アルバムレビュー：Money and Celebrity by The Subways

アルバムレビュー

2024.11.182025.04.24

発売日: 2011年9月19日
ジャンル: インディーロック / ガレージロック / ポップロック

The Subwaysの3作目のアルバムMoney and Celebrityは、彼らのこれまでのエネルギッシュなガレージロックにポップな要素を加え、より洗練されたサウンドを目指した作品だ。タイトルが示すように、アルバムのテーマは「お金」と「名声」にまつわる社会的な問題や矛盾に迫っており、これまでの青春とエネルギーを描いた作品とは異なる、成熟した視点が加わっている。

プロデュースは、ブロック・パーティーやカイザー・チーフスを手がけたスティーヴン・ストリートが担当。彼の手によるクリーンでタイトなプロダクションは、バンドのダイナミズムを保ちながらも、ラジオフレンドリーなサウンドに仕上がっている。シングル「We Don’t Need Money to Have a Good Time」や「It’s a Party」は、キャッチーで聴きやすく、The Subwaysの明るいエネルギーが詰まった楽曲だ。

トラック解説
アルバム総評
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トラック解説

1. It’s a Party

アルバムの幕開けを飾る、エネルギッシュで陽気なパーティーアンセム。シンプルなギターリフと明るいコーラスが、アルバム全体のポジティブなトーンを設定する。ライブで盛り上がる定番曲だ。

2. We Don’t Need Money to Have a Good Time

アルバムのリードシングルで、楽しむためにお金は必要ないというストレートなメッセージを歌った楽曲。キャッチーなサビとエネルギッシュなリズムが特徴的で、アルバムのテーマを象徴するナンバー。

3. Celebrity

タイトル曲ともいえる楽曲で、名声の危うさを描いている。ダークでシニカルな歌詞と、力強いギターサウンドが際立つ。

4. I Wanna Dance With You

シンプルでダンサブルなリズムが特徴の楽曲で、ライブの盛り上がりをそのまま再現したようなエネルギーが感じられる。

5. Popdeath

ポップ文化への風刺的な歌詞が印象的な一曲。ヘヴィなギターリフとシンガロング可能なサビが特徴で、バンドの攻撃的な一面が垣間見える。

6. Like I Love You

アルバムの中でもラブソング的なポジションにある楽曲で、セッツァーの柔らかなボーカルとシャーロットのコーラスが美しいハーモニーを生む。

7. Money

タイトル通り、アルバムのテーマである「お金」を直接的に扱った楽曲。パンチの効いたギターとビートが、歌詞のメッセージ性を際立たせる。

8. Kiss Kiss Bang Bang

アップテンポで軽快な楽曲で、バンドの遊び心が感じられる一曲。シンプルでありながらもノリやすいリズムが魅力。

9. Down Our Street

ノスタルジックな雰囲気を持つ楽曲で、地元や日常の風景を描いている。穏やかなメロディとストレートな歌詞が心に響く。

10. Rumour

うわさ話や誤解をテーマにした、鋭い歌詞が特徴の楽曲。シンプルなギターワークとタイトなリズムセクションが楽曲を引き締めている。

11. Friday

週末の高揚感を歌った楽曲で、アルバムの中でも特にポップな仕上がり。リラックスした雰囲気とキャッチーなコーラスが印象的だ。

12. Leave My Side

アルバムの最後を飾るバラード調の楽曲で、感情的な歌詞とメロディが聴き手に余韻を残す。The Subwaysの柔らかな一面が感じられる。

アルバム総評

Money and Celebrityは、The Subwaysがこれまでのガレージロック的な荒々しさにポップな要素を加え、より幅広いリスナーにアピールした作品だ。「It’s a Party」や「We Don’t Need Money to Have a Good Time」のようなキャッチーな楽曲は、バンドの明るいエネルギーを存分に感じさせる一方で、「Celebrity」や「Money」のように、社会的なテーマを扱う深みのある楽曲も含まれている。

スティーヴン・ストリートによる洗練されたプロダクションは、The Subwaysの勢いを保ちながらも、メロディの親しみやすさを際立たせている。本作は、楽しさと考察が絶妙なバランスで共存するアルバムであり、The Subwaysの新たなステージを切り開いた作品といえる。