My Love Is Your Love by Whitney Houston(1998)楽曲解説

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1. 歌詞の概要

My Love Is Your Love」は、ホイットニー・ヒューストンが1998年にリリースした同名アルバム『My Love Is Your Love』のタイトル・トラックであり、彼女のキャリア後期における代表的な1曲である。この楽曲では、「私の愛はあなたのもの」=“愛の共有”というシンプルで強力なメッセージを核に、永続的な絆や信頼を軽やかかつソウルフルに歌い上げている

表面的にはラブソングだが、そのテーマはもっと普遍的で、愛とは相手に与えきるもの、そして時代や障害を超えて生き残るものだという信念が込められている。語り手は、世界が壊れても、天が崩れても、あなたと私の愛は決して消えないと断言する。非常に力強く、同時に穏やかで安心感に満ちたこの歌は、“愛は不滅である”という現代のゴスペル的な宣言とも言えるだろう。

2. 歌詞のバックグラウンド

この曲は、ラップとR&Bを中心に活動していたプロデューサーコンビ、ワイクリフ・ジョンとジェリー・ワンダ・デュプレジにより制作された。ヒューストンにとっては新たなサウンド領域への挑戦であり、彼女のキャリアにおける新章の幕開けを象徴するような作品となった。

My Love Is Your Love」は、1990年代後半のヒップホップ・ソウルやレゲエ調のビートを取り入れながらも、ホイットニー・ヒューストンの圧倒的なヴォーカルが“時代の音”と完璧に調和している。シンプルなコード進行と反復されるフレーズが、“繰り返すことで真理になる”というソウルミュージックの手法を体現しており、洗練されつつもあたたかみのある普遍的なラブソングとして仕上がっている。

リリース当初からチャートを席巻し、アメリカではトップ5入り、イギリスでは大ヒットを記録。クラブでも家庭でも愛された、“等身大のホイットニー”を象徴する一曲となった。

3. 歌詞の抜粋と和訳

以下に、「My Love Is Your Love」の印象的なフレーズを抜粋し、日本語訳を併記する。

If tomorrow is judgment day
もし明日が審判の日でも

And I’m standing on the front line
私がその最前列に立っているとしても

And the Lord asks me what I did with my life
神様に「人生で何をした?」と聞かれても

I will say I spent it with you
私は「あなたと過ごしました」と答えるわ

‘Cause your love is my love and my love is your love
だってあなたの愛は私の愛で、私の愛はあなたの愛なの

It would take an eternity to break us
私たちを引き離すには永遠がかかるわ

出典:Genius – Whitney HoustonMy Love Is Your Love

4. 歌詞の考察

この曲がとりわけ感動的なのは、「愛とは何か?」という問いに対して、誓いや欲望ではなく、“共有”と“覚悟”という形で答えている点にある。

「If tomorrow is judgment day」という冒頭のフレーズは、愛を永遠の次元にまで引き上げる強い導入であり、続く「I will say I spent it with you」は、愛する人と過ごした時間こそが、人生の誇りだという断言である。これは自己犠牲ではなく、人生を愛で充たすという能動的な選択を意味している。

「Your love is my love, my love is your love」というリフレインは、反復されることで単なるロマンティックな言葉を超えて、愛とは相互に与え合うエネルギーであるという哲学的な真理へと昇華していく。

このような視点は、1990年代の音楽における「愛=所有」や「恋愛=劇的な感情」の枠を超え、**家族、友人、仲間との“支え合いとしての愛”**にまで拡張されている。だからこそこの曲は、カップルだけでなく、親子やコミュニティなど、あらゆる人間関係に響く普遍的なラブソングとして愛され続けているのだ。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • No Ordinary Love by Sade
    深く静かで、揺るぎない愛の持続を美しく描いたスロウジャム。

  • Ain’t No Mountain High Enough by Marvin Gaye & Tammi Terrell
    障害を越えて届く愛の力を、ソウルフルに描いた名デュエット。
  • One by U2
    違いを抱えながらも愛し合う、愛の統合を歌ったモダン・バラード。

  • Exhale (Shoop Shoop) by Whitney Houston
    愛に疲れた心に寄り添いながら、前向きな感情を引き出してくれる癒しの一曲。

  • Always Be My Baby by Mariah Carey
    別れても消えない愛の記憶を、軽やかに語る1990年代R&Bの象徴。

6. “私の愛は、あなたのもの”——時代とともに歩むホイットニーの新しい声

My Love Is Your Love」は、ホイットニー・ヒューストンのキャリアにおける“第二章”の幕開けを象徴する楽曲であり、激しいバラードや高音の技巧ではなく、“やわらかさ”と“信念”で聴かせる新しいスタイルを提示した。

この曲の魅力は、技巧に頼らずとも人を癒し、勇気づけることができるという、ホイットニーの表現力の成熟にある。彼女の声はここで、母として、女性として、ひとりの人間として、人生の現実と向き合いながらも“愛する”ことを選んだ者の強さと美しさを体現している

だからこそこの曲は、人生が思うようにいかないとき、不安な時代に包まれているとき、ふと耳にすると胸の奥で静かに灯るような力を持つ。ホイットニーの声は、今も変わらずこう語りかける——あなたがどんな状況にあっても、私の愛は、あなたのものだと。愛は、ここにある。私の愛は、あなたの愛。私たちは、永遠に壊れない。

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