アルバムレビュー：Golden Hour by Kacey Musgraves

アルバムレビュー

2024.12.042025.04.24

発売日: 2018年3月30日
ジャンル: カントリー / ポップ / アメリカーナ

ケイシー・マスグレイヴスの4枚目のスタジオアルバム『Golden Hour』は、カントリーミュージックの枠を超えた彼女の新たな挑戦と進化を示す作品である。ポップ、ディスコ、サイケデリック、フォークなどのジャンルを融合したこのアルバムは、ケイシーの洗練されたサウンドと感情豊かな歌詞が際立つ傑作であり、リスナーと批評家の双方から絶大な支持を受けた。

このアルバムは、ケイシーが結婚を経て人生の新たなフェーズに入ったことを背景に制作され、愛、幸福、自己発見といったテーマが中心となっている。彼女の透き通ったボーカルとシンプルで美しいアレンジが一体となり、アルバム全体に柔らかな光を与えている。特に「Butterflies」や「Slow Burn」、「Rainbow」などのトラックは、聴く者に深い感動を与える名曲である。

『Golden Hour』は、第61回グラミー賞で「アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、ケイシーを現代音楽のトップアーティストの一人として確固たる地位に押し上げた。

トラック解説
アルバム総評
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トラック解説

1. Slow Burn

アルバムのオープニングを飾るトラックで、ゆったりとしたテンポと瞑想的な歌詞が特徴的。「I’m alright with a slow burn」というフレーズに象徴されるように、人生をゆっくりと楽しむことの大切さを歌っている。アコースティックギターと控えめなアレンジが心地よい。

2. Lonely Weekend

孤独や不安をテーマにした楽曲だが、ポップで軽快なサウンドが印象的。キャッチーなコーラスが耳に残り、リスナーを楽しくさせる一曲。

3. Butterflies

恋愛の初期のときめきを描いたラブソングで、ケイシーの幸福感が溢れる楽曲。繊細なメロディと歌詞が魅力的で、アルバム全体を通してもハイライトの一つ。

4. Oh, What a World

サイケデリックなサウンドとカントリーの要素が融合したトラック。地球や人生の奇跡を讃える詩的な歌詞が特徴的で、ペダルスティールギターが美しい雰囲気を作り出している。

5. Mother

短くも感動的な楽曲で、ケイシーが母親への感謝と愛を歌った内容。ピアノを中心としたシンプルなアレンジが楽曲の感情的な深みを引き立てている。

6. Love Is a Wild Thing

自然の中に愛を見出すというテーマを持つ楽曲。軽やかなアレンジとケイシーの澄んだ歌声が美しく調和している。

7. Space Cowboy

恋愛における自由をテーマにした楽曲で、切ないメロディと詩的な歌詞が際立つ。「You can have your space, cowboy」というフレーズが印象的。

8. Happy & Sad

幸福と不安が同時に存在する感情を巧みに描いた楽曲。軽快なリズムとメロディが耳に残り、歌詞の内容と相まって複雑な感情を喚起する。

9. Velvet Elvis

レトロでユニークなトラック。ポップなビートと遊び心ある歌詞が楽しい雰囲気を作り出している。

10. Wonder Woman

恋愛における理想と現実を歌った楽曲。控えめなアレンジがケイシーのボーカルを際立たせ、リスナーに共感を呼ぶ。

11. High Horse

アルバムの中で最も異色のディスコ風トラック。アップテンポなリズムと痛快な歌詞が新鮮で、パーティーでも楽しめる一曲。

12. Golden Hour

タイトル曲であり、ケイシーの幸せな時間を象徴する楽曲。ピアノとシンプルなアレンジが彼女の歌声を美しく引き立てている。

13. Rainbow

アルバムを締めくくる感動的なバラード。困難な状況にある人々への励ましを込めた歌詞が胸に響く。「It’ll all be alright」というフレーズが優しくリスナーを包み込む。

アルバム総評

『Golden Hour』は、ケイシー・マスグレイヴスの音楽的才能と感情表現が凝縮された傑作であり、カントリーミュージックの新たな可能性を示した作品だ。伝統と革新を融合させたサウンド、そして詩的な歌詞が見事に調和し、人生の美しさと複雑さを表現している。「Slow Burn」や「Butterflies」、「Rainbow」といった楽曲は、心に残る瞬間を数多く提供する。グラミー賞受賞もうなずける完成度を持った、まさに時代を超えるアルバムである。