発売日: 1991年8月26日
ジャンル: マッドチェスター、シューゲイザー、オルタナティブロック
『Leisure』は、イギリスのロックバンドBlurのデビューアルバムで、バンドの後の成功を予感させる一枚だ。本作は、マッドチェスター・シーンの影響を色濃く受けたサウンドと、シューゲイザー的なテクスチャーが特徴で、イギリスの音楽シーンにおける90年代初頭の時代性を映し出している。まだ発展途上にあったBlurの個性を感じつつも、すでにキャッチーなメロディーや叙情的な歌詞が垣間見える。
アルバムの中には、アンビエントな雰囲気を持つ楽曲やダンサブルなリズムを取り入れた楽曲が含まれ、後のブリットポップへの布石が感じられる部分もある。しかし、全体的にはBlurが自らの音楽スタイルを確立する以前の試行錯誤が垣間見える。時代性を感じさせるサウンドの中に、若さゆえの勢いと未熟さが同居しており、その荒削りな魅力がこのアルバムの特徴だ。
トラック解説
- She’s So High
Blurのデビューシングルでもあるこの曲は、シューゲイザー的なギターとドリーミーな雰囲気が特徴。恋に落ちた瞬間の浮遊感が、デーモン・アルバーンの感情豊かなボーカルと共に描かれている。 - Bang
ダンサブルなリズムとキャッチーなメロディーが印象的な楽曲。歌詞はやや単調だが、そのシンプルさが逆に若々しい勢いを感じさせる。 - Slow Down
タイトル通り、少しスローテンポで進行する楽曲。夢見心地なギターとデーモンの退廃的なボーカルが、アルバム全体のムードにアクセントを加えている。 - Repetition
軽快なリズムセクションとリフレインが特徴の一曲。やや単調ながらも、リズムの中毒性があり、ライブでも盛り上がりそうな楽曲だ。 - Bad Day
陰鬱な歌詞と明るいメロディーが対照的な楽曲。ギターとボーカルが絡み合い、どこか気だるい雰囲気を醸し出している。 - Sing
アンビエントなピアノとミニマルな構成が印象的な一曲で、アルバムの中でも特に異彩を放つ。後のBlurの実験的な一面を予感させる楽曲だ。 - There’s No Other Way
Blurの初期代表曲として知られるこの楽曲は、キャッチーなギターリフとダンサブルなビートが特徴。マッドチェスター的な雰囲気が色濃く出ており、Blurの若さとエネルギーが詰まった一曲だ。 - Fool
不協和音的なギターと退廃的な雰囲気が特徴。歌詞はやや散漫だが、その不安定さが楽曲全体のムードにマッチしている。 - Come Together
シューゲイザー的な要素と、ダンサブルなビートが融合した楽曲。タイトルが示すように、リスナーを一体感のある空間へと引き込むような雰囲気がある。 - High Cool
テンポが軽快で、ギターが際立つ楽曲。青春のエネルギーと気まぐれさを感じさせる一曲だ。 - Birthday
ゆったりとしたテンポと憂いのあるメロディーが特徴的な一曲。バンドの感情的な側面が垣間見える楽曲だ。 - Wear Me Down
アルバムのラストを飾る楽曲で、攻撃的なギターと重厚なリズムが印象的。Blurのダークな一面を垣間見せつつ、次作への期待感を抱かせるエンディングだ。
アルバム総評
『Leisure』は、Blurが後にブリットポップの代表的な存在となるまでの過渡期を記録したアルバムであり、荒削りながらも初期のエネルギーと実験精神が詰まっている。まだ自分たちの音楽スタイルを模索中であったため、統一感に欠ける部分もあるが、その若々しい勢いがリスナーに新鮮な印象を与える。『Leisure』は、90年代初頭のイギリス音楽シーンを映し出した一枚としても重要な作品であり、Blurの進化の出発点として楽しむ価値がある。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Pills ’n’ Thrills and Bellyaches by Happy Mondays
マッドチェスターの象徴的なアルバムで、『Leisure』と同じ時代性やダンサブルな要素を共有している。
Souvlaki by Slowdive
シューゲイザーの名盤で、Blurの初期のドリーミーなサウンドに通じる雰囲気が感じられる。
Parklife by Blur
Blurがブリットポップを牽引する存在となった1994年のアルバム。『Leisure』からの進化を楽しむことができる。
Nowhere by Ride
シューゲイザー的なギターテクスチャーが特徴のアルバムで、Blurの初期サウンドとリンクする部分がある。
Different Class by Pulp
ブリットポップの代表的な作品で、Blurの後期サウンドに近いポップさと洗練されたアレンジが楽しめる。
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