Ghost of York by As Tall As Lions（2006）楽曲解説

楽曲レビュー

2025.03.16

1. 歌詞の概要

「Ghost of York」は、アメリカのインディーロックバンド As Tall As Lions が2006年にリリースしたセルフタイトルアルバム『As Tall As Lions』に収録された楽曲であり、幻想的なメロディと叙情的な歌詞が特徴の一曲です。

この楽曲のテーマは、過去の愛、喪失、そして思い出の中に生き続ける存在です。「Ghost of York（ヨークの亡霊）」というタイトルが示すように、この曲は過去の記憶や消え去った関係が心の中で生き続けていることを描いています。

歌詞では、過去の恋愛や人間関係が完全に終わったわけではなく、どこかでまだ存在し続けているような感覚が表現されています。 それは、物理的には消えてしまった人や出来事が、心の中に幽霊のように漂っていることを意味しているのかもしれません。

また、メロディの持つ儚くも美しい雰囲気が、喪失感と郷愁を見事に表現しており、リスナーに深い感情の余韻を残す楽曲となっています。

As Tall As Lions は、インディーロック、ポストロック、プログレッシブロックの要素を持つバンドであり、洗練されたサウンドと感情的なボーカルが特徴的です。

「Ghost of York」は、アルバム『As Tall As Lions』の中でも特にロマンチックで幻想的な雰囲気を持つ楽曲であり、バンドの持つメロディックなアプローチと感情的な表現力が際立っています。

また、「Ghost」という言葉が象徴するように、この曲には消え去った何かへの未練や、思い出の中で生き続ける存在に対する複雑な感情が込められているように感じられます。

以下に、楽曲の印象的な部分の歌詞を抜粋し、英語の原文とその日本語訳を掲載します。

Wait a minute, let me finish
I know you don’t care

「ちょっと待って、最後まで言わせてくれ」
「君が気にしていないのは分かってるけど」

→ ここでは、過去の関係をまだ引きずっている主人公が、最後に何かを伝えようとする様子が描かれています。 しかし、相手はすでに気持ちを失っているため、主人公の言葉は届かないかもしれません。

But can you listen? I came to say
Goodbye, love

「でも、聞いてくれないか？伝えに来たんだ」
「さよならを、愛しい人よ」

→ このラインは、最終的に過去の関係に決着をつけようとする瞬間を表しています。 しかし、「Goodbye, love」というフレーズには、単なる別れ以上の複雑な感情が込められているように感じられます。

Cry, cry, cry if it makes you feel better

「泣いて、泣いて、泣いてもしそれで楽になれるなら」

→ ここでは、喪失の痛みを乗り越えるために、感情を解放することの大切さが描かれています。「泣くことで少しは楽になれるなら」という言葉には、主人公自身が悲しみを受け入れようとしている様子が見て取れます。

※ 歌詞の全文は Lyrics.com などで参照可能です。

「Ghost of York」は、過去の恋愛や失われた関係が、完全には消え去らず、心の中に幽霊のように残り続けるというテーマを持つ楽曲です。

タイトルの「Ghost（亡霊）」は、物理的には存在しないものの、記憶や感情の中に生き続けるものを象徴していると考えられます。

また、歌詞の中で「Goodbye, love」と別れを告げるシーンがあるものの、それが完全に受け入れられているわけではなく、未練や切なさが残っていることが楽曲全体を通して伝わってきます。

音楽的にも、柔らかく幻想的なギターのアルペジオと、哀愁漂うボーカルが、楽曲の持つメランコリックな雰囲気を強調しており、聴く者の心に深い余韻を残します。

“Love, Love, Love (Love, Love)” by As Tall As Lions
→ 愛の美しさと苦しみを描いた、バンドの代表的なバラード。
“Lua” by Bright Eyes
→ 内省的な歌詞と静かなメロディが共通する楽曲。
“Transatlanticism” by Death Cab for Cutie
→ 遠距離恋愛と喪失感を描いたエモーショナルな楽曲。
“Holocene” by Bon Iver
→ 過去への郷愁と人生の儚さを描いた楽曲。
“There There” by Radiohead
→ 哀愁漂うメロディと詩的な歌詞が共鳴する楽曲。