
発売日: 2022年5月6日
ジャンル: オルタナティブ・ロック、カバーアルバム
- 個性と敬意が交錯するカバー・プロジェクト——Awolnationが名曲を再構築
- 全曲レビュー
- 1. Beds Are Burning (feat. Tim McIlrath of Rise Against) [Midnight Oilカバー]
- 2. Eye in the Sky (feat. Beck) [The Alan Parsons Projectカバー]
- 3. Take a Chance on Me (feat. Jewel) [ABBAカバー]
- 4. Maniac (feat. Conor Mason of Nothing But Thieves) [Michael Sembelloカバー]
- 5. Just a Friend (feat. Hyro the Hero) [Biz Markieカバー]
- 6. Material Girl (feat. Taylor Hanson) [Madonnaカバー]
- 7. Drive (feat. Portugal. The Man) [The Carsカバー]
- 8. Flagpole Sitta (feat. Elohim) [Harvey Dangerカバー]
- 9. Waiting Room (feat. Grouplove) [Fugaziカバー]
- 10. Wind of Change (feat. Brandon Boyd of Incubus) [Scorpionsカバー]
- 11. Satellite [オリジナル楽曲]
- 総評
- おすすめアルバム
個性と敬意が交錯するカバー・プロジェクト——Awolnationが名曲を再構築
5thアルバムMy Echo, My Shadow, My Covers and Meは、Awolnationが音楽的ルーツをたどりながら、影響を受けた楽曲を独自の解釈でカバーするという挑戦的な作品である。
本作では、Madonna、ABBA、Bee Gees、The Cars、R.E.M.など、ジャンルを超えた名曲をAwolnation流にアレンジ。エレクトロ・ロックの要素を加えつつも、オリジナルの雰囲気を尊重しながら、Aaron Brunoならではのヴォーカルスタイルとアプローチで再構築している。
さらに、本作には多くのゲストアーティストが参加し、それぞれの楽曲に個性的な味付けが施されている。オリジナルへの敬意と、Awolnationらしい実験的なアレンジが融合した、ユニークなカバーアルバムとなっている。
全曲レビュー
1. Beds Are Burning (feat. Tim McIlrath of Rise Against) [Midnight Oilカバー]
オリジナルの社会的メッセージを残しつつ、ヘヴィなギターとインダストリアルなビートを加えたパワフルなカバー。Tim McIlrath(Rise Against)のシャウトが楽曲にさらなるエネルギーを注ぎ込んでいる。
2. Eye in the Sky (feat. Beck) [The Alan Parsons Projectカバー]
幻想的なシンセと浮遊感のあるサウンドが特徴的なアレンジ。Beckのヴォーカルが加わることで、よりエレクトロニカ寄りの雰囲気が強まっている。
3. Take a Chance on Me (feat. Jewel) [ABBAカバー]
オリジナルのディスコ風サウンドを大胆に変え、エモーショナルなバラード調のアレンジに。Jewelの優しいヴォーカルが、楽曲に深みを与えている。
4. Maniac (feat. Conor Mason of Nothing But Thieves) [Michael Sembelloカバー]
80年代のヒット曲を、ダークでヘヴィなロックサウンドに変換。シンセとギターのバランスが絶妙で、オリジナルのダンスチューンとは一線を画す力強いロックナンバーになっている。
5. Just a Friend (feat. Hyro the Hero) [Biz Markieカバー]
オリジナルのユーモラスなヒップホップを、オルタナティブ・ロックにアレンジ。Hyro the Heroのラップが加わり、エネルギッシュな新解釈に仕上がっている。
6. Material Girl (feat. Taylor Hanson) [Madonnaカバー]
ポップアイコンMadonnaの代表曲を、ローファイなロックサウンドに落とし込み、カントリー的な要素も加えた異色のアレンジ。Taylor Hansonのソフトなボーカルが楽曲に新たな彩りを加えている。
7. Drive (feat. Portugal. The Man) [The Carsカバー]
オリジナルの持つメランコリックな雰囲気を引き継ぎつつ、シンセを強調したドリーミーなアレンジに変更。Portugal. The Manのボーカルが加わることで、より幻想的なムードが生まれている。
8. Flagpole Sitta (feat. Elohim) [Harvey Dangerカバー]
オリジナルのパンク的な勢いを残しつつ、シンセを加えたAwolnation流のオルタナティブ・ロックに変換。Elohimのヴォーカルがアクセントとなり、新鮮な印象を与える。
9. Waiting Room (feat. Grouplove) [Fugaziカバー]
ポストハードコアの名曲を、エネルギッシュなロックに再構築。Grouploveのヴォーカルが、楽曲によりカラフルな魅力を加えている。
10. Wind of Change (feat. Brandon Boyd of Incubus) [Scorpionsカバー]
オリジナルの壮大なバラードの雰囲気を保ちつつ、Awolnationのシンセロック的なアプローチを取り入れたカバー。Brandon Boyd(Incubus)のボーカルが楽曲にさらなる深みを与えている。
11. Satellite [オリジナル楽曲]
アルバム唯一のオリジナル曲。シンプルながらもキャッチーなメロディと、ダイナミックなサウンドが際立つ。カバーアルバムの最後を締めくくるにふさわしい、新たなAwolnationの一面を見せる楽曲。
総評
My Echo, My Shadow, My Covers and Meは、Awolnationが音楽的な影響を受けた楽曲に敬意を表しつつ、独自のサウンドで新たな生命を吹き込んだカバーアルバムである。
本作の特徴は、単なるカバーではなく、それぞれの楽曲に新しい解釈とアレンジを加え、Awolnationらしいサウンドに昇華している点にある。また、ゲストアーティストの参加により、各楽曲に新鮮なエネルギーが加わり、多様な音楽性を感じさせる仕上がりになっている。
ただし、原曲のファンによっては、アレンジの大幅な変更に驚くかもしれない。しかし、Awolnationの持ち味であるオルタナティブ・ロックとエレクトロニカの融合が存分に発揮されており、カバーアルバムとしての完成度は非常に高い。
「Satellite」というオリジナル楽曲が収録されている点も興味深く、Awolnationが今後どのような音楽を展開していくのか、次のステップへの期待が高まる作品である。
おすすめアルバム
- Beck – Colors (2017)
幅広いジャンルを横断する実験的なサウンドが、本作のカバーアレンジと共通。 - Portugal. The Man – Woodstock (2017)
レトロなロックとモダンなエレクトロサウンドの融合が、「Drive」カバーと共鳴。 - Imagine Dragons – Origins (2018)
エレクトロとロックのバランスが、本作のスタイルに似ている。 - Twenty One Pilots – Scaled and Icy (2021)
ポップでありながらも実験的なアプローチが、本作の多様性と重なる。 - Nine Inch Nails – Hesitation Marks (2013)
エレクトロ・ロックの実験精神が、本作のアレンジと共通する。
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