone World
独特のリズムパターンが特徴的な楽曲で、スラッシュメタルの中にヘヴィメタル的なアプローチも加わっている。ベースラインが力強く、バンドのグルーヴを支えている。
5. Brainfade
スピードとテクニカルなリフワークが融合した、Overkillらしいスラッシュメタルナンバー。ドラムのブラストビートとギターソロのコンビネーションが圧巻。
6. Drunken Wisdom
イントロのヘヴィなリフと、徐々に加速していく展開が特徴の楽曲。スラッシュメタルの典型的な構成を持ちつつも、Overkillらしい荒々しさと勢いが詰まった一曲。
7. End of the Line
クラシックなヘヴィメタルの要素を持つミッドテンポの楽曲。リフの刻み方やヴォーカルのメロディが、80年代の伝統的なメタルの影響を色濃く反映している。
8. Head First
アルバムの中でも特に攻撃的な楽曲の一つ。高速リフと強烈なドラムが組み合わさり、Overkillのスピードメタル的な側面が際立つナンバー。ギターソロも印象的で、楽曲の緊張感を高めている。
9. Overkill III (Under the Influence)
バンド名を冠した「Overkill」シリーズの3作目。過去の「Overkill」楽曲と同様に、ダークでドラマティックな雰囲気を持ちながらも、ヘヴィなスラッシュサウンドが展開される。アルバムの締めくくりにふさわしい大作。
総評
Under the Influenceは、Overkillのスラッシュメタルの勢いが最高潮に達した作品であり、バンドのアイデンティティを確立した重要なアルバムである。
特に「Hello from the Gutter」はOverkillの代表曲として、今なおライブでプレイされる定番曲であり、アルバム全体としても、スピード、攻撃性、キャッチーなリフワークが絶妙に融合している。ボビー・”ブリッツ”・エルズワースの甲高いヴォーカルと、ボビー・ガスタフソンのギターリフのキレ味は、本作の大きな魅力の一つとなっている。
スラッシュメタルの黄金期にリリースされた本作は、MetallicaのMaster of Puppets（1986年）、MegadethのSo Far, So Good… So What!（1988年）、AnthraxのState of Euphoria（1988年）と並ぶ、80年代後半のスラッシュメタルの名盤といえる。
荒削りながらも勢いとパワーに満ちた本作は、Overkillの初期のエネルギーを存分に楽しめる一枚であり、スラッシュメタルファンなら必聴のアルバムである。
おすすめアルバム
- Overkill – The Years of Decay (1989)
- 本作の次作で、よりドラマティックでプログレッシブなアプローチを取り入れた名盤。
- Overkill – Taking Over (1987)
- Under the Influenceの前作で、よりクラシックなヘヴィメタルの要素を残した作品。
- Metallica – Ride the Lightning (1984)
- スラッシュメタルのエピックな展開を取り入れた、Overkillにも影響を与えた名盤。
- Anthrax – Among the Living (1987)
- East Coastスラッシュメタルの代表的作品。Overkillとは同じシーンの仲間。
- Exodus – Fabulous Disaster (1989)
- 破壊力抜群のスラッシュメタルアルバム。Overkillの攻撃性と通じる部分が多い。
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