アルバムレビュー:More Life by Drake

※本記事は生成AIを活用して作成されています。


発売日:2017年3月18日

ジャンル:ヒップホップ、R&B、ダンスホール、グライム、アフロビーツ、UKラップ、ポップ

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概要

Drakeの『More Life』は、一般的な意味でのスタジオ・アルバムというより、本人が「playlist」と位置づけた2017年の大型作品である。この呼称は単なる宣伝文句ではなく、実際に本作の構造そのものをよく表している。『Take Care』や『Nothing Was the Same』のように、ひとりの語り手の感情が比較的明確な曲線を描くアルバムとも、『If You’re Reading This It’s Too Late*』のように緊張感の高いラップ集とも異なり、『More Life』は複数の都市、複数のジャンル、複数の話者がゆるやかに接続された巨大な回路として機能する作品である。

この時期のDrakeは、すでに世界的なポップ・スターであると同時に、ヒップホップとR&Bの境界を曖昧にし、さらにUKグライム/ロード・ラップ、ダンスホール、アフロビーツといった地域性の強い音楽をグローバルなポップの中心へ引き寄せる存在になっていた。『Views』の段階でもトロントという都市の多文化性は重要なテーマだったが、『More Life』ではそれがさらに拡張され、トロント発の作品でありながら、ロンドン、キングストン、ラゴス、アトランタの空気までが同時に漂うようになる。

そのため本作は、Drake個人の感情表現だけでなく、2010年代後半のポップ・ミュージックがどのように国境をまたぎ、ストリーミング時代に再編されていったかを示す象徴的作品でもある。

本作の重要性は、ヒット曲の多さや豪華ゲストだけにあるのではない。むしろ核心にあるのは、アルバムという形式そのものを“流れ続けるプレイリスト的体験”へずらしたことだろう。曲順は断片的でありながら妙に滑らかで、個々の楽曲は完結していても、全体としては終わりきらない。これは従来の「コンセプト・アルバム」的統一感とは違うが、決して無秩序ではない。Drakeはここで、ストリーミング環境に適応した聴取体験を、単なる市場対応ではなくひとつの美学として成立させている。

歌詞面では、いつものDrakeらしく、成功、猜疑心、女性関係、名声の代償、仲間との距離、家族的な結びつき、孤独といった主題が中心にある。ただし本作では、それらが以前より個人の内面の深掘りというより、都市のムードや共同体的な空気の中で浮遊するように提示されることが多い。自分の傷を正面から切り取るというより、クラブ、深夜の移動、連絡の途切れ、国境を越えるコラボレーションの中で、Drake的な感情が現れたり消えたりする。その軽やかさが『More Life』の独特な魅力である。

一方で、本作はしばしば「長い」「散漫」「アルバムとしてのまとまりが弱い」とも評されてきた。たしかに、明確なドラマを期待すると、ゲストの多さやジャンル横断の激しさによって焦点がぼやける瞬間はある。だが、そのばらつきこそが本作の時代性でもある。『More Life』は、ひとつの人格が世界を統御する作品ではなく、巨大化したDrakeというハブを通って、さまざまな音楽文化が出入りする場として聴くべきアルバムなのだ。

結果として『More Life』は、Drakeの最高傑作とまでは言わずとも、彼のキャリアを理解するうえで非常に重要な作品である。『Take Care』が感情の深さを、『Nothing Was the Same』がポップ・ラップの完成度を、『If You’re Reading This It’s Too Late』が緊張感を示したとすれば、『More Life』はDrakeが“中心にいること”そのものを作品化したアルバムである。個人というよりネットワーク、告白というより接続。そこに本作の意味がある。

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全曲レビュー

1. Free Smoke

冒頭から非常に攻撃的で、Drakeが自分の現在地を再確認するような曲。ビートは硬質で、フローも鋭く、導入として本作がただの気楽なミックスではないことを示す。

歌詞では、成功の誇示、敵対者への牽制、自分の位置の確認が前面に出ている。だが単なる威嚇ではなく、すでに頂点近くにいる人間がなお疑いと比較の視線にさらされていることもにじむ。プレイリスト的な作品の幕開けとしては、むしろ強い自意識を掲げることで全体を引き締める役割を果たしている。

2. No Long Talk (feat. Giggs)

ここで一気にUKの空気が流れ込む。Giggsの参加によって、Drakeが以前から接近していたロンドンのロード・ラップ/グライム周辺との結びつきが明確になる。

タイトル通り、無駄話はなし、というスタンスが曲全体の緊張感を作っており、Giggsの低く重い声がDrakeの軽やかさとは別種の威圧感を持ち込む。DrakeにとってUKカルチャーは表層的な引用ではなく、自分のサウンド世界を拡張する重要な接続先であることがこの曲でよくわかる。

3. Passionfruit

本作を代表する名曲のひとつ。柔らかなシンセ、ハウス/ダンス寄りのビート、メランコリックなメロディが溶け合い、Drakeの“距離のある親密さ”がもっとも美しく表現されている。

歌詞のテーマはすれ違い、時差、コミュニケーションの困難といった、いかにもDrakeらしいものだが、曲の魅力はそれを重くしすぎない点にある。切ないのに滑らかで、孤独なのに身体が揺れる。このバランスこそ2010年代後半のDrakeの真骨頂であり、ポップと内省の接点として非常に完成度が高い。

4. Jorja Interlude

短い曲だが、本作の空気を作るうえで重要な役割を持つ。Jorja Smithの歌声が入ることで、一気にロンドンのソウル/オルタナR&B的な気配が広がる。

Drake作品のインタールードはしばしば感情の余韻を運ぶが、この曲もまさにそうで、個人の告白よりも都市の夜の湿度そのものが前面に出る。短くても印象は強い。

5. Get It Together (feat. Black Coffee & Jorja Smith)

南アフリカのBlack Coffeeが関わることで、本作のグローバルな拡張性がより鮮明になる。ハウスの洗練と、Drake流の感情の曖昧さが結びついた楽曲で、前半のハイライトのひとつ。

テーマは関係の修復や感情の整理だが、サウンドはあくまで滑らかで洗練されている。ここで重要なのは、Drakeが世界各地のクラブ・ミュージック的感覚を自分の“夜の会話”の文脈へ自然に取り込んでいることだろう。

6. Madiba Riddim

ダンスホール/アフロ寄りのリズムに乗せて、Drakeが非常に軽やかに流れる曲。『Views』期から強まっていたカリビアン志向が、ここではよりプレイリスト的な文脈で置かれている。

重いドラマはないが、そのぶんムードの作り方が巧みで、アルバムの流れに多文化的な広がりを与えている。Drakeのこうした曲はしばしば文化的借用の議論とともに語られるが、少なくとも作品内部では、彼の世界が“トロント的多文化性”によって成り立っていることを感じさせる。

7. Blem

こちらもダンスホール色が強い一曲で、語感、フロウ、リズムの運び方までかなりカリビアンなモードに寄っている。

歌詞では相手との感情のもつれを扱っているが、全体としては会話の延長のように流れていく。重い内容を軽く聴かせるDrakeの巧さがよく出ていて、ジャンル横断を“旅”ではなく“日常”として聞かせるのがこの作品の面白いところだ。

8. 4422 (feat. Sampha)

Samphaの存在感が非常に強い短曲。Drake作品の中でも、こうした曲は主役を奪うほどのゲストの魅力をそのまま作品の価値へ変える。

この曲では、はっきりしたラップ的主張よりも、感情の断片と空気が重要で、Samphaの声が持つ脆さがアルバムに美しい陰影を加える。『More Life』が単なるDrakeのワンマン作品でなく、複数の声が出入りする作品であることをよく示している。

9. Gyalchester

タイトルからして地名と言葉遊びが混ざったようなDrakeらしい一曲。ここでは再びラップ・モードが前面に出て、フローもかなり自信に満ちている。

成功、嫉妬、移動、権力といった主題が並び、Drakeが“自分はいまどこにいるのか”を確認する曲として機能する。アルバムの中では比較的硬質で、散漫になりがちな流れを締める役割も大きい。

10. Skepta Interlude

短いが、本作のUK志向を補強する重要なポイント。Skeptaの存在を置くことで、Drakeがロンドンのラップ・シーンを単なる装飾ではなく、自分の作品世界の本流のひとつとして扱っていることが明確になる。

インタールードという軽い扱いに見えて、実際には文化的な位置取りとしてかなり大きい。

11. Portland (feat. Quavo & Travis Scott)

ここではアトランタ/ヒューストン以降のトラップ感覚が全面に出る。QuavoとTravis Scottの組み合わせは2010年代中盤のヒップホップの中心的な空気をそのまま持ち込んでおり、Drakeがその時代性を的確に作品へ組み込んでいる。

フックの強さも抜群で、比較的わかりやすいバンガーとして機能するが、同時に『More Life』の広い地図の中でアメリカ南部の現在地を押さえる役割もある。

12. Sacrifices (feat. 2 Chainz & Young Thug)

こちらも南部色の濃い楽曲だが、よりしなやかで、夜のムードが強い。Young Thugと2 Chainzの個性がはっきりしており、Drakeはここで自分を中心に置きつつも、ゲストの質感を活かすハブとして機能している。

タイトルの“犠牲”が示す通り、成功のために何を失ったかという主題があるが、説教臭くはならない。ポップな流れの中にキャリアの代償を紛れ込ませるのがDrakeらしい。

13. Nothings Into Somethings

比較的コンパクトだが、Drakeの感情面がよく出る曲。関係が変質していく感覚、軽かったものが重くなっていく感覚が、典型的なDrake節として響く。

この種の曲がアルバムの中盤に置かれることで、巨大なネットワーク的作品の中にもちゃんと“Drake個人”が残っていることがわかる。

14. Teenage Fever

Jennifer Lopezの要素を取り込みつつ、Drakeの得意な“未練を帯びたスムースなR&B”としてまとめられている。

タイトルが示すような若さの熱は、ここではノスタルジーとして鳴っている。大人になったあとに振り返る熱量、もう戻れない感情の手触り。それを非常に滑らかに聞かせるのがうまい。過去の熱を現在の冷えたムードに変換するDrakeらしい佳曲である。

15. KMT (feat. Giggs)

再びGiggsが登場し、ここではより露骨にUKのストリート感覚が押し出される。ビートも重く、態度も攻撃的で、アルバムの中でもかなり異物感が強い。

ただ、その異物感こそ重要で、Drakeが自分の作品を“世界の中心にあるアメリカ的ヒップホップ”へ閉じず、英語圏の複数の都市ラップ文化を横断する場にしていることがよくわかる。

16. Lose You

このあたりからアルバムは少し内省の色を強める。名声、キャリア、仲間との距離、変化していく関係をかなり率直に扱っており、本作の中では珍しく“アルバム的な告白”に近い。

Drakeの不安や寂しさはいつも自己演出と背中合わせだが、この曲ではその両義性が比較的そのまま現れている。『More Life』全体がムード重視の作品であるぶん、こうした曲は芯として重要だ。

17. Can’t Have Everything

タイトルからして、成功者の贅沢な悩みに聞こえかねないが、Drakeはそれをちゃんと現実感のある孤独として聞かせる。

すべてを持つように見えても、失うものや欠けたものはある。このテーマは彼のキャリアを通じて一貫しているが、本作では以前よりもさらっと、しかし確実に置かれている。軽く流しているようで、内容はかなりDrake的だ。

18. Glow (feat. Kanye West)

リリース当時から話題性の高かった共演だが、作品としては意外なほど静かで、熱い競演というよりふたりの時代の象徴が同じ空気の中に並ぶような曲になっている。

Kanyeとの関係性を知るとさらに意味深だが、音楽としては夜のR&B的な滑らかさが中心で、ドラマティックすぎないのが面白い。

19. Since Way Back (feat. PARTYNEXTDOOR)

OVO的な感性がよく出た曲で、関係の継続、昔からのつながり、変わってしまったものと残るものが静かに描かれる。

PARTYNEXTDOORとの組み合わせは、Drakeのメロディと夜のムードをさらに濃くし、アルバム後半の感情的な温度を整える。派手ではないが、共同体と記憶という『More Life』の裏テーマを支える曲だ。

20. Fake Love

本作の大ヒット曲のひとつであり、テーマも非常にわかりやすい。偽りの愛、偽りの親しさ、名声に伴う人間関係の薄さを、非常にキャッチーな形で提示している。

Drakeの強みは、こうした“スターの孤独”を嫌味な自己憐憫ではなく、ポップ・ソングとして共有可能な感情に変えることだ。この曲もその典型で、耳に残る一方で、内容はかなり不信に満ちている。

21. Ice Melts (feat. Young Thug)

Young Thugとの相性がよく出た曲で、溶ける氷というイメージがそのまま感情のゆるみや崩れに接続している。

アルバム終盤のムードをさらに液状化させるような曲で、構造より雰囲気が重要。『More Life』が“名曲の連打”というより“長い夜の流れ”として聞こえる理由が、このあたりによく表れている。

22. Do Not Disturb

ラストに置かれたこの曲は、本作の中でもっとも“アルバムの終幕”らしい機能を持つ。ツアー生活、名声、孤独、内省、過去と現在の距離が、かなり率直に語られる。

プレイリストと呼ばれる作品の最後に、これだけ個人的で、静かな自己確認の曲を置くのは非常に巧い。『More Life』は分散した作品だが、最後にこの曲があることで、すべての断片が結局はDrakeというひとりの中心をめぐっていたことがわかる。締めとして非常に優秀である。

総評

『More Life』は、Drakeのディスコグラフィーの中でも評価が割れやすい作品だろう。明確な物語線を持つ『Take Care』、完成度の高い『Nothing Was the Same』、あるいは後年のより肥大化した作品群と比べると、散漫に見える瞬間は確かにある。だが、その散漫さは弱点であると同時に、この作品の本質でもある。

本作はひとつの完結したアルバムというより、2017年当時のDrakeが接続していた音楽文化の地図そのものなのだ。

ここで彼は、トロント、ロンドン、アトランタ、ジャマイカ、アフリカ系クラブ・ミュージックの感覚を、自分の作品世界へ自然に流し込んでいる。それは時に文化的な借用として批判も招いたが、少なくとも音楽作品としては、Drakeがストリーミング時代の中心人物として何をしていたかを非常によく示している。彼は単にヒットを作っていたのではなく、自分の名前をハブにして、複数のローカルな音楽言語をグローバルなポップへ接続していたのである。

一方で、『More Life』が単なる文化的ハブ作品に終わらないのは、要所でしっかり“Drakeそのもの”が見えるからだ。「Passionfruit」「Lose You」「Fake Love」「Do Not Disturb」といった曲では、いつもの不安、未練、猜疑心、名声への疲労がちゃんと顔を出す。そのため本作は、巨大なネットワーク的作品でありながら、完全には無人格にならない。

むしろ、個人が大きくなりすぎてネットワークそのものになってしまった状態を描いた作品として聴くと、非常に面白い。

音楽的にも本作は2010年代後半の空気を濃く閉じ込めている。ダンスホール、グライム、アフロ寄りのリズム、トラップ、メロウなR&B、そのすべてが“Drake的な夜”の中でつながっている。後年から振り返ると、この作品はアルバムというより、ストリーミング時代の都市感覚そのもののように聞こえる。流動的で、断片的で、でも確かにひとつのムードがある。

Drake入門として最初の一枚に選ぶかは意見が分かれるかもしれない。だが、彼がなぜ単なるラッパーでもR&Bシンガーでもなく、2010年代のポップ全体の中心にいたのかを知るには、本作は非常に重要だ。

『More Life』は、完璧に閉じた傑作ではない。だがその代わり、時代の空気、都市の気配、複数文化の交差点としてのDrakeを、これ以上なくよく記録している。

だからこの作品は、“少し散らかっている”ことまで含めて価値があるのである。

おすすめアルバム

『More Life』直前の作品。トロント的多文化性と内省がより濃く、背景理解に最適。
– Drake – Take Care

Drakeの感情表現の核を知るための代表作。『More Life』の軽やかさとの対比が面白い。
– Skepta – Konnichiwa

UKグライム/ラップ文脈を理解するうえで重要。『More Life』のロンドン接続を深く味わえる。
– PARTYNEXTDOOR – PARTYNEXTDOOR 3

OVO周辺の夜のR&B感覚を補完する一枚。『More Life』のムード面と相性が良い。
– Wizkid – Sounds from the Other Side

グローバル・ポップとしてのアフロ/ダンスホール的感覚を知るうえで好相性。『More Life』の時代性を広げてくれる。

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