発売日: 2018年6月8日
ジャンル: R&B、ソウル、ジャズ、ポップ
イギリスのシンガーソングライター、ジョルジャ・スミスのデビューアルバム『Lost & Found』は、彼女の豊かな音楽的才能と成熟した表現力を印象付ける作品だ。R&B、ソウル、ジャズを基調とした多彩なサウンドに乗せて、愛、自己発見、社会的問題といったテーマを深く掘り下げている。デビュー作でありながらも、サウンドや歌詞のクオリティは非常に高く、彼女がすでに完成されたアーティストであることを感じさせる。
ジョルジャの特徴的な深い声と、繊細かつダイナミックなボーカルパフォーマンスは、リスナーをアルバム全体を通して心地よい感情の旅へと誘う。彼女の感情的な深みと音楽的な柔軟性が、このアルバムを特別なものにしている。
以下、各トラックの詳細を解説する。
1. Lost & Found
アルバムのタイトル曲で、ジョルジャの内省的な歌詞と繊細なアコースティックアレンジが際立つ。自己発見や迷いについてのテーマが、彼女の感情的なボーカルによって美しく描かれている。
2. Teenage Fantasy
ジョルジャの若々しい視点が反映された楽曲。恋愛における理想と現実のギャップを描き、ジャズの影響が感じられる軽やかなアレンジが心地よい。
3. Where Did I Go?
ミニマルなビートと控えめな楽器構成が特徴の楽曲。自己認識と人間関係における喪失感をテーマにしており、シンプルながらも深い印象を残す。
4. February 3rd
ジャジーなサウンドとエモーショナルな歌詞が特徴。内省的なテーマが、ジョルジャの柔らかいボーカルを通して鮮明に描かれる。
5. On Your Own
スムーズなメロディとソウルフルなボーカルが融合した一曲。愛の独立性や個人としての成長を描き、ジョルジャの成熟した視点が際立つ。
6. The One
恋愛における葛藤や自己防衛をテーマにした楽曲。繊細なビートとシンプルなアレンジが、ジョルジャのボーカルを引き立てている。
7. Wandering Romance
感情的でムーディーな楽曲で、ソウルフルなアプローチが印象的。切ないメロディとボーカルが、孤独感や憧れを美しく表現している。
8. Blue Lights
アルバムの中でも社会的なテーマが際立つトラック。警察の暴力や人種問題を背景にした歌詞が強いメッセージ性を持ち、ジャズとヒップホップの要素が融合した独特のサウンドが特徴。
9. Lifeboats (Freestyle)
アコースティックなサウンドと即興的なリリックが、彼女の自然体な魅力を際立たせる。社会問題への鋭い洞察が歌詞に込められている。
10. Goodbyes
ピアノを中心としたシンプルなバラードで、別れの痛みや感情を繊細に描いている。ジョルジャの感情豊かな歌声が心に響く一曲。
11. Tomorrow
希望と前向きなメッセージが込められたトラックで、軽快なメロディが印象的。アルバムの中でも明るいトーンが特徴。
12. Don’t Watch Me Cry
アルバムのクライマックスとなる感動的なバラード。失恋や喪失感をテーマにした歌詞と、ジョルジャの感情がこもったボーカルがリスナーの心を揺さぶる。
アルバム総評
『Lost & Found』は、ジョルジャ・スミスの才能と感性が凝縮された傑作デビューアルバムだ。内省的な歌詞と多様な音楽スタイルが、彼女の幅広い表現力を証明している。特に「Blue Lights」や「Teenage Fantasy」のような楽曲は、ジョルジャのメッセージ性と音楽的成熟を強く感じさせる。
このアルバムは、聴く者に深い感情的な影響を与えるとともに、R&Bやソウルの新たな方向性を示す重要な作品でもある。ジョルジャ・スミスが次世代の音楽シーンをリードするアーティストであることを確信させる一枚だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
SZA – Ctrl
内省的な歌詞と多様なR&Bサウンドが、『Lost & Found』の雰囲気に通じる。
Amy Winehouse – Frank
ジャズとソウルの影響を受けたデビュー作で、ジョルジャのスタイルと共鳴する。
Kali Uchis – Isolation
多彩なジャンルを取り入れたサウンドと感情的な歌詞が共通点を持つ。
Lianne La Havas – Blood
ソウルフルなボーカルと叙情的な歌詞が、『Lost & Found』に響く一枚。
Billie Eilish – When We All Fall Asleep, Where Do We Go?
繊細で感情的なアプローチが、ジョルジャ・スミスのスタイルに共感するリスナーにおすすめ。
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