MMMBop by Hanson（1997）楽曲解説

楽曲レビュー

2025.06.28

1. 歌詞の概要
2. 歌詞のバックグラウンド
3. 歌詞の抜粋と和訳
4. 歌詞の考察
5. この曲が好きな人におすすめの曲
6. “瞬間を音にする”という魔法

1. 歌詞の概要

「MMMBop（ンンンバップ）」は、アメリカ・オクラホマ出身の3兄弟バンド、Hanson（ハンソン）が1997年に世界デビューを果たすきっかけとなったシングルであり、彼らのメジャーデビューアルバム『Middle of Nowhere』に収録されている。あの印象的なスキャット「ンンンバップ、バドゥバップ〜♪」のリフレインは、90年代のポップ文化を象徴するサウンドの一つとなり、当時多くの国でチャート1位を記録するなど空前の大ヒットを記録した。

タイトルにもなっている「MMMBop」とは、時間の一瞬を意味する造語で、歌詞全体は「人生の中で大切なものは何か」「人間関係の儚さ」「真に信頼できる人はごくわずか」といったテーマを内包している。軽快なメロディと若々しいヴォーカルに包まれながらも、実はその奥にしっかりとした人生観が織り込まれた、驚くほど深い楽曲なのだ。

2. 歌詞のバックグラウンド

Hansonは、アイザック（長男）、テイラー（次男）、ザック（末っ子）の3兄弟で構成されたポップロックバンド。メジャーデビュー当時、彼らはわずか16歳、14歳、11歳という若さで、兄弟による楽曲制作と演奏能力の高さでも注目された。「MMMBop」は、もともと彼らのインディーズ時代の曲で、のちに有名プロデューサーのダスティン・レイノルズとスティーヴ・リプソンによってポップに再構築された。

この楽曲がリリースされた1997年は、スパイス・ガールズやBackstreet Boysが世界中で大人気だった「ティーンポップ黄金期」。そんな中、Hansonは兄弟による生演奏と自作曲という“ナチュラルさ”で逆に新鮮な存在として受け入れられた。見た目のキュートさと確かな音楽性が共存するそのスタイルは、“ティーンアイドル”の定型を超えたポップロックの可能性を感じさせるものだった。

3. 歌詞の抜粋と和訳

You have so many relationships in this life
この人生には、たくさんの関係があるけど

Only one or two will last
本当に続くのは、そのうちの一つか二つなんだ

You go through all the pain and strife
痛みや苦しみを通り抜けて

Then you turn your back and they’re gone so fast
気づいたら、あの人たちはもういなくなってる

Oh yeah, they’re gone so fast, yeah
そうさ、本当にあっという間なんだ

MmmBop, ba duba dop
ンンンバップ　バドゥバドッ

Ba du bop, ba duba dop
バドゥバップ　バドゥバドッ

Ba du bop, ba duba dop
この瞬間に、全てがあるんだ

You never know what you’ve got until it’s gone
失ってみて初めて、その大切さに気づくんだよ

引用元: Genius Lyrics – Hanson / MMMBop

4. 歌詞の考察

「MMMBop」は、表面的にはただのスキャット・ポップに聴こえるかもしれないが、実際は非常に哲学的な内容を秘めた曲である。特に、「たくさんの人間関係があっても、本当に残るのはごくわずか」という一節は、当時10代前半の少年たちが書いたとは思えないほどの成熟した視点を持っている。

この“はかなさ”や“時間の速さ”を「MMMBop」という造語で象徴するという発想自体が秀逸だ。意味があるようでない、でも感覚としては誰もが感じ取れる——まさに一瞬の輝きや移ろいを音で表現した言葉なのである。

また、「You never know what you’ve got until it’s gone（失ってみて初めて、その価値に気づく）」というフレーズは、ポップソングによくある甘い愛の言葉とは違い、人生そのものに向き合うような普遍的な真理を突いている。思春期真っ只中の彼らが、こうしたテーマに真摯に向き合っていることが、この曲を単なる「ヒット曲」ではなく、心に残る「名曲」にしている要因なのだろう。