アルバムレビュー：Lunafied by Luna

発売日: 2006年（コンピレーション）
ジャンル: ドリームポップ、インディー・ロック、カバーコレクション

概要
全曲レビュー（主要曲）
総評
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ファンや評論家の反応
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概要

『Lunafied』は、2006年にリリースされたLunaのカバー音源集であり、バンドがその活動期間中に発表してきた名曲カバーや未発表音源を一挙にまとめた、ファンにとっての宝箱のようなコンピレーションである。

本作は2枚組で構成され、ディスク1にはスタジオ録音された珠玉のカバー曲たち、ディスク2にはラジオセッションやライヴ音源が収録されている。
すべてのトラックを通して聴くと、Lunaというバンドがいかに音楽的教養とセンスに富み、“選曲”という行為そのものをひとつの表現にまで高めていたかが明白になる。

Galaxie 500でのルーツからLunaとしての円熟期まで、彼らが常に“耳の良さ”と“脱力した敬意”をもってロックの歴史と対話してきた軌跡が、この1枚に凝縮されている。

全曲レビュー（主要曲）

1. Bonnie and Clyde（Serge Gainsbourg & Brigitte Bardot）

セクシーかつ死の匂いが漂う原曲を、ブリタ・フィリップスとのデュエットで再構築。
フランス語の語感とLunaの夢幻的な音像が美しく融合する。

2. Indian Summer（Beat Happening）

ローファイの原点を、上品で滑らかなドリームポップに昇華。
カルト的オリジナルの“未完成感”を活かしつつ、Luna流の優雅さが加えられている。

3. Ride Into the Sun（Velvet Underground）

Galaxie 500時代から繋がるルー・リード愛の象徴ともいえる一曲。
空間を活かしたアレンジが、内省的で映画的なトーンを際立たせる。

4. Sweet Child o’ Mine（Guns N’ Roses）

ギターソロを排した大胆な再構成で、原曲の情熱を“醒めた優しさ”へと変換。
Lunaのカバーの美学が最も端的に表れている楽曲のひとつ。

5. Season of the Witch（Donovan）

サイケフォークの名曲を、ミッドテンポでグルーヴィーに演奏。
現代性とノスタルジーを並列で語る、成熟したアレンジ。

6. Thank You for Sending Me an Angel（Talking Heads）

ファンキーな原曲をリズムを抑えたミニマル・ポップに変換。
ディーン・ウェアハムの脱力した歌唱が、皮肉と優しさを同時に伝える。

7. Outdoor Miner（Wire）

ポストパンクの透明感を保ちつつ、Lunaの“窓際感”と合致する名カバー。
短さの中に美が詰まっている。

8. No Regrets（Tom Rush）

“悔いはない”という言葉が、静かな口調で語られる。
Luna晩年の空気を予見するような、終幕にふさわしい一曲。

総評

『Lunafied』は、単なるカバー集にとどまらず、Lunaというバンドがロックの歴史と静かに寄り添い、受け取り、再提示してきた対話の記録である。

オリジナル曲においてもLunaは一貫して“過剰に感情を押し付けない”“美しい距離感を保つ”ことを信条としてきた。
そしてこのカバー集でも、彼らは誰かの楽曲に過剰に入り込むことなく、そっと手を添えるようにして自分たちの色を重ねていく。

その姿勢は、聴く者に対しても“こう感じろ”とは言わない。
ただ、夜に寄り添う音、過去と共鳴する音、そして静かに心を撫でる音として、今も鳴り続けている。

ファンや評論家の反応

『Lunafied』は、Lunaの音楽的嗜好とリスナーへの信頼感を明確に示した作品として、ファンの間では高く評価されている。
「これはLunaの“私的ミックステープ”だ」とも称され、彼らのルーツや美学を探るための“裏ベスト盤”として機能している。

このアルバムを聴くことで、私たちはLunaが何を聴き、何を愛し、それをどう自分たちの言葉にしてきたのかを知ることができる。
それは音楽の継承であり、静かな革命のかたちでもある。